様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 ぼくの異世界三日目の朝は、ガラスが割れる音から始まった。
 反射的に飛び起きそうになるが、僕の身体に抱きついて寝ているハクカがいたため起き上がれなかったが部屋の窓を見る。
 ガラスは無事だった。

 少なくともこの部屋ではないようだ。

「・・・ハクカ・・・おきて」

 ハクカを揺り起こす。

「・・ん・・・・あき・・・くん」

 寝ぼけ眼で問いかけるハクカ。
 事情を説明すると、目が覚めたようだ。
 窓に駆け寄り、窓ガラスを開け、身を乗り出す。
 隣の空室のガラスが割れていた。

 部屋のなかでうごめくものがあった。
 モンスターなのだろうか。
 なにが起こったかはわからないが、早急に確かめる必要がある。

「・・・たぶん、敵だな。ハクカは」

「私も・・・いく」

 ハクカが起き上がりいう。

「・・・わかった」

 ハクカの裸体に赤面して、視線をそらす。

「とりあえず、服を着てくれ」

「・・え・・・あ・・・」

 ハクカが慌てて、毛布を身体に手繰り寄せ巻きつける。
 そして、制服は、クシャクシャになっていた。
 僕は、ハクカにジャージを手渡すと、僕は制服に着替える。

「・・・・・・ありがとう」

 ハクカがジャージに着替える。
 ジャージは、多少大きいようで、ぶかぶかだった。

「・・・ん・・・」

 ハクカがふらつきながら歩いていたので、慌てて支える。

「大丈夫」

「・・・うん。まだ・・・・はいっている・・・かんじがして」

「・・・・・・」

 それなら仕方ないので彼女の腰に手を回し、倒れないように支えた。
 廊下の反対側で、ジャージを着た志木さんが顔を出す。
 隣の隣では、和弘とアリスがいた。
 和弘は僕たちに、そこで待機するよう命じられた。

 隣の部屋では、なにかがドンドンと激しく壁を叩く音が鳴り響いている。

「ぼくがドアを開ける。エレが突入。アリスはエレに続いて」

「はい」

 和弘はドアノブをひねり、ドアを引く。
 ウィンド・エレメンタルがなかに飛び込む。
 すぐアリスが続く。

「蜂です!」

 アリスが叫ぶ。

「カズさん、蜂の化け物です!」

 ぼくは部屋のなかを見る。
 ウィンド・エレメンタルが、黄色と黒のまだら模様を持つ生き物と組みあっていた。
 おおきさは、人間と同じくらい。

 アリスがいう通り、そのかたちは昆虫の蜂そのものだった。
 ただし、ひどく巨大化した蜂である。
 人間の掌ほどもある複眼が、赤い不気味な輝きを放っている。

 そんなものが、宙に浮かび、ぶうんと不気味に羽音を鳴らしている。

 巨大蜂は、ホバリングしながら前を向いたまま下半身を曲げ、お尻を前に突き出して、その先から針を出す。
 ラジオのアンテナより太いその針が勢いよく飛び出し、ウィンド・エレメンタルの胴体に突き刺さる。
 半透明の女性の顔が苦痛に歪む。

 だが忠実な使い魔は、敵の針を腹に抱え込んだまま、両手で巨大蜂のお尻を握る。
 強引に相手の動きを封じる。
 そこに、アリスが突進する。

 鉄槍の刺突が、巨大蜂の複眼を貫く。
 青い体液が周囲に飛び散る。

 けたたましい金切り声が、周囲に響いた。
 巨大蜂は、床に墜落する。
 ぴくぴくと全身をうごめかせ、そして……。

 身体が、ぶれる。
 霞のように消えていく。

 オークと同じだ。
 やはりこいつも、オークと同様、モンスターなのか。
 巨大蜂が消えたあとには、赤い宝石が三個、転がっていた。

「ところで、どうしてハクカちゃんがアキ君の部屋から出てきたのかな」

「・・・えっと・・・・その」

 焦るハクカ。

「・・・・・・」

 どうやら僕たちは、志木さんに弱みを握られたようだ。



 時刻は、まだ5時30分過ぎだった。
 日の出からまもなくである。
 屋上にあがり、蜂がどこから来たのか見る。

「北東の森?」

「ああ」

 北東の森付近で、何匹か同様の巨大蜂が飛びまわっていた。

 中等部から見て、北東の森。
 二日前、この山がまるごと異世界へやってきたとき。
 オークたちは、そこからやって来た。

 森のなかに、なにかがあるのか。
 三日目のいまに至っての新たなモンスターの襲撃には、どんな意味があるのか。







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