「ルークは、もう少しで12歳の誕生日だったよな?」
「ああ」
とある日の午後。
現在ブライヒレーダー辺境伯様から借りてもらっている住居において、俺はリッドからもうすぐ誕生日ではないかと指摘された。
「よう、坊主たち」
そこにブランタークさんが尋ねて来て、俺たちに話しかけてきた。
「ブランタークさん、今日はお仕事はいいんですか?」
「お仕事だよ。来週の安息日に、坊主の誕生日パーティーを開くから。それはもう盛大にな。で、俺はそれをファブレ男爵様に伝えに来たわけだ」
貴族のパーティーというのは、社交の場である。
こういう時、どのくらいの規模でパーティーを開くのか暗黙の了解があるのだ。
「この年齢の子供の誕生日パーティなんて聞いたことないんですが?」
「それは、そうだが、開かないわけにもいかない訳なんだが・・・」
俺は、顔をしかめた。
「嫌そうだな」
「好きな人間はいませんよ。男爵だから2000人ぐらいですか」
大よそ700家ほどの貴族・商人・職人たちを招待することになるのだ。
「魔道具関係者とルークの知り合いの貴族と商人と各ギルド長で2000人でどうだ」
「それぐらいなら構いません」
「ルークの誕生日パーティには、若い花や花盛りの花が大量に来るだろうよ」
「若い花と花盛りの花ね」
「ヴィルマ嬢とミリヤム嬢の年齢は知っているだろう。もしルークの坊主が花を気に入れば、直接利権を配ってくれる上に派閥のトップからも一目置かれるわけだ」
「・・・もしや2人は、側室候補とか思われている?」
休日は、ハクカやリアやミュウとデートだったり、仲間内で観光しているぐらいだ。
「ルークの坊主とは、縁がない2家に利権を配っているからだろう」
「派閥のトップを緩衝材にして利権を配った方がいいんですかね」
「ブラント騎士家は、それで何とかなってもエドガー侯爵家との繋がりが希薄だろ」
「その時点で魔道具利権から外れますね」
「やっぱりアスガハン準男爵家に直接利権を配った方がいいんだよな」
「俺は、ハクカ、リア、ミュウ・・・以外興味ないですけど」
「その間が気になるところだけどよ。ルークの坊主の側室が2人だと少ないわけだ。最低でも側室が後1人は必要だな」
「ヴェルのところは?」
「イーナ、ルイーゼ、ジビラで意外と揃っていたりするだよな」
「最低限の義務は、果たしている訳か」
「ルークの興味をもたれるように6歳〜20歳ぐらいの花付きだな」
「仕方ない・・・・側室を勧めてきたら、魔道具利権等から外しておきます」
「・・・・王都にあるブライヒレーダー辺境伯邸で行うから。坊主は、当日に身一つで来ればいいさ」
「わかりました」
せっかくの誕生日パーティーも色々と忙しくなりそうな気配だ。
とにかく沢山の人たちの相手をさせられそうなので、あまり楽しくはないであろうことだけは覚悟するのであった。
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