ケイの転生小説 - 八男って63−3
 その頃のブラント騎士家では

「残念ながら、いないな」

「やはりですか」

 モンジェラ子爵とルトーガーがミリヤムの婿について話していた。

「結婚式は、相当大きな出費だな」

「文系の下級貴族では厳しいのでしょうな」

「そうだな。文系の下級貴族では厳しいな」

「となりますと裕福な法衣準男爵あるいは法衣騎士爵の子弟になりますな」

「・・・確かに彼らであれば、支払えるだろう」

「その条件を飲んだとして、対象の人物はおられるのですか?」

「・・・残念ながら厳しいな」

「そうなりますと今の仕事を続けるのは厳しいですな」

 2人が悩んでいる。

「養子しかありませんな」

「優秀である程度忠誠心があれば認められるはずだ」
 
「ただいま帰りました」

「お帰り、ミリヤム」

「はい・・・モンジェラ子爵、婿の件でしょうか」

「ああ」

「条件はとても厳しくなっている」

「はい」

「所でその花束は?」

「これはルーク君に頂いたお花です」

「ほう・・・・綺麗な花ではないか」

「はい」

「・・・職務を孫に引き継がせる条件でファブレ準男爵の側室というてもあるか」

「・・え・・・ルーク君もそのために花束をくれたわけでは・・・」

 ミリヤムが頬を赤くして否定した。
 だがルートガーは、違った。王からの覚えもある竜殺しの子供に職務を引き継がせる・・・これであれば王国も肯定してくれるであろう。問題は、準男爵が下級貴族を側室にすることである・・・これが中級貴族であれば、下級貴族の一人を側室に出来るのだ。