ローランの結婚式が終わったヴェルたちは、ブライヒレーダー辺境伯家に宿泊をしていた。
「すまない」
エーリッヒが素直に謝った。
商業ギルドで手紙のやり取りの記録があるのだ。
「今回の件は、実家と交渉しなかったエーリッヒ殿が悪いな」
「そうなんですか?普通は、持参金は実家が出しませんか」
「出すな。ただし、実家の持参金を当てにする場合は、どれだけ実家に利益をもたらせれるかが最重要になってくる」
「あの・・・バウマイスター騎士家にですか」
「そうなる・・・当主になるのだからブラント騎士爵家がバウマイスター騎士家に対して用意できる利益を考えないとならないわけだ」
「それ難しくないですか?」
「お館様の話だと方法は無数にあるそうだ」
「例えば?」
「簡単に出来るのは、持参金をためることだな。次期当主権限で寄親からお金を借りて、当主になった際に自分の給料から支払うことと寄親の派閥に組することを条件だな。慣例として黙認しているそうだ」
「そんな方法があるだなんて知りませんでした」
「まあ・・・いくらかヒントを出した後は、そのヒントで持参金をためろという話だからよ。気づくかどうかは、本人の才覚しだいなんだよな。問題は、竜殺しの取り込み合戦が加速しかねないことなんだ」
「取り込みですか」
「この場合だと婚約だな。一番人気は、ヴェルの坊主だけどな」
「あれ・・・?ルークの方は」
「あいつは、ラングレー公爵家のお姫様と婚約している。側室を勧めるのもパーティの席でハクカが隣にいたから厳しいわな。準男爵は、正妻一人と側室一人が一般的だから薦めるのは厳しいんだぜ。2番目がオットー殿とカール殿。3番目がパウル殿とヘルムート殿。4番目がエーリッヒ殿だな」
「随分とその」
「その辺は、祝儀の関係だな。エーリッヒ殿が持参金を用意できるなら2番目の人気になるけどよ」
「そういうことですか」
「今から持参金をためる場合は、厳しいけどよ。すでに持参金のため方を知った以上、これ以上の結果を一人で出さないといけないからよ」
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