ケイの転生小説 - 八男って60−3
「お父様」

 お父様の空気が暗いです。

「ミリヤム・・・すまないな。こんなことならもう少しエーリッヒ殿にヒントを出すべきだったか」

「お父様は、エーリッヒ様に実例をそれとなく伝えていました。あれが限界です」

 お父様が疲れきった顔をしながら

「ああ・・・エーリッヒ殿であれば、気づいてくれると信じていたからな。問題は、婿探しだ」

「・・・ミリヤムの婿は厳しいのですか?」

 お母様が心配そうにお父様に聞いていました。

「前以上に厳しい条件となる。最低限、仕事ができることとブラント騎士家が維持できることと結婚費用として、白金貨60枚分の持参金を支払うことが可能なことが条件となる」

「その条件ですと法衣貴族家の方でも相当裕福な方以外いませんよね」

「半年以内で婿が見つけられればいいのだがな」

「お父様・・・その条件で合致する法衣貴族家に伝手はございますか」

 自分の夫になるかもしれないので尋ねてみました。

「ない・・・うちは、代々財務畑の人間で下級宮中貴族家だからな。モンジュラ子爵家しか頼りにならない。今回の件だとモンジェラ子爵家が自由にしてくれたから可能だったが、果たしてこの条件で婿入りしてくれる貴族家をモンジェラ子爵家がご存知かどうか」

 ブラント騎士家に暗雲が立ち込め始める。