ケイの転生小説 - 八男って38−1
「予想外ですが、これは嬉しい誤算ですね」

「ルークの坊主のことですか?」

「ええ」

 園遊会が終わった夜。
 私は、ブランタークと話しています。
 重荷のひとつが取れて嬉しいですね。
 何しろ、魔の森と天地の森の出兵の遺産が手に入りましたからね。

「・・・重荷が取れたと思うべきですか」

「そうですね。後は、父や祖父たちのアンデットを浄化するだけですね」

「ヴェルとルークの坊主に依頼するにしても、ブライヒレーダー辺境伯家から誰をつけるので」

「・・・そうですね。ヴェンデリン君であれば、ブランタークが代理の方が問題ないですね。問題は、ルーク君ですか」

「・・・俺以外の魔法使いが望ましいのでは」

「お抱え筆頭魔法使いの代理が出来る高名な魔法使いですか。しかも秘密が守れそうな血縁な人物ですか・・・・」

「・・・ひとり気になる人物がいますぜ」

「ブランタークのいう気になる人物とは」

「ルークの坊主のパーティメンバーにミュウの嬢ちゃんがいたと思いますが」

「・・・いましたね」

 名前は把握しています。

「その嬢ちゃんの髪色が、白銀でしたぜ」

「・・・!わが一族に近い色だといいたいのですね」

「ええ・・・・もしかしたら血縁関係がおありでは」

 急ぎ、ミュウさんの血縁関係を調べるように家臣に指示を出すと該当者が一人いました。
 今から200年ほど前、ブライヒレーダー辺境伯家から平民に落ちた一家がいました。

「・・・ミュウさんは、代理は無理ですが・・・『水棲』の彼女にお願いしようと思います」

「・・・『水棲』ですか。評判はいいから大丈夫ですぜ」

「ブランターク・・・お願いできますか」

「分かりました」

 私は、家臣に指示を出し、ファブレ騎士家に遺産を返還することにしました。
 心証を良くするために、ファブレ騎士家のお兄さんの結婚式を後押ししておきましょうか。

「バウマイスター騎士家のほうは?」

「残念ですが、遺産が手に入ったのは、ファブレ騎士家だけですね」

「了解しました」

 バウマイスター騎士家の遺産は、ヴェンデリン君が持っていますからね。
 これに関しては、強制する権利はありませんし、ヴェンデリン君の物ですからね。
 むしろ遺産を無条件に近い形で返還したルーク君の方が、少数派ですね。