僕は、『第６感』の警鐘を意図的に無視しながら、小屋に近い塀に槍を突き立てかける。ぼくは助走をつけ、槍を足場にしながら『気』『怪力』を発動させ、塀を飛び越える。集落にいるゴブリンたちがこちらに気がついた様子はなかった。
　『第６感』に任せ、小屋を目指し、両腕に『気』をこめる。両手が高密度の『気』に包まれたのを確認し、壁をぶち抜く。

　バコーン

　と壁が吹き飛ぶ。
　『第６感』が警鐘を鳴らしていたので、僕はその大きなものに向かって

「『柔歩双獅拳』」

　両手から放出した『気』を獅子の型に変化させ、勢いそのまま大きなものにぶち当てる。
　大きなものは、柔歩双獅拳を受けると小屋の壁をぶち抜きながら吹き飛ばされた。

「・・・あき・・・くん」

　光おねえちゃんの声が聞こえたので視線を向けると、正面に裸の光おねえちゃんがいた。
　どうやら、化け物の真下にいたようだ。
　
「・・・光おねえちゃん・・・大丈夫」

　光おねえちゃんが僕に抱きついてきた。

「・・・こわかった・・・」

　光おねえちゃんは、目に涙を浮かべていた。
　僕は、光おねえちゃんの背中に手を回す。

「ゴブルアアアアアアアアアアアアアアッ！」

　うおおおっ！

　何、今の声！

　体の震えが止まらない。
　恐怖に身がすくみそうになる。だが、僕は光おねえちゃんの身体が震えているのを見て恐怖に立ち向かう。

「・・・・ぁぁ・・・・ぃ・・・・」

　少しすると身体の震えが静まっていく。
　まだ身体を震えさせている光おねえちゃんを抱きしめる。

「・・・・あ・・・き・・・くん」

「・・・大丈夫」

「・・・あ・・・うん」

　光おねえちゃんが身体を震えさせながら頷いていた。
　僕は、光おねえちゃんから視線をどかし、今の声を上げたものを見る。



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