「・・・・・・どうしよう」
ハクカが女子寮がある場所にチラチラと視線を向けていた。
何せ女子寮から少女たちの苦痛に満ちた悲鳴が聞こえるからである。
僕は、こぶしを握り締めながら
「あのオーク30体をおびき出して、倒す」
「どうやって」
「おびき出すのは難しいことじゃない。問題は、一度にあたるオークの数を減らす場所だな。できれば女子寮から程近いといいな」
「それで?」
咆哮が、森を揺らした。
「・・・あ・・・・・っ・・・・ぁ」
ハクカが、腰を抜かしていた。
僕は、咆哮を上げたオークと目が合った。
禍々しい紅の双眸がぼくを刺すように射貫く。
青銅色の肌をしたオークだった。
身の丈より巨大な斧を持ち、周囲に立つほかのオークよりひとまわり身体がおおきい。
勝てない。
即座にそう判断する。
あれは規格外の個体だ。
おそらくは群れのリーダーである。
しかもそいつの周囲には、六体ものオークがいた。
あれだけの戦力を相手に、いまのぼくでは……。
青い肌のオークの指示で、オークがこちらに向かってきて来た。
ぼくは慌てて、8体のパペット・ゴーレムにオーク4体を倒すように指示を出した。
パペット・ゴーレム単体の性能では、オーク一体に劣る。
しかし付与魔法をかけた状態でならオーク1体とほぼ互角である。
そして二対一なら、ずいぶん優勢に戦うことができていた。
オークはみるみる傷ついていく。
「サモン・パペット・ゴーレム」
追加で8体のパペット・ゴーレムを召還して、青銅色のオークと護衛のオークに向かわせることにした。
パペット・ゴーレムが棍棒を振り上げ、青銅色のオークに向かっていくが斧で一閃させられ、一撃で消滅した。
即座に、ハクカをお姫様抱っこして、逃げ出すことにした。
それに気がついた青銅色のオークがこちらに追いかけようとしたが3体のパペット・ゴーレムに阻まれた。パペット・ゴーレムが攻撃する。
ぼくは、青銅色のオークが来た場所の反対方向に向かって走り出した。
青銅色のオークが咆哮をあげる。
ハクカの体は恐怖なのか震えだしていた。
ボクは、そんなハクカを見ながら走り出した。
しばらく走るとファンファーレが、耳のなかで鳴り響いた。
「あなたはレベルアップしました!」
中性的な声が聞こえてきた。
ぼくは白い部屋にワープする。
「は……え?」
一瞬、事態がわからず、ぼくは立ち尽くす。
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