ケイの転生小説 - 自分が異世界転移2−6
 魚を倒した僕たちは、早速、手持ちのスキルの確認をすることにした。
 僕が使えるのは、『治癒』と『水魔法』ぐらいだ。
 『治癒』は、他人にしか効果を発揮しないスキルだ。お姉さんに怪我はないので、使えない。

「『水魔法』」

 と唱えると、水がまとわりつく。
 何度か試行錯誤して、水魔法が使えるようになった。
 どうやら魔法は、イメージに依存するようだ。
 その上、水の攻撃力は低かった。

「レベルが上がれば使えると思うよ」

 お姉さんが、何かを持っていた。

「それは・・・?」

 全身、真っ黒であった。

「これ?・・・これはね、簡単に言えば環境適応服。これを着れば、海の中でも問題なく泳ぐことができる」

「すごい」

 僕は、お姉さんを絶賛した。
 お姉さんは、さっさと服を着替えた。
 そして、海の中を覗き込むと

「・・・これは、無理ね」

「・・・え・・・・」

「君も見てみれば分かるよ」

 お姉さんに誘われて、海の中をのぞく。
 無理だ。あのがけ以上の難易度のように思える。

「見つからなかったら、ここが一番よ」

「そうだけど」

「それに今は、砂浜だけど月が満ちれば海に早代わりよ」

「・・・え・・」

「君も着替えたほうがいいよ。その服、テイルズのだよね」

「ええ・・・元々海の中を安全にもぐりこむためのなりきり装束だったんだけど」

「早めにしないとまずいかもね。あの魚に襲われるかもしれないね」

「・・・・そうだよね」

 渋々ながら着替えようとしたらパチッとしてはじかれた。

「・・・え・・・」

 お姉さんが服を手に取る。

「・・・なるほどね、君、『説明』レベルいくつ」

「・・え・・・・1です」

「それじゃあ、仕方ない。この服の使用条件は、女であることだよ」

「・・・使えない。海にもぐる以外の方法を探すしかない」

 周囲を見渡すが、あるのは半径10m程度の砂浜と全身から血を流している男の人と100mを超える道が険しい崖ぐらいしかない。

「・・・え・・・・」

 慌てて、男の人を見る。

「私がおきたときには、すでになくなっていたわよ」

 僕は、恐る恐る男の人に近づく。
 何か役に立つものがあるかもしれないからだ。

「・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 と謝りながら、探る。
 ポケットに入っている生徒手帳を見た。

【魂くらいが発動しました。以降、生徒手帳に魂くらいが記載されます】

「・・え」

 キョロキョロと周囲を見渡すが声の主はいない。
 お姉さんに問いただされてさっきの話をする。

「・・・スキルが解放されたのかもしれないわ」

 お姉さんの一言で納得する。
 手帳を拝見した。
 名前、性別とかは重要じゃないといわれた。
 スキルを見る。



 何も習得していない珍しい状態だ。
 これにはお姉さんもびっくりしていた。
 アイテムを見る。

『アイテムボックス』『輝夜転身薬』『転身薬』

「なに・・・これ・・・?」

「・・・見てみるわよ」

 お姉さんが一つずつ調べてくれた。

『輝夜転身特性薬』:輝夜に転身を行いつつ、特性を引き継げる薬

『転身薬』:イメージを元に転身する薬

「・・・・一旦、スキルを見せてもらっていいかしら」

「・・・いいですよ」

 僕は、手帳をお姉さんに見せる。

「・・・なるほどね。君のスキルとこの人のアイテムを組み合わせれば、海を安全に渡って行けるわね。君が飲む薬はこれね」

 お姉さんが『輝夜転身特性薬』を手渡してきた。
 お姉さんは『転身薬』を試しに飲んでいた。お姉さんの姿は見る間に変わり、お姉さんの面影を残した男に変身をしていた。

「男?」

「に近いわ」

「どういうこと?」

「男でもあり女でもあるのよ」

「よく意味が分からない」

「いずれ分かる」

 僕は『輝夜転身特性薬』を飲んだ。
 意外と甘くておいしい。
 
 身体が・・・・。

 僕は、あまりの身体の熱さと痛みに倒れた。



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