「陛下のお気に入りなのをいいことに、あの野蛮人が増長しおって!」
「なにが『王国の最終兵器』だ! 王国軍の連中があの野蛮人を頼りにするから、ますます増長するのだ!」
「王宮筆頭魔導師のくせに、ろくに出仕もしないでいい気なものだ」
「奴はどこに行ったのだ?」
「なんでも、パルケニア草原に偵察に出たとか」
「ああ、定期的にやっているアレか。普段威張り腐っても、『グレードグランド』には手も足も出ないようだな」
「その程度の魔法使いなんだろう」
「最近噂の『竜殺しの英雄』の台頭に対抗できず、どうせそのうち消えるだろう」
「王宮筆頭魔導師の交代か」
「ざまあないな」
「毎度毎度、口ばかり達者である!」
「えっ?」
「「「「「ひぃーーー!」」」」」
「某の悪口を言うのは勝手であるが、本人に聞かれて怯えるくらいなら言わぬ方がマシなのである! 陛下の下に向かうので御免!」
毎年年金を貰える身分なのに、やることといえば他人の悪口ばかり、相手をするのも時間の無駄というもの。
「竜殺しの英雄であるか」
若い魔法使いの台頭!
実に素晴らしいのである!
もし某を上回る実力の持ち主であれば、大変に面白くなるというもの。
パルケニア草原の偵察情報を陛下に報告がてら、早速竜殺しの英雄の情報を集めるのである!
次