ケイの転生小説 - ボクは異世界で
 九月の終わり。
 土曜日の午後の放課後。

 午後2時半

 僕は、中等部本校舎から男子寮に向かって、歩いていた。

 突如、身体がぐらりと揺れた。
 ぼくは、慌てて地面の上に手をついた。

 木々が、振動していた。
 枝がしなって、葉を揺らしていた。

 地震だ。
 しかも、かなりでかい。

 腹に響く衝撃。
 それが最大で、でもそれだけだった。

 揺れが終わる。
 木が倒れるようなことも、土砂崩れが起こるようなこともなさそうだった。
 ほっと安堵の息をつく。

 この日、日常が崩壊した。

 周囲にいる人たちからも安堵の声が響く。

 だが、安堵した数分後。

 赤茶けた肌の豚に似た二足歩行の太った生き物が、さびた剣や槍をもち

「ギャア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「イヤ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 近くにいた男子に襲い掛かり、血を流し絶叫を上げた。
 女子は、悲鳴を上げていた。
 二足歩行の太った生き物たちが数十匹現れ、各々剣や槍や斧を持ち、襲い始めたのだ。
 たちまち混乱し、僕も恐怖から逃げ出した。

 高等部校舎と中等部校舎を繋ぐ道から外れた森のなか。

 ぶひぶひ

 という豚のような鼻息が聞こえ、背後を見るとあの太った生き物が追いかけてきていた。

 前方を見ると、大きな穴が開いていた。
 慌てて、穴を迂回した。
 だが、その太った生き物は、迂回せず、跳び、僕の目の前に来た。

「・・・な・・・」

 そして、太った生き物が剣を振る。
 慌てて、避けるが、赤い色が空に舞う。

「イタッ」

 その赤い血を見て、顔色を変える太った生き物。
 そして、太った生き物は、みるみる間に肉棒を勃起させていたのだ。その肉棒から透明な液が少しずつ漏れていた。

「・・・ヒィ・・・・嫌だ」

 その透明な液の予想が付き、最悪な未来を想像した僕は、とっさに足元にあった竹槍を拾い構え、太った生き物に突き刺す。
 柔らかな肉の感触に顔をしかめ、目をつぶる。
 鋭い悲鳴と呻き声。
 いつまでも来ない衝撃に目を開けると、目の前には、誰もいなかった。
 だが、うめき声が聞こえる方向に、目を向ける。

「・・・エ・・・・助かったのか?」

 うめき声は穴の中から聞こえていた。
 そして、穴のなかを見ると、太った生き物が青い血をまき散らしていた。
 僕は、これをどうしようかと考えたが太った生き物たちは、武器を振り回していた。
 しばらく武器を振り回していた豚の身体が、ぶれる。
 いや、霞のように消えようとしている。

 ぼくは目をしばたたいた。
 呆気にとられて見守るなか、豚の身体が完全に消えて……。

 ファンファーレが、耳のなかで鳴り響いた。

「あなたはレベルアップしました!」

 中性的な声が聞こえてきた。
 視界が白に染まる。

「魂喰らいが発動しました。オークの魂を喰らいました。魂をスキルに変換しました」







人物 特殊能力 スキル 魔法