ケイの転生小説 - ボクは異世界で 22
「アリス、たまき、ミア、ついてきて。残りのひとたちの指揮は、志木さんに任せる」

 和弘は、四人にフィジカル・アップをかけ、育芸館の方へ駆け出す。

「ちょ・・・待て」

「賀谷君・・・待ちなさい」

 僕と志木さんの声は、むなしく響く。

「・・・・仕方ない。サモン・レイヴン」

 カラスを召還して、状況の確認と周囲の索敵をさせた。
 少しすると育芸館に向かったカラスが戻ってきた。

「オークサンジュウタイイジョウ」

「・・・・多いな」

「そうね」

 もう一度、偵察に行かせる。
 周囲に散っていったカラスが戻ってきた。

「イナイ」

「なら、当面は安心かな」

 育芸館に放ったカラスが戻ってきた。

「・・オークヲジュンチョウニタオシテイル」

「賀谷君たちは、大丈夫そう?」

「問題ないみたい」

 カラスをもう一度、偵察に出した。
 少しすると戻ってきた。

「イナイ」

「・・・どうやら倒したようだ」

 ほどなくして、生存者を背負いながら、僕たちは育芸館に向かった。

「終わった……の?」

「ああ、なんとか。最善ではないけど、みんながんばってくれた。……けど」

 簡単に状況を説明する。オークを逃がしたそうだ。
 志木さんは表情をかたくしてうなずいた。

「守りを固めないといけないわね」