しばし待つと、アリスたちが戻ってきた。
「和弘とミアは?」
4人しかいないのだ。
「それが突然、消えてしまったんです」
「なに」
僕たちは、ドームに近づこうとしたが、虹色の輝きが消えた。
「入り口がでないな。他の場所に入り口が出現している可能性は」
「確かめてみるでござる」
啓子さんと結城先輩が二手に分かれ、1週したのだが、入り口は出てこなかった。
「・・・こうなると魔法使いによる一点集中による強行突破しか手がないな」
「お待ちください」
突如、リーンさんから制止の声が届いた。
「リーン、何が」
「浮遊要塞に異変が起きております。誰かが、浮遊要塞で暴れております」
「学校には、楔があったな。だとするとまずいな」
「カズさんたちをほおっておくの」
「この近くにリーンさんの鷹を置いておいて、ひとまず世界樹に戻ろう。状況を確認しだい、学校に行くでいいよね」
「異存ござらん」
テパトの寺院前に鷹を置いて世界樹に撤退した。
リーンさんが学校の山周辺の動きを見守っていたところ
「カズが、使い魔を3体召還して、ザガーラズィナーと戦っております」
「僕たちも行くか。リーンさん、転移の用意を」
「わかりました」
リーンさんが転移の用意をしている間に僕たちは準備を整えた。
行くのは、先ほどのメンバーである。
「・・・手助けは必要ないみたいです」
「どういうこと?」
「カズがザガーラズィナーと戦って勝ちました」
僕たちは、その言葉で驚く。
リーンさんが和弘を転移させた。
和弘に事情を説明した。
「結局、なにがあったのでござるか」
結城先輩が訊ねてきた。
和弘は、頭を下げる。
「ミアは……どこか遠くにいってしまいました」
「むっ、詳しい話を聞かせていただけ……いや、いまはよいでござる。ひとつだけ、教えてくだされ。あやつは……」
「生きています。それだけは、確実です。彼女は、望んで旅立ちました。……すみません、結城先輩。ぼくは、あいつを守ることが……」
結城先輩は、無言で面頬を取った。
素顔の彼は表情を消し、和弘を抱きしめる。
「妹のためにがんばってくれて、ありがとう」
いつもの口調じゃなかった。
でも、そこにはこれっぽっちも嘘がなかった。
彼は心の底から……和弘がミアのために献身したことを理解してくれた。
和弘はうなずき、目を閉じる。
「カズさん」
あわてるタマキとアリスだが結城先輩が確かめたところ
「疲れて寝ているでござる」
「今日のところは、和弘を寝かせればいいだろう」
「そうですね」
タマキが和弘を背負い3人は、コテージに戻る。
僕たちは、顔を見合わせ、あのドームで何があったのか聞くことにした。
すると、彼らもわからないらしい。
詳しいことは和弘に聞くしかないな。
僕たちは、
「今ならチャンスよね」
「学校のことだよな」
「・・・わかりました。皆さんを転移させればよろしいのですね」
「ああ」
リーンさんの転移で学校に向かった。
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