ケイの転生小説 - ボクは異世界で 76
 気づくとぼくたちは、白い部屋にワープしていた。



 白い部屋には、ぼくたち5人のほか、当然のような顔をして、アリハがいる。
 アリハが、周囲を見渡し

「ここが神託にあった可能性の広間ですね」

 可能性の広間。
 初耳の単語だ。

 いやまあ、たしかにそういわれてみれば、そういえなくもないなと考える。
 スキルを取得するイコール、可能性を得るということか。

 いつもと同様の白い部屋には、一台余分に机と椅子、そしてノートPCが設置されていた。
 アリハのノートPCなのだろう。

「アリハさん、PCを見てもいいですか」

「PCですか?そこに載っている機械のこと。どうぞ、ご覧になってください」

 あ、やっぱパソコンなんて知らないか。
 ノートPCの画面には、予想通り、アリハのデータが日本語で表示されていた。
 見たところ、レベルは1で、ほかの点は特にぼくらと変わりがないようだけど……

「スキルの下に、ウィンドウが重なっています」

 シオネはそういって、アリハのノートPCのマウスを動かし、重なったウィンドウを横にずらした。
 メイン・ウィンドウの後ろから出てきたのは、特殊能力と呼ばれるウィンドウだった。
 特殊能力ウィンドウには、ひとつの単語が表示されている。

 レベルアップ抑制。

 さっそくQ&Aしてみた。
 とりあえず、特殊能力について。

 返答は以下の通りである。
 かなり意訳があるが、たぶんこれで間違ってないはずだ。

・特殊能力ウィンドウに表示される特殊能力をなんらかの方法で得た場合、このウィンドウが生まれる。なんらかの方法とは、ミアベンダーを含む。シオネが素早くミアベンダーに駆け寄った。

「増えてる」

 そう呟き、目を皿のようにしてパネルの文字に目を走らせる。
 だが、しばらくののち……。

「高いよ」

 がっくりと肩を落として戻ってきた。

「やっぱり、いまじゃ無理か」

「3000ポイント溜まってから出なおそう」

 ま、そうだよな。
 特殊能力とか、これあまりにも有用すぎるもんな、そりゃお高いか。
 ぼくたちは顔を見合わせ、苦笑いする。