5月の初旬。
冒険者予備校の訓練場。
集まった生徒たちが見ているのは、掲示板の隅に貼られた一枚の簡素な貼り紙だ。
“第XX回狩猟大会、参加者募集中!”
「これ、何? 予備校の行事にこんなのあったっけ」
「冒険者予備校で非公式に生徒たちで開催してる大会だよ、教官には内緒だぞ。腕に自信がある奴らが狩りの腕を競い合うのさ」
訳知り顔の生徒が周囲の者に大会の詳細を説明し始めました。
参加者はブライヒブルクから少し離れた場所にある狩場で一斉に狩りを行い、最も獲物を収入に変えた者が勝つというルールのようです。
「上位に入った奴はこの冒険者予備校で一目置かれるってだけじゃなく、卒業後も冒険者として名をあげるってジンクスもあるんだぜ」
「ふぅん、本当かしら……」
「でも、何だか楽しそう。園遊会に参加したから財布も寂しいし、お金にもなるならやってみようかな」
「ねえ、やってみようよ」
ミュウの提案で、俺、ハクカ、リッドも参加することにした。
「ルークたちも参加するのかしら」
「ああ」
狩猟場には、イザベル、ユリア、膝下まである小麦色の髪、薄紫色の瞳をしていた良家のお嬢様風の美少女がチームを組んでいた。
「アクアよ」
良家のお嬢様風の美少女が自己紹介をしてきた。
俺達もそれぞれ自己紹介をした。
「せっかくだから合同でチームを組まない」
ユリアが提案してきた。
俺達は、少し考えて了承した。
「これより、狩猟大会を開始します」
主催者の男が前に出て開始の合図を送った。
俺は、『探知』魔法で狙いを猪と決め、狩場を歩く。
「(見つけた)」
狙っていた猪を発見した俺達は、俺、リッドが弓で狙い、矢を命中させる。
頭に当たった猪は、こちらを目掛けて突進してきた。
そこにミュウが駆け出し、
「ハッ」
剣を振り下ろし、猪の首を切り落とす。
すぐさま、ハクカが魔法の袋で猪を回収していく。
その後も、ユリアが猪を
「ハッ」
拳で攻撃している間に、リッド、イザベル、ミュウが止めを刺したりしていた。
アクアは、
「サンド」
土を砂に変えて猪の足止めをしていた。
俺が
「風の傷」
風で猪の首を切り落とした。
最終的には猪96頭ほど得ることができたのだった。
そうして、無事に制限時間を過ぎて、主催者が、その結果を読み上げた。
「1位から5位まで、発表するぞ」
1位 ルークパーティの7人組
2位 ロジーナパーティの4人組
3位 ヴォルフパーティの8人組
4位 オルドパーティの3人組
5位 テオドラパーティの8人組
主催者に名前を読み上げられた者達、呼ばれなかった者達が一喜一憂する。
「これで狩猟大会を終えます」
こうして狩猟大会は、無事終了した。
次