ケイの転生小説 - それは80
 翌日。

「久しぶりに戻って来た感じだな」

「そうだな」

「本当に久しぶりね」

「うん」

「ルーク様、ここがブライヒブルク」

「ああ」

 と俺は、ヴィルマに答えた。
 ヴィルマがここにいる理由は簡単で、俺たちがいなくなったら食事に困るからついてきたのだ。
 この答えに誰もが納得した。何しろヴィルマは1時間で15人前は食べるからである。
 俺の『瞬間移動』の魔法は、自分を含めて8人まで運ぶことができる。イシュルバーク伯爵の古代地下遺跡の攻略したおかげで魔力量が上がり、魔力運用等も少しだけ上手になったはずだ。現在の魔力量は、100万まで上がっていた。ちなみにイシュルバーク伯爵の古代地下遺跡攻略前は6人まで運ぶことが出来た。
 俺たちは、ブライヒブルクの門から少し離れた所まで『瞬間移動』すると門番に入街税を払い、ブライヒレーダー辺境伯の館を歩いて目指すのであった。

「じゃあ、俺が知らせてくるよ」

「私も行くわ」

「ああ」

 リッドとイーナがブライヒレーダー辺境伯家に先触れをするようだ。
 イーナがいるのでリッドの身分は保証されているので頼むことにした。
 取次ぎを頼むと問題なかったようだ。
 俺達は、ブライヒレーダー辺境伯の元に通されたのだ。

「お久しぶりですね」

「はい、お久しぶりです」

「いよいよ活動なさるので」

「そうです。それとお願いに来ました」

「お願いですか。ブランタークから報告を受けていますが、出来るのですか?」
 
「今のところ青色写真がいいところです。何しろ、肝心の物が作れるかどうかわかりませんから」

「なるほど」

「あとは職人を紹介してください」

「ええ。構いませんよ・・・所で、どのていどで完成すると見ていますか?」

「職人集めと材料集めで1ヶ月、木材の加工等で65日ですね」

「3ヶ月・・・そんなにかかるんだ」

 ハクカが思わず声を上げる。

「とりあえず、王国法で罰せられないレベルの最大の魔導飛行船を製造する予定だからな」

「確か・・・50mクラスだよね」

「ああ・・・それと廃鉱になっている鉱山での鉱物の採取許可をください」

「構いませんよ。こちらの規定ですと」

 銀貨6枚の支払いであった。
 元々、魔法使いによって鉱石を搾り取った後だから、鉱物がさほど残っていないから当然である。
 当然、俺も鉱物が大量の鉱物が残っているとは考えていないが武器に回せる程度の鉱物ぐらいは残っていると考えている。
 俺たちのような魔法使いが廃鉱での鉱物の採取する理由がこれであるし許可も簡単に出せる理由が搾り取った後だからである。

 続けてその足で、冒険者ギルドのブライヒブルク支部へと移転届けを出した。

「これは」

「遺跡の調査か」

 でかでかと張り出されていたのは、ある遺跡の調査依頼だった。
 サインから、ブライヒレーダー辺境伯直々の依頼であることが分かる。

「お、お前さんたちも受けるのかい」

 話しかけてきたのは、見るからにベテランといういでたちをした冒険者の男だ。

「まあ、古代遺跡の調査と聞いて落ち着いていられる冒険者なんざ、いねぇってもんだわな。まったく腕が鳴ってしょうがねえや」

 彼の言葉が示す通り、今回の依頼は古代魔法文明の遺跡を調査するというものだ。
 遺跡のあるリーグ大山脈は、魔物の領域ではないが魔物が生息している、『準魔物の領域』とされる土地。
 そのため、詳しい調査はあまり進んでいなかったのだ。
 依頼の内容を詳しく見ると、どうやら遺跡の表層は軽く調べがついているらしく、危険な獣や魔物が住み着いていることや魔道具が保管されていることがわかっているようだ。
 しかし階層が深く複雑な構造をしているため、大規模に依頼をかけた……というのが、今回のあらましのようだ。

「なんでもあの『竜殺しの英雄』の同年代に辺境伯様が目をかけてて、そいつらが受けることを期待してこの依頼を出したって噂だが……そういや、お前さんたちもそれくらいの年頃か。まあ、受けるならせいぜい頑張んな」

 男はそう言い残して去っていき、後ろからやってきた女性の冒険者が、掲示板を見ながらつぶやきました。

「今いたあの男、隣の領地で飼われてる冒険者ね。辺境伯様が遺跡で財を蓄えるのが気に食わないから、冒険者のアガリってことにしてかすめ取ろうって寸法かしら?噂だと、この遺跡の奥にはすっごい『遺物』もあるって話だし……」

 俺達と女性冒険者たちはお互いの顔を見ると驚いた顔をした。
 冒険者予備校時代の級友だったからだ。
 1人は、腰まで伸びた緑の髪を赤いリボンでポニーテールにしている赤い目の巨乳の美少女である。服装は、白の内着と黄色の外着をしている魔闘流の使い手。
 もう1人は、膝下まで伸びた小麦色の髪をポニーテールにしている薄紫色の瞳の美少女である。服装は、良家のお嬢様風の黒の外着とスカートに白の内着のズボンを着ている水魔法の使い手。

「久しぶりね」

「ああ」

「あなたたちも遺跡狙いかしら」

「まあな」

「それなら私たちと組まない」

 俺達は、少し考えて頷くことにした。
 俺たちだけでの調査よりこの二人も入れたほうが死ぬ可能性が減るからである。

「お互い自己紹介でもしましょうか。私はユリアよ」

 緑の髪の少女が胸を張って答えた。

「アクアよ」

 俺達も自己紹介をした。
 ユリアは噂について語った。
 魔物のいる浅い層を抜けた中層には魔術を使った防衛機構が複数あり、さらに奥に進むと古代魔法文明の「遺物」やそれを守る「番人」がいるというものだ。
 ありがちな話だが、それはつまり遺跡の多くがそうであり、かえって信憑性があるということでもある。

「彼のほかにも、ひと山当てたい弱小貴族が差し向けた冒険者とか、『竜殺しの英雄』に触発された冒険者とか、色々いるって話よ」

「集合は明日の8時ぐらいでいいか?」

「そうね。それぐらいでいいわよ」

 俺達は、それぞれ準備を整えていく。

「とりあえず遺跡の場所を確認するか」

「私も行く」

「分かった」

 俺は、ハクカを連れて遺跡の場所を確認した。
 『瞬間移動』でリーグ大山脈まで行き『飛翔』を使い、地図で遺跡の場所を確認した。

「ここか」

「そうみたいだね」

 大よそ30分ほどで遺跡の場所が分かったので、マーキングをした。

「意外と早く分かったな」

 現在は午後3時ぐらいである。
 俺は、森まで行き、ハクカを抱き寄せながらおやつを食べたのであった。

「おいしい」

「ああ」

 しばらくハクカと話すとブライヒブルクの屋敷に行き、それぞれの寝る場所等を決めた。



 主人公一行紹介