ケイの転生小説 - ボクは異世界で 88
 ミアがディメンジョン・ステップで消える。
 結城先輩のそばに出現し、なにごとか会話する。
 高等部のリーダーたるニンジャは、ミアと話をする間もせわしなくアガ・スーの枝葉を打ち払っていた。

 数秒で、会話は終了。
 思ったよりずっとはやく終わった。
 やっぱあの兄妹、意思の疎通がスムーズだ。

 で、結城先輩は啓子さんに呼びかけ、連係した攻撃に出た。
 アリスとたまきも動き出す。
 四方向からの同時攻撃を、アガ・スーは無数の枝葉で捌き続けるが……。

「いくわよーっ」

 啓子さんが、強引かつ華麗な身のこなしで蠢く枝の内側に滑り込む。
 気合一閃、見事な一撃を叩き込んだ。
 ほぼ同時に、アリスが槍の柄を伸ばし、アガ・スーの幹に刺突を見舞う。

 アガ・スーは、その両方を耐えきった。
 槍と剣が弾かれる。
 それとほぼタイミングを同じくして……。

「ホワイト・カノン」

 ミアの放った白いビームが、アガ・スーの本体を直撃する。
 白いビームが、幹に弾かれる。
 その瞬間、まさに刹那の間だけ、幹全体が銀色に輝いた。

「あれだわっ!」

 たまきが、叫ぶ。
 そう、それは間違いなく、幹全体を包む銀の結界だ。

 一瞬だけ浮かび上がったバリアの存在。

「シェイプ・チェンジ」

 和弘は付与魔法のランク9、最強の魔法のひとつを行使する。
 黄金の輝きに包まれた和弘の身体の輪郭が、溶け崩れていった。