翌日。
僕たちは、聖樹の森に来ていた。
この場所は、僕たちの拠点から北にあるあの迷いの森である。
初めてこの場所に足を踏み入れたときは、不自然なぐらいに静まり返った森だったのだが、今は雑草や落ち葉を踏みしめる音が周囲から流れてくる。小動物の姿もちらほら見受けられるようになっていた。
植物だけの楽園だったのが、本来あるべき姿である自然の森へ生まれ変わっている最中なのだろう。
オークやハイオークなどがこちらに向かってきていた。
ハイオークを剣で一閃し、光お姉ちゃんがオークを風で切り裂く。
西の魔物に比べてひどく弱く、北の洞窟にいたトロールに比べても弱い。
個としての力は、おそらくこの島の中だと下の中ぐらいであろう。ただ集団としてみれば、下の上から中の上ぐらいにまで跳ね上がるかもしれない。
「オークたちは北の森に異変があったことに気づいたのか」
1時間後
森の中にぽっかり開いた巨大な空き地があった。
地面は荒れ果て、根が飛び出した幾つもの穴がある。
その空き地の中心部に大穴があるが、あれは聖樹が根を下ろしていた場所だと思われる。
地面に無数の煌めきが見える。あれが、全て魔石だとすると結構な数である。
「拾っておこうか」
「そうね」
僕と光お姉ちゃんは、魔石やアイテムや転移者の持ち物を回収していく。
【魂くらいが発動しました。スキルポイントを手に入れます。魂を死を司る神に献上します】
完全に陽が落ち、周辺に魔物の気配がないとはいえ、開けた場所に陣取るのは危険だと判断する。聖樹跡地から少し離れた場所で火を起こし、夕食を取ることにした。
「しかしかなりの数だよね」
「そうね」
あの穴の中から出てきた魔石の数やアイテムは、土屋さんが回収したとはいえ、いまだにある。伊達に数十万年近く君臨しているわけではないか。
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