翌日。
ルークとヴェンデリンが軍の駐屯地で風魔法の熟練度を上げ、ローランが中心となりファブレ準男爵諸侯軍を編成し、ブライヒレーダー辺境伯が中心となり、バウマイスター準男爵諸侯軍を編成している謁見の間では
「お久しぶりです。陛下」
「久しいな。ブロワ辺境伯・・・・して、なにようだ」
「はい・・・その前にひとつお伺いいたします」
「・・・・?」
「バウマイスター準男爵の正妻がホーエンハイム家の聖女とのことです」
「耳が早いな」
「・・・であれば、カルラをファブレ準男爵の第2正妻にしていただきたいのです」
「その娘で相違ないか?」
「はい」
「面を上げよ」
カルラが下げていた顔を上げた。
カルラの服装は、緑のリボンと白を基調とした光沢のあるドレスであった。
控えめながら凛とした雰囲気を発していた。
「・・・ほう・・・美しい娘だな・・・エリーゼが太陽なら、そなたは月だな」
「お褒めいただきありがとうございます」
カルラが会釈をした。
「余としては、ファブレ準男爵に勅命を下してまでカルラを第2正妻にする気はない」
「・・・・強制ではなければ問題ないと」
「難しいであろうな・・・今のファブレ準男爵に何を提供するのだ」
「確かに今のファブレ準男爵に提供は出来ませんな。ですが、将来を考えればおかしな話ではないのでは・・・」
「・・・20年以上先の話になる」
「20年ですか」
「うむ・・・そのころであれば、魔法使いとして成長しているはずだ」
「・・・ファブレ準男爵の成長を見守るとしましょう」
「・・・所で、ブロワ辺境伯領の様子はどうだ」
「ブロワ辺境伯領の様子は、依然変わりませんな」
「そうか・・・パルケニア草原の解放がなれば、状況の変化も生まれよう」
「・・・期待しておきましょう」
こうしてブロワと王の謁見は無事に終了した。
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