ケイの転生小説 - 自分が異世界転移25
 丑三つ時、僕は眠りから目を覚ました。
 なぜ、目を覚ましたのかよく分からなかったのだが、上半身を起こそうとしたが、かすかに体に重みがあり、隣を見ると光お姉ちゃんの顔が真正面にあった。暗闇から見る光お姉ちゃんの寝顔に、心臓が脈打ち、しばし光お姉ちゃんの寝顔をみていたようだ。光お姉ちゃんからの温もりから抜け出し、穴の出入口に向かう。出入口は植物であらかじめふさいでいるので、『植物使い』を使用して、植物をどかし、出入口を植物でふさぎ『第6感』を頼りに、変な感じがするほうに進んでいく。夜なので暗いのだが、なぜか、あたりがよく見えた。念のため『気』を使用して、無機物の場所を精査して問題なく歩いていけた。

「どうしようか?」

 感覚的に僕たちの拠点と変な感じがする場所との距離が半分であることが気がついたのはいいのだが、これ以上はなれると帰りが遅くなりそうなのだ。僕は、拠点に引き返したのは良いが、光お姉ちゃんにばれて、

「秋君・・・心配したんだから」

 光お姉ちゃんに心配を掛けたみたいなので素直に謝った。

「ごめん」

 しばらくすると土屋さんたちが来た。
 事情説明をお願いすることにした。
 そこで、サクラたちにも事情を説明するので来て欲しいと頼まれた。
 僕たちは、土屋さんたちの拠点を目指す。

 土屋たちの拠点は深い森の中にあるので、真上は開けているが周囲が暗闇に包まれている。

「ここに柵があるので、糸を解除しますから隙間を通ってください」

 土屋がスマホの明かりで柵を照らし、僕たちを誘導した。

「桜さーん、理沙さん、海さん、裕子さん、今帰りました」

 スマホで照らしても闇しかない一帯に向けて叫ぶ土屋を見て、二人が眉をひそめている。

「あ、土屋さんっ! 今行きます!」

 入り口の丸太を押し開け桜さんが飛び出してきた。
 スマホの光に照らされた桜さんは、寝起きの状態で慌てていたのだろう。ジャージはお腹が冷えるのを防止する為に裾がズボンにインしている。口元には涎の跡があり、頭は爆発ヘアーだ。

 桜さんも土屋さん以外に誰かがいるとは思っていなかったようで、飛び出したままの格好で硬直している。
 背後へ振り返るとおっさんはため息を一つ。青年は指差したままの格好で同じく硬直している。

「紹介するよ。年上のお姉さん、桜さんだ」

「さ、さ、詐欺だっ……」

 その場に膝から崩れ落ちた青年を憐れんだ目で見つめる、土屋さんと蓬莱さんの生暖かい視線があった。

「えっえっ?」

 状況に理解が追い付かず、慌てふためくサクラさん

「ただいま」

 と土屋は声を掛けた。