「アリス、たまき、ミア、ついてきて。残りのひとたちの指揮は、志木さんに任せる」
和弘は、四人にフィジカル・アップをかけ、育芸館の方へ駆け出す。
「ちょ・・・待て」
「賀谷君・・・待ちなさい」
僕と志木さんの声は、むなしく響く。
「・・・・仕方ない。サモン・レイヴン」
カラスを召還して、状況の確認と周囲の索敵をさせた。
少しすると育芸館に向かったカラスが戻ってきた。
「オークサンジュウタイイジョウ」
「・・・・多いな」
「そうね」
もう一度、偵察に行かせる。
周囲に散っていったカラスが戻ってきた。
「イナイ」
「なら、当面は安心かな」
育芸館に放ったカラスが戻ってきた。
「・・オークヲジュンチョウニタオシテイル」
「賀谷君たちは、大丈夫そう?」
「問題ないみたい」
カラスをもう一度、偵察に出した。
少しすると戻ってきた。
「イナイ」
「・・・どうやら倒したようだ」
ほどなくして、生存者を背負いながら、僕たちは育芸館に向かった。
「終わった……の?」
「ああ、なんとか。最善ではないけど、みんながんばってくれた。……けど」
簡単に状況を説明する。オークを逃がしたそうだ。
志木さんは表情をかたくしてうなずいた。
「守りを固めないといけないわね」
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