ケイの転生小説 - ボクは異世界で 69
 僕、ハクカ、アカネ
 長月さん、ユリコ、シオネでパーティを組んで外縁部に向かう。
 高等部からも6人ほど志願した人がいたようだ。
 兵士500人たちより先行して外縁部に向かう。

 そして、木々の周囲を徘徊する者たちがいる。
 その上半身は、青白い肌のヒトのようであった。
 だが下半身は、六つ脚の蜘蛛である。

「あれはアラクネというモンスターです」

 兵士がそういった。

「アラクネは口から蜘蛛の糸を吐き出し、拘束してくるといいます。また高い運動能力を有し、木から木へと飛び移るそうです」

 上半身が人間、下半身は蜘蛛のモンスターを見て、兵士が説明する。
 口ぶりからすると、あくまで知識だけで、実際に見たのは初めてなのだろう。
 説明を聞く限り、森に特化したモンスターみたいだ。

「蜘蛛の糸は、火に弱いそうです。また弓矢や槍を使っても、我々より腕が立ちます」

 ってことは、武器のランクが3くらいか?

 ぼくは、いまのうちに皆に付与魔法をかけておく。
 まずは定番のキーン・ウェポン、フィジカル・アップ、マイティ・アーム、クリア・マインド。
 ユリコとシオネにはスマート・オペレイション。

 それと、ディフレクション・スペルからのレジスト・エレメンツ:火。
 
 長月さんは、木々から飛び出す。
 地面を蹴り、宙を舞って樹上、三体固まったアラクネに突進する。
 アラクネたちはすぐ長月さんに気づくが……。

「ファイア・アロー」

 ユリコとシオネが5本もの炎の矢を放つ。
 三体に目標ばらけさせているため、一体あたり6本から7本。

 長月さんへの注意が、一瞬、それる。

 その一瞬で、長月さんは敵に肉薄していた。
 アラクネたちは慌てて槍を構えようとするが……。

 長月さんが槍を振るう。
 アラクネの胴が真っ二つに切り裂かれる。

『魂くらいが発動しました。アラクネの魂をスキルに変換します』

 僕は剣を薙ぎ払い、残る二体のアラクネを始末する。

 そのタイミングで、最初に倒したアラクネが宝石に変わる。
 青い宝石が一個だった。

 うわー、こいつ一体で、エリートと同じくらいのちからがあるってことか。
 こりゃたしかに、普通の兵士じゃどうしようもない。

「今のうちだ」

 ユリコとシオネの放ったファイア・アローが、アラクネたちを串刺しにする。
 長月さんの刺突が、アラクネの一体の心臓を貫く。

 残る一体は、シオネが放った5発目のファイア・アローによって矢ぶすまにされ、絶命する。
 青い宝石へと変化する。

「サモン・グレーターエレメンタル:ファイア」

 ぼくの呼びかけに応じ、身の丈二メートル半を超える炎に包まれた巨人が出現する。
 巨人の手には、炎に包まれた長い曲刀が握られていた。

 ランク8の召喚魔法は、ランク5のエレメンタル召喚の上位版なのだ。
 今回出てきたファイア・エレメンタルも、ランク5バージョンよりひとまわりおおきい。

 その戦闘力も、桁違いだ。
 ぼくは、ファイア・エレメンタルにキーン・ウェポン、フィジカル・アップ、マイティ・アームをかける。
 その間も、長月さんとファイア・エレメンタルは敵の陣の薄いところへ突撃、破壊を撒き散らす。

 さらに一体、アラクネを倒した。



 長月さんの背中をファイア・エレメンタルが守り、たったのひとりと一体が、アラクネたちの集団で暴れまわる。
 地形や兵士や高等部の人たちも長月さんたちの味方をしていた。
 そうこうしているうちに、この一帯にいたアラクネたちはすべて倒された。

 リーンさんの話によれば、後1箇所ほど、外縁部にモンスターが侵入したそうだ。
 流れ作業的に、外縁部に侵入したモンスターをすべて駆除した。
 人が多かったため、苦戦せずに簡単に倒すことができた。
 けが人は、ハクカが治療をしていた。
 白い部屋では、メニュー・タンズを購入した。風魔法ランク2のレジスト・ウィンドを消した。付与魔法にレジスト系があるためである。これで、和弘がいなくても通訳に支障はない。
 僕は、付与魔法と召還魔法のランクを上げた。
 ハクカは、治療魔法のランクを上げた。
 アカネは、槍術と付与魔法のランクを上げた。
 僕は、エンターを押した。



アキ:レベル30 剣術7/槍術4/射撃4/治療魔法6/風魔法3(メニュー・タンズ)/地魔法3/付与魔法8→9/召喚魔法8→9(リード・ランゲージ)/肉体7/運動7/偵察3 スキルポイント42→24
ハクカ:レベル28 治療魔法8→9 スキルポイント20→11
アカネ:レベル26 槍術6→7/付与魔法4→6 スキルポイント21→3



 世界樹に戻ると志木さんが交渉していた。
 モンスターを倒したぶんの報酬で土地をもらったみたいだ。
 兵士の治療の分の報酬だが、こちらはリーンさんに身元保証人になってもらったそうだ。
 高等部では、朱里さんも似たようなことをしていた。

「お疲れ・・・・もう寝ていていいわよ」

「ああ」

「土地に関しては、明日ご案内しますね」

 とリーンさんが申し出てくれたのでありがたく了承した。
 僕たちは、そのまま身体を拭いた後、寝た。