ケイの転生小説 - 八男って32−3
「ただいま、バンス」

「母さん、占い師のフリをして、道行く若者たちにいい加減なアドバイスをするのをやめてくれよ!」

「なにを言うか。私は、悩める若人に道を示しておるだけじゃ。なんも悪いことはしておらん。それに、あんなアドバイス。占いなどできいなくても言えるではないか」

「占い師の格好して言うのをやめてくれって言っているんだ! 父さんが亡くなって暇だからって……」

「どうせ来週には西部に引っ越しなのだから、これで引退にするわ」

「本当だからな! 引っ越し先でもやるなよ?」

「はいはい」

 まったく、うちのお袋は……。
 子供の頃、占い師になりたかったからと言って、街中で若者に無料で占うと声をかけ、適当な予言をしてしまうんだから。

 ……まさか、うちの母さんの占いを信じた人はいないよな?

 うん、一人もいないことにしよう。