朝食を終え、少し休憩したら、僕たちは、早速オーガたちに話を通すことにした。
「気を習いたいと」
「はい」
「私が教えるわ。ただ土屋さんたちにも教えることになっているから、そのときに一緒に教えるわ」
午後
僕たちは、土屋さんたちの新たな拠点を目指していた。
拠点に到着すると土屋さんは、丸太を加工し、小屋を建造していた。
「今回、皆さんに気を教えることとなったシュールムと申します。まずは、同胞たちを助けていただいたことに感謝の言葉を」
小屋の前の空き地でシュールムと名乗った女性のオーガを前に、僕たちは真剣な表情で聞き入った。
教官役を買って出てくれたシュールムという女性オーガは、見た感じオウカと同じく人間に近い外見で、角は一本しかない。
シュールムはオーガの中でもかなり早く『気』を習得したらしく、相手に教えるのも上手いので、覚えが悪い者の担当になることが多いそうだ。
オウカと仲が良かったので、今回の頼みごとに対して是非にと、快い承諾を貰えた。
ちなみに見た目は、元気溢れるオウカとは対照的で、おしとやかでおとなしい感じのする美人だ。
「これはこれで、素敵だな……」
と権蔵がつぶやく。
「では、皆さんには、まず初歩的な『気』を抑える鍛錬を始めてもらいます。土屋さんから予めお話を伺っていたのですが、隠蔽スキルを所有している方がいるそうですが、どなたでしょうか?」
サウワ、今日は流石にギリースーツを着ていないゴルホ、縁野、僕がすっと手を挙げる。
「よくわからないけど、土屋お兄ちゃんが、サウワにはあるって言ってた」
「ゴルホもそう言われた」
「そうですか。では、4人とも意識してスキルを発動してもらえますか。いつもの気配を殺して潜む感じで」
僕たちが同時に発動させる。
「皆さんお見事です。特にゴルホさんは、完璧ですね。これ程まで見事に気配を殺せる人を今まで見たことがありません」
シュールムさんが絶賛するのも無理はない。これにギリースーツを着こんだ状態だと視界からも意識からも消滅するのだから、上級者レベルどころの騒ぎではないのだろう。
「さて、4人の方に隠蔽を使ってもらったのにはわけがあります。この気配を殺すという感覚を掴んでいる人だと『気』を習得しやすいのです。もちろん、隠蔽が使えなくても『気』は習得できますので安心してください」
話を聞き心配していた権蔵と桜がほっとした表情になる。
「はい、目を閉じて……心の奥に何か温かい光があるのを感じ取ってください」
シュールムの熱心な教えを聞きながら、『気』の使い方を再度習っていた。
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