「この森は我が家専用の森だから、遠慮しないで魔法で獲物を獲ると良い。僕が同伴なのは、狩りの成果が僕メインであると言う方便のためでもある」
「はい、分かりました」
「それと・・・ハクカに魔法の使い方を教えてあげて欲しいんだ」
「え・・・ハクカにですか?」
「ハクカの母親の話だと魔力があるけど魔法の使い方が分からない状態らしい。何せ本は、わが家にしかないからね」
「・・・あ」
「・・・あの・・・おしえてください」
ハクカが不安そうな目を浮かべながら言ってきた。
「教えるよ」
「ありがとう」
ハクカが笑顔を浮かべてきたので、思わず視線をそらした。
僕とローラン兄さんとハクカは、地道に獲物を探すことにした。
僕は、アティ先生から教わった探索方法を駆使して探したのだ。
それから半日ほど、獲物を探って接近をし、弓の腕前ではファブレ家一のローラン兄さんが放つ矢を魔法で強化する。
どうやら本当にローラン兄さんの弓の腕前は優れているらしい。
矢の方角や進路の修正は全く必要なく、魔法で威力の上がった矢は容赦なく猪、鹿、ホロホロ鳥の急所に命中していく。
僕とハクカとローラン兄さんは、心臓か脳天に矢の一撃受けて絶命した獲物の血を急いで抜き、僕は嫌な感触に顔を顰めた。
「最初は、誰だってその感触に悩まされるものだよ」
ローラン兄さんが僕とハクカを見て言う。
隣を見ると顔が青ざめているハクカがいた。
「大丈夫、ハクカ」
「・・・え・・・うん」
辛うじてハクカが生返事をしていた。
「ルーク、水は出せるよね」
「・・え・・・あ・・はい」
ローラン兄さんの求めに応じて水で獲物を冷やしていく。
こうすることで、温かい肉が冷えるので肉の味が良くなるのだ。
正直、6歳児には辛い仕事なのだが、さすがは身体強化の魔法。
特に問題なく、獲物の処理を終わらせていく。
「魔法というのは凄い物だね。僕の放った矢の威力をここまで強化できるなんて」
「ローラン兄さんの場合、狙いが正確だから威力だけ弄れば良いので楽でしたね」
「お褒めに預かり光栄だね」
「さてと、今日はこの辺でいいかな。ルークとハクカは疲れていないのかな?」
「・・・つかれてないです」
僕たちが取った獲物は、猪1匹、ホロホロ鳥1匹、鹿1匹という具合である。
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