ケイの転生小説 - 自分が異世界転移9
 秋SIDE

 埋葬が終わり、その場所から離れる。
 僕は大きく息を吐く。

 風に揺らされ葉が擦りあう音が耳に届く。他にはこれといって音は――

「・・・・て・・・・や・・・」

 何か声が聞こえる。
 方向は、たぶんこっち。
 ステータスが上がったことにより、聴覚や視力も上がっているのだろうか。いつもより遠くまで見通せるし、この音だって普通は聞こえ
ない。

 雑草を掻き分け、木々の間を抜け飛び出すとそこには一人の男が少女に覆いかぶさっていた。

「・・・何しているの?」

「・・・!」

 男が驚いた顔を浮かべていたが僕の姿を見て、ニヤリと笑みを浮かべていた。
 なんかいやな予感がする。

「坊主も転移者か・・・・悪いな、死ねよ」

「・・・・ふぇ・・・」

 男が手のひらから炎の玉を投げつけてきた。
 僕は、慌てて、避ける。

 バンバンバンバン

 男が火の玉を僕に投げつけてきたので避ける。

「ちょこまかと」

 男が立ち上がり、腰にある袋から何かを取り出そうとしていた。
 僕は、その隙に『気』を足元にため、走り出した。
 男は、にやりと笑みを浮かべ剣を取りだし、構え、剣を振った。

 シュン スカ ドン

「・・・いてぇ〜〜〜〜〜〜〜〜」

 動きが直線的だったため、すぐさま男をぶん殴った。
 男が少女から引き、地面でのた打ち回っていた。

「てめぇ〜」

 ドン

 男の腹を殴った。

「・・・ぎゃああ〜〜・・・いてぇ〜・・・」

 男が、逃げ出した。

「大丈夫」

 少女に駆け寄ると、泣き出してきた。