「ルーク達が、竜退治だってよ」
「未成年が受けるような依頼じゃないわね」
「大丈夫かな」
ハクカがルークの身を心配していた。
「しかしルークの奴。出世していくな」
才能があるから当たり前なのだけど、リッドからすれば心配よね。
いくら剣の才能があるとはいえ、王都の騎士団にはリッドを超える腕前の騎士なんて沢山いるのよね。
それは私も同じで、槍で私に勝てる人なんて沢山いるのよ。
ハクカは、一人の女性としてルークが好きなんだろうけどね。
「ついでに、面倒なのも増えたわ」
「よくぞこんなに集まったって感じだな」
「うわぁ、いっぱいいるね。トガー様の助言は正しかった」
ミュウの言うとおりで、どうしてトガー様が形式だけでもルークの家臣ということにしておけと言ったのかが、この数日でよくわかったからだ。
『我が名は、ヘクトール・フォン・プリングスハイム。プリングスハイム騎士爵家の三男にして、剣において我に勝てる者はなし!』
『私は、先のランケ男爵家とアルトマン子爵家との領地境における小競り合いにおいて、敵方の三名の騎士を戦闘不能にし!』
ルークが叙勲された翌日からだけど、今日も沢山いるわね。
『我が必殺の槍術大車輪!』
今日もザフト邸の門前で、アピールなのか、一発芸なのか?
よくわからない技を披露している浪人がいる。
目立たないと駄目なのはよくわかるのだけど、ただ目立てばいいわけではないのは、ご覧の通りであった。
なんか気のせいか、ザフト邸前の風が強いような気がする。
準男爵になったルークの家臣志願者たち、妾名目のメイドの紹介。
商会の当主が多いのは、どうにかして貴族家の御用商人となって身代を大きくしたいという野心があるからだ。
普通は領地持ちの貴族が好まれるのだけど、ルークはとんでもない額のお金を持っている。
ファブレ準男爵家の御用商人となり、ルークから資金の運用を任されたら、アルテリオさんに言わせると政商クラスでも涎が出るほどの優良物件なのだそうだ。
そんなわけで、並みいるこれら有象無象を避けるべく、リッドは従士長で、私とミュウとハクカはメイドという扱いになっていた。
あとは、周囲が勝手に妾だと思ってくれれば御の字なのだそうだ。
そういえば、メイド服は着なくてもいいのかしら?
『君たちも、そのくらいの覚悟はあってファブレ卿と行動を共にしていると思いますが……』
口調は丁寧だけど、トガー様の言葉は厳しい。
今までヴェルにくっ付いていい思いをした分、デメリットも引き受けて当然。
彼は、私たちにそう言っているのだ。
『俺は、軍の指揮とかも習わないとな』
リッドは、ルークの家臣として生きる覚悟を決めているようだ。
特に動揺した様子はなかった。
『私は、ルーク・・・・の側室なのかな?』
ハクカが心配そうに言っているけど、ルークがハクカを手放すとは思えないのよね。
『イザベル殿は、どうです?』
『私は……』
『今のところは、ファブレ卿のパーティメンバー兼家臣でいいと思うけどね』
そんなことを考えている時、私に話しかけてきたのはルークのお兄さんであるローランさんであった。
『これは、私も不徳だったと思うんだけどね』
ルークはその才能のせいで、家族からは虐められたりはしなかったものの、互いになるべく関わり合わない関係を六年以上も続けていたらしい。
ローランさんは、『成人するまで、自分が王都で面倒を見ればよかったのかな?』と悩んだこともあったそうだ。
自分の兄や両親が、どこまでルークを危険視しているのかわからず、もしもに備えてということみたい。
この一方で、そんな事情をまだ子供なのに平然と受け入れる物わかりのよすぎる弟にも悩んでいたみたい。
ローランさんは優しいわね。
『君たちもルークも、まだ子供だからね。しばらくは表向きの形式だけ整えて今までどおりでいいんだよ』
この言葉に、私はとても救われたような気がする。
だけどそれから数日後。
同じ人物が、子供である私たちに厄介な仕事を持ち込むのであった。
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「未成年が受けるような依頼じゃないわね」
「大丈夫かな」
ハクカがルークの身を心配していた。
「しかしルークの奴。出世していくな」
才能があるから当たり前なのだけど、リッドからすれば心配よね。
いくら剣の才能があるとはいえ、王都の騎士団にはリッドを超える腕前の騎士なんて沢山いるのよね。
それは私も同じで、槍で私に勝てる人なんて沢山いるのよ。
ハクカは、一人の女性としてルークが好きなんだろうけどね。
「ついでに、面倒なのも増えたわ」
「よくぞこんなに集まったって感じだな」
「うわぁ、いっぱいいるね。トガー様の助言は正しかった」
ミュウの言うとおりで、どうしてトガー様が形式だけでもルークの家臣ということにしておけと言ったのかが、この数日でよくわかったからだ。
『我が名は、ヘクトール・フォン・プリングスハイム。プリングスハイム騎士爵家の三男にして、剣において我に勝てる者はなし!』
『私は、先のランケ男爵家とアルトマン子爵家との領地境における小競り合いにおいて、敵方の三名の騎士を戦闘不能にし!』
ルークが叙勲された翌日からだけど、今日も沢山いるわね。
『我が必殺の槍術大車輪!』
今日もザフト邸の門前で、アピールなのか、一発芸なのか?
よくわからない技を披露している浪人がいる。
目立たないと駄目なのはよくわかるのだけど、ただ目立てばいいわけではないのは、ご覧の通りであった。
なんか気のせいか、ザフト邸前の風が強いような気がする。
準男爵になったルークの家臣志願者たち、妾名目のメイドの紹介。
商会の当主が多いのは、どうにかして貴族家の御用商人となって身代を大きくしたいという野心があるからだ。
普通は領地持ちの貴族が好まれるのだけど、ルークはとんでもない額のお金を持っている。
ファブレ準男爵家の御用商人となり、ルークから資金の運用を任されたら、アルテリオさんに言わせると政商クラスでも涎が出るほどの優良物件なのだそうだ。
そんなわけで、並みいるこれら有象無象を避けるべく、リッドは従士長で、私とミュウとハクカはメイドという扱いになっていた。
あとは、周囲が勝手に妾だと思ってくれれば御の字なのだそうだ。
そういえば、メイド服は着なくてもいいのかしら?
『君たちも、そのくらいの覚悟はあってファブレ卿と行動を共にしていると思いますが……』
口調は丁寧だけど、トガー様の言葉は厳しい。
今までヴェルにくっ付いていい思いをした分、デメリットも引き受けて当然。
彼は、私たちにそう言っているのだ。
『俺は、軍の指揮とかも習わないとな』
リッドは、ルークの家臣として生きる覚悟を決めているようだ。
特に動揺した様子はなかった。
『私は、ルーク・・・・の側室なのかな?』
ハクカが心配そうに言っているけど、ルークがハクカを手放すとは思えないのよね。
『イザベル殿は、どうです?』
『私は……』
『今のところは、ファブレ卿のパーティメンバー兼家臣でいいと思うけどね』
そんなことを考えている時、私に話しかけてきたのはルークのお兄さんであるローランさんであった。
『これは、私も不徳だったと思うんだけどね』
ルークはその才能のせいで、家族からは虐められたりはしなかったものの、互いになるべく関わり合わない関係を六年以上も続けていたらしい。
ローランさんは、『成人するまで、自分が王都で面倒を見ればよかったのかな?』と悩んだこともあったそうだ。
自分の兄や両親が、どこまでルークを危険視しているのかわからず、もしもに備えてということみたい。
この一方で、そんな事情をまだ子供なのに平然と受け入れる物わかりのよすぎる弟にも悩んでいたみたい。
ローランさんは優しいわね。
『君たちもルークも、まだ子供だからね。しばらくは表向きの形式だけ整えて今までどおりでいいんだよ』
この言葉に、私はとても救われたような気がする。
だけどそれから数日後。
同じ人物が、子供である私たちに厄介な仕事を持ち込むのであった。
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