ケイの転生小説 - 自分が異世界転移57
 森で一晩を明かし、早朝に僕たちはベヒモスの眠る土地へと向かう。
 あと一時間もしない距離にベヒモスがいるそうだ。
 出発直前に知らされた偵察からの情報によると、相も変わらず岩盤に囲まれたまま眠りこけているらしい。



 北の森に足を踏み入れたようで、周辺の木が立派に成長した大木ばかりになっている。

「久しぶりの北の森だぜ」

「ああ、そうだな」

 少し前に来たばかりだというのに、以前よりも森に命の気配を感じられる。誰も余計な手出しをしなければ、この森は自然あふれる豊かな森になるのだろうな。

 のんびり森林浴でもしたいが、そんな場合じゃない。今はベヒモスに集中しなければ。

 かなり、ベヒモスに近づいてきたようで、雑用担当の部隊はここで待機となるようだ。
 何だろう、いやな予感がする。

「くれぐれも体に気を付けてくださいね。紅さん」

「桜が待っていてくれるから、皆頑張れるんだよ」

「うん、美味しいご飯つくって待って――」

「逃げろおおおおおおっ! ベヒモスが向かってくるぞっ!」

 桜の言葉をかき消したのは、叫びながら懸命に逃げてくるオーガの偵察兵とその背後から地響きを上げて迫る巨大な怪獣――ベヒモスだった。