翌日。
西に赴き、レベル上げに励んだ。
無理はせずに、せいぜいが5体倒したら、今日のところはお終いということで拠点に帰る日々を送っていた。
帰り際に
「サクラさん」
「サウワ」
一人の少女と2人の男に連れて行かれている二人を発見した。少女の顔にあまりにも太っている男の顔が浮かぶ。『第6感』に従うとあれが本人みたいだ。
今は、昼少し過ぎである。
ちょうど、油断しているのか、お昼ご飯を食べているようだ。
奇襲にもってこいかな。
木の上に潜み、あと数十メートルの距離まで接近すると、光お姉ちゃんが風の力で、周辺の枝を激しく揺らした。
「おい! 今の物音なんだ!」
「わ、わかんないよ! 探索に反応ないしっ!」
移動する度に取り乱した声がこっちにまで聞こえてくる。
次の移動で相手の様子を窺うことができる絶好のポジションに陣取れそうだったので、今度は木の上に注意がいかないように枝を何本かへし折り、一斉に地面へと落とした。
周囲に何かが落ちた音が木霊すると眼下の転移者たちがあたふたと周囲を見回している。
三人が半円状に座り、対面方向に縄でぐるぐる巻きにされたミノムシ状態のサウワと桜さんがいる。抵抗する手段を奪われているように見えるが、サウワの瞳は絶望に染まることなく、相手の隙を探っているようだ。
サウワには闇属性魔法があるので、ここぞという場面で使う気なのだろう。
あの少女もどきは、戦闘タイプではなく諜報活動や敵を探知する役割なのだろう。
考えながらも、周辺の草木を一定の間隔で揺らすのは忘れない。まるで、何か生き物が彼らの周りをうろついている様子を音だけで演出する。
奴らが取り乱している内に
「ぎゃあっ!」
「おい、ぐえええっ!」
「てめえは」
レーザージャケットを着た男と少女もどきを、一振りで峰打ちさせた。
「秋」
サウワの声が響く。
「仲間か」
剣を正眼に構えると静かに摺り足で前に進む。
マッチョは慌てて手甲を装着した指を鳴らし、無造作に大きく腕を振りかぶった。
大気ごと破壊しそうな剛腕が僕の右側面を狙い、ボクシングのフックを打つ要領で繰り出される。
「んっ」
僕が後方にずれる。
更にワイシャツマッチョの連撃が僕を襲うが、すべて避け、懐へと潜り込んだ。
予備動作のない動きに加えて、一気に踏み込むまではわざと速さを殺し、ゆらゆらと風に薙ぐ柳の葉のような動きを繰り返していた。そこからの最速の踏み込み。
「はっ、馬鹿が!」
ワイシャツマッチョは両腕を広げ、僕を抱き締めようとする。
ドン
体の芯まで響いてくる鈍い音が森に沁み込んでいく。
「な、なんで……」
ワイシャツマッチョが驚愕に目を見開いたまま仰向けに倒れていく。自分に何が起こったのか理解していないのだろう。
相手の鳩尾に右拳を突き出した。
至近距離からの拳による打突。
「秋君、凄いよ!」
「ありがとう」
解放された桜さんは素直に称賛し、サウワにお礼を言われた。
次
西に赴き、レベル上げに励んだ。
無理はせずに、せいぜいが5体倒したら、今日のところはお終いということで拠点に帰る日々を送っていた。
帰り際に
「サクラさん」
「サウワ」
一人の少女と2人の男に連れて行かれている二人を発見した。少女の顔にあまりにも太っている男の顔が浮かぶ。『第6感』に従うとあれが本人みたいだ。
今は、昼少し過ぎである。
ちょうど、油断しているのか、お昼ご飯を食べているようだ。
奇襲にもってこいかな。
木の上に潜み、あと数十メートルの距離まで接近すると、光お姉ちゃんが風の力で、周辺の枝を激しく揺らした。
「おい! 今の物音なんだ!」
「わ、わかんないよ! 探索に反応ないしっ!」
移動する度に取り乱した声がこっちにまで聞こえてくる。
次の移動で相手の様子を窺うことができる絶好のポジションに陣取れそうだったので、今度は木の上に注意がいかないように枝を何本かへし折り、一斉に地面へと落とした。
周囲に何かが落ちた音が木霊すると眼下の転移者たちがあたふたと周囲を見回している。
三人が半円状に座り、対面方向に縄でぐるぐる巻きにされたミノムシ状態のサウワと桜さんがいる。抵抗する手段を奪われているように見えるが、サウワの瞳は絶望に染まることなく、相手の隙を探っているようだ。
サウワには闇属性魔法があるので、ここぞという場面で使う気なのだろう。
あの少女もどきは、戦闘タイプではなく諜報活動や敵を探知する役割なのだろう。
考えながらも、周辺の草木を一定の間隔で揺らすのは忘れない。まるで、何か生き物が彼らの周りをうろついている様子を音だけで演出する。
奴らが取り乱している内に
「ぎゃあっ!」
「おい、ぐえええっ!」
「てめえは」
レーザージャケットを着た男と少女もどきを、一振りで峰打ちさせた。
「秋」
サウワの声が響く。
「仲間か」
剣を正眼に構えると静かに摺り足で前に進む。
マッチョは慌てて手甲を装着した指を鳴らし、無造作に大きく腕を振りかぶった。
大気ごと破壊しそうな剛腕が僕の右側面を狙い、ボクシングのフックを打つ要領で繰り出される。
「んっ」
僕が後方にずれる。
更にワイシャツマッチョの連撃が僕を襲うが、すべて避け、懐へと潜り込んだ。
予備動作のない動きに加えて、一気に踏み込むまではわざと速さを殺し、ゆらゆらと風に薙ぐ柳の葉のような動きを繰り返していた。そこからの最速の踏み込み。
「はっ、馬鹿が!」
ワイシャツマッチョは両腕を広げ、僕を抱き締めようとする。
ドン
体の芯まで響いてくる鈍い音が森に沁み込んでいく。
「な、なんで……」
ワイシャツマッチョが驚愕に目を見開いたまま仰向けに倒れていく。自分に何が起こったのか理解していないのだろう。
相手の鳩尾に右拳を突き出した。
至近距離からの拳による打突。
「秋君、凄いよ!」
「ありがとう」
解放された桜さんは素直に称賛し、サウワにお礼を言われた。
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