僕たちは遅い夕食をとりながら、和弘から詳しい話を聞くことにした。
ミアのくだりで、たまきがわんわん泣きだした。
カヤはそんなたまきの頭を「いいこ、いいこです」と撫でていた。
「ママは、さびしくありません。みんなと、ずっと、いっしょです」
「ずっと……いっしょ?」
「はい。いつかまた、あえるから。だからママは、とってもたのしみだって」
たまきは「そっか」と呟いて、しばし夜空を見上げた。
満天の星空だ。
吸い込まれそうなほど見事な天の川だった。
「レベルアップすればいいんだよね、カズさん」
「ああ。明日から、また戦うぞ。いいな」
「もっちろん! ミアちゃんよりいっぱい、いっぱいがんばってやるんだから!」
涙を腕でごしごしぬぐい、たまきはちから強くうなずく。
「どのみち、まだモンスターの支配領域の方がはるかに多いのです。むしろ、これからが本番といえるでしょう」
ルシアは平然と冷静に泰然自若といった様子で語る。
ケーキをものすごい勢いで頬張りながら。
口もとをクリームで真っ白にしながら。
「がんばるのはいいけど、うちの子たちを押しのけて雑魚狩りとかはナシでお願いね。一部にランク9持ちも出てきたとはいえ、まだまだ平均レベルは二十以下なんだから」
志木さんは育芸館組のことで頭がいっぱいのようだ。
まあ、彼女たちのために、わざわざ地球から戻ってきたんだもんなあ。
そのことを皆に話したら、「わたしたちのために」とみんな泣いて謝ったり感謝したりでたいへんだったらしい。
「これでもう、彼女たちの忠誠心は揺るがないわね」
そんな皮肉めいたことをいっていたけど、きっとそれは志木さんの本心じゃないんだろう。
リーンさんの鷹がやってきて、世界樹に来て欲しいといった。
報告と意見交換、そして今後のことを話し合いたいと。
「お疲れなのは存じております。ですが……」
「わかってるって」
和弘は鷹から聞こえるリーンさんの声を遮り、笑った。
「ぼくの方も、話さなきゃいけないことがある」
「はい、お待ちしています」
僕たちもいっしょに行くことにした。
さすがにクァールだけは残ってもらうことになる。
先日、ドッペルゲンガーなんてものもいたし、さすがにいますぐ彼を世界樹に行かせるのはまずいという判断だ。
「カヤ、クァールといっしょにお留守番、頼めるか」
「まかせて、ください! いっぱい、あそびます!」
カヤは元気いっぱいでクァールの見張りを了承してくれた。
ひとりと一体を残し、残る皆で転移門をくぐる。
和弘は、事の次第をリーンさんに説明した。
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