俺達10人は果樹園に赴き、話しを聞くことにした。
「昼間の被害はまだマシなんだが、酷いのが日暮れの後なんだよ。しかし害獣の正体は、ハッキリ見てないんでなんともなぁ」
「あの、昼間の被害は鳥ですか?」
「うむ。人間がいると近づいてこないが、かといって四六時中監視ばかりもできんし困ったもんだよ」
鳥か。
「いらない鏡とかありますか?あといらない服も」
「それなら、あの小屋の中のものを好きに使っていいよ」
俺達は、依頼主の言う小屋に移動した。
「おー!色々使えそうだな」
「何をする気だ」
「皆も手伝ってくれ」
「別にいいけど」
俺達は、ヴェルの指示通りに共同で物を作っていく。
俺とリッド、ハクカとミュウ、イーナとジビラ、ルイーゼとイザベル、ヴェルとエルの2人一組である。
ヴェルが鏡を紐にぶら下げていた。
「こうやってぶら下げておくと風で回転して光が反射するから鳥避けになるんだ」
「へえー。良くこんな事を思いつくわね」
「さすがすごいよヴェル君」
「いやそれほどでも」
ヴェルがイーナとルイーゼの賞賛の言葉で照れていた。
「あと、これは紐を引くと音が鳴る仕掛けで」
「すっごい」
イーナとルイーゼの2人が賞賛していく。
ジビラとイザベルの機嫌が悪くなっていく。
「なぁ。この物体はなんなんだ」
エルがカカシを持って言う。
「これは、畑に立てて人間と勘違いさせて鳥を近寄らせないようにするんだ」
ヴェルが案山子を持ちながらいうが俺達は、ホラーよりの人形に全力でひいていた。
「キャーー」
イザベルが案山子を持ちながら
「ホント、人間そっくり、ヴェンデリン天才ね」
「いやーそれほどでも」
「・・・・」
「「「「「「人間」」」」」」
「「「ゾンビだろ」」」
俺達は、ヴェルが作った案山子に突っ込まざる得なかった。
「ヴェルを持ち上げるのも無理があるわ」
「そだねぇ〜〜。お世辞にもほどがある・・・」
「お世辞なのかな?」
「さあ」
ハクカの疑問に答えられる人間は、誰もいなかった。
何しろヴェルもイザベルも人間そっくりだと思っている節があるからである。
「きっききっ」
ガタン
「今の音は・・・」
「出たわね」
全員が音の発信源である外に飛び出した。
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