レイアーナは俺のために宿まで取ってくれた。
石に戻ればそれで全て解決するのだが。
気持ちのいい朝を久々に迎えてすっかりその気になってしまっていたが、よく考えればレイアーナが味方である保証はどこにもない。
宿のベッドは汗臭かった。風呂入りたい。
「聞きたいことがある」
カナリアは帰ってこない。
2人きりの状況に胡乱な気配を覚えた俺は窓際に寄った。
いざとなればここから飛び出す覚悟だ。
「ハクの魔女について……その、ハクの魔女のランクはいくつ」
最弱だと伝えると小さいため息を吐かれる。
「そうなるとやはり、かなりの魔石が必要になる」
話が見えない。
「あの200層はあれで終わりじゃない。本来ダンジョンの最終層には魔女、もしくはダンジョンの作り手本人が眠っている」
「本人……」
ベッドに腰掛けるレイアーナは殺戮兵器のような気配は微塵もない。
この目の前の女の子が昨日のようにダンジョンで戦っている姿を俺は微塵も重ねられずにいる。
「ダンジョンは元々人間、その多くは魔女の魔力によって作られている」
「もしかしてシードとか言ってた――「シーダー。ダンジョンには魔女が眠る」
そうだったの、ええ?
「地中で自我崩壊する魔女はダンジョンという1つの機構となる。1つ言えるのはダンジョンは人間に敵意を向ける。そしてダンジョンの最深にあるのは魔女そのもの――碑文魔石じゃない」
ん? 魔女って? 今。
「魔女は魔女」
「ちょっと待て! じゃあダンジョンは魔女が作って魔女が魔女を斃してることにならないか?」
「現実はもっと皮肉。魔女が生み出した魔物が魔女によって狩られている」
それが言いたかったんだよ。
なんてことだ。無限ループだぞそれは。
「魔物は人間を襲う。魔女は魔物から人間を守る。けれどその理屈は本来成り立たない」
成り立っていそうだけど、どういうことだ。
「魔女は人の中から生まれる。元は人間、すなわち人間全員が魔女になることさえ可能という理屈になってしまう」
そういうことか。それなら魔物なんて魔女に任せなくてもいい。
ならなんで。
「魔女に必要なのものは人間への強い憎しみ。その過去を魔石によって(・・・・・・)消したとき、人間は初めて魔女になれる」
話はそこで一度途切れた。
レイアーナ、元ランク1がなぜこんな話を俺にしたのかがわからない。
ずっと知らなくともいつかルチェルと別れが来ようとも知る必要がなかったことだろう。
「私は魔女の連鎖を断ち切りたい。全ての魔女が人間への憎しみを思い出す前に」
「じゃあ、魔物っていうのは」
「全て魔女の憎しみが生み出すもの。封印を破壊するものじゃない」
「え? じゃああの碑文魔石は?」
「あれは嘘。戦争の道具の1つに過ぎない。黄金の竜は必ず復活する。魔女たちの総意によって」
風が吹き始めた。
どこからともなくと冷たい風が俺の頬を撫でてレイアーナの髪をさらう。
「一緒に戦って欲しい」
どう返事をして良いのかわからない。
俺に何が出来る?
全ての魔女の憎しみが、その前に何かをしろって?
「わからない。俺にはどうしていいのか、そもそも憎しみが黄金の竜を呼び起こしたからってすぐに人類が破滅するわけでもないんだろう?」
「でもそれはそう遠くない。私だけではずっと無理だと思っていた。けど、あなたがハクのような力を持つ人がいるなら話は変わってくる」
レイアーナが俺に迫る。鼻先が唇の前に来て俺を見上げた。甘酸っぱい匂いがする。
「カナリアの魔石は恐らくハクの身体にある」
すっとしゃがんで俺のズボンを下ろし始めるレイアーナの細い腕を俺は掴んだ。
「何するんだよ」
「身体に異常は? 魔石を取り込むということは宝玉化するということ。普通の身体でいられなくなっていく」
異常は……ない。
「全部見る」
レイアーナは俺のパンツを下ろした。
なんでそこまで……いや、心配してくれてるのか?
涼しい風にさらされて俺のはしんなりしているよ。
「ん」
「ちょっ」
いきなり口に含まれたそれに俺は思わず腰を引く。
両腕でホールドされた腰はすぐにレイアーナの頭とくっついた。
頭上の銀髪を慌てて掴むもレイアーナは俺のを口に含んで離さない。
それどころか、舌をなめずり回して俺に快楽を与えてくる。
「やめ……」
大きくなっていく俺の息子。
ペロペロとさらになめるレイアーナ。
「・・・う・・・・出る」
精液がレイアーナめがけて放たれ、レイアーナの顔を白く染めていく。
「いっぱい出た」
そこで不意にレイアーナが身を引いた。
「あった」
あった? 何が?
レイアーナが口の中から金の宝玉が見えた。
「嘘だろ……」
金の宝玉を取ると
「カナリアの魔石はそれ」
「は?」
「カナリアを呼んでくる」
「いっ、待ってください! お願いします」
殺される。いや切り落とされる!
レイアーナは少し驚いたように俺の掴んだ手を見た。
「もっと舐めた方が良かった?」
「そうじゃなくて、カナリアにこのことは内密にお願いします」
「ハク、魔女にとって魔石が消えることは重い罪悪感に囚われる。かつてそれで自殺を選んだ魔女もいた。それは本人でさえ説明できない不安の感情。彼女たちが憎しみを向けていた矛先を見失うことは自分たちの愛する者を見失うのと同じくらい哀しいこと。魔力を放出したからカナリアが飛んできた。もうすぐ近くに来てる」
「え?」
窓からいきなり声が上がった。
思わず振り返るとカナリアが窓の外で浮遊してる。驚いて半歩飛び退いたぞ。
「こんなところにいたの? 探したわ」
来るのが早すぎる。
「近くにいたの?」
「そうよ、残り香を頼りに魔法を編んでね」
ひょいと身を乗り出して部屋に入ってきたカナリアは昨日と寸分違わない。
昨日よりちょっと汗が強くなってるか。
「カナリア。あなたの魔石が見つかった」
下半身丸出しの俺は慌ててズボンを履く。訝しむカナリアの視線に耐えている俺。
「ほんと?」
うわあ、なんか少し潤っとしてる。そんなに大事なのか?
おい、この後なんて言うつもりだ。
「でもハクはそのことを隠したがってる」
おいいぃぃ! そういうことをバラしたら心象が最悪だろう! ってか言い方を考えろ!
なんかカナリアが詰め寄ってきたし。
「そうなの?」
「いあ、そうっていうか、そうなんだけどきっとショックを受けるだろうなあって思って……あはは……」
笑ってごまかしは効かないみたいだ。
カナリアの視線を痛いほど感じる。
「そう、それでどこにあるの?」
ドライだ。すごくドライ。
「ここに」
レイアーナが手の中の宝玉を見せた。
次
石に戻ればそれで全て解決するのだが。
気持ちのいい朝を久々に迎えてすっかりその気になってしまっていたが、よく考えればレイアーナが味方である保証はどこにもない。
宿のベッドは汗臭かった。風呂入りたい。
「聞きたいことがある」
カナリアは帰ってこない。
2人きりの状況に胡乱な気配を覚えた俺は窓際に寄った。
いざとなればここから飛び出す覚悟だ。
「ハクの魔女について……その、ハクの魔女のランクはいくつ」
最弱だと伝えると小さいため息を吐かれる。
「そうなるとやはり、かなりの魔石が必要になる」
話が見えない。
「あの200層はあれで終わりじゃない。本来ダンジョンの最終層には魔女、もしくはダンジョンの作り手本人が眠っている」
「本人……」
ベッドに腰掛けるレイアーナは殺戮兵器のような気配は微塵もない。
この目の前の女の子が昨日のようにダンジョンで戦っている姿を俺は微塵も重ねられずにいる。
「ダンジョンは元々人間、その多くは魔女の魔力によって作られている」
「もしかしてシードとか言ってた――「シーダー。ダンジョンには魔女が眠る」
そうだったの、ええ?
「地中で自我崩壊する魔女はダンジョンという1つの機構となる。1つ言えるのはダンジョンは人間に敵意を向ける。そしてダンジョンの最深にあるのは魔女そのもの――碑文魔石じゃない」
ん? 魔女って? 今。
「魔女は魔女」
「ちょっと待て! じゃあダンジョンは魔女が作って魔女が魔女を斃してることにならないか?」
「現実はもっと皮肉。魔女が生み出した魔物が魔女によって狩られている」
それが言いたかったんだよ。
なんてことだ。無限ループだぞそれは。
「魔物は人間を襲う。魔女は魔物から人間を守る。けれどその理屈は本来成り立たない」
成り立っていそうだけど、どういうことだ。
「魔女は人の中から生まれる。元は人間、すなわち人間全員が魔女になることさえ可能という理屈になってしまう」
そういうことか。それなら魔物なんて魔女に任せなくてもいい。
ならなんで。
「魔女に必要なのものは人間への強い憎しみ。その過去を魔石によって(・・・・・・)消したとき、人間は初めて魔女になれる」
話はそこで一度途切れた。
レイアーナ、元ランク1がなぜこんな話を俺にしたのかがわからない。
ずっと知らなくともいつかルチェルと別れが来ようとも知る必要がなかったことだろう。
「私は魔女の連鎖を断ち切りたい。全ての魔女が人間への憎しみを思い出す前に」
「じゃあ、魔物っていうのは」
「全て魔女の憎しみが生み出すもの。封印を破壊するものじゃない」
「え? じゃああの碑文魔石は?」
「あれは嘘。戦争の道具の1つに過ぎない。黄金の竜は必ず復活する。魔女たちの総意によって」
風が吹き始めた。
どこからともなくと冷たい風が俺の頬を撫でてレイアーナの髪をさらう。
「一緒に戦って欲しい」
どう返事をして良いのかわからない。
俺に何が出来る?
全ての魔女の憎しみが、その前に何かをしろって?
「わからない。俺にはどうしていいのか、そもそも憎しみが黄金の竜を呼び起こしたからってすぐに人類が破滅するわけでもないんだろう?」
「でもそれはそう遠くない。私だけではずっと無理だと思っていた。けど、あなたがハクのような力を持つ人がいるなら話は変わってくる」
レイアーナが俺に迫る。鼻先が唇の前に来て俺を見上げた。甘酸っぱい匂いがする。
「カナリアの魔石は恐らくハクの身体にある」
すっとしゃがんで俺のズボンを下ろし始めるレイアーナの細い腕を俺は掴んだ。
「何するんだよ」
「身体に異常は? 魔石を取り込むということは宝玉化するということ。普通の身体でいられなくなっていく」
異常は……ない。
「全部見る」
レイアーナは俺のパンツを下ろした。
なんでそこまで……いや、心配してくれてるのか?
涼しい風にさらされて俺のはしんなりしているよ。
「ん」
「ちょっ」
いきなり口に含まれたそれに俺は思わず腰を引く。
両腕でホールドされた腰はすぐにレイアーナの頭とくっついた。
頭上の銀髪を慌てて掴むもレイアーナは俺のを口に含んで離さない。
それどころか、舌をなめずり回して俺に快楽を与えてくる。
「やめ……」
大きくなっていく俺の息子。
ペロペロとさらになめるレイアーナ。
「・・・う・・・・出る」
精液がレイアーナめがけて放たれ、レイアーナの顔を白く染めていく。
「いっぱい出た」
そこで不意にレイアーナが身を引いた。
「あった」
あった? 何が?
レイアーナが口の中から金の宝玉が見えた。
「嘘だろ……」
金の宝玉を取ると
「カナリアの魔石はそれ」
「は?」
「カナリアを呼んでくる」
「いっ、待ってください! お願いします」
殺される。いや切り落とされる!
レイアーナは少し驚いたように俺の掴んだ手を見た。
「もっと舐めた方が良かった?」
「そうじゃなくて、カナリアにこのことは内密にお願いします」
「ハク、魔女にとって魔石が消えることは重い罪悪感に囚われる。かつてそれで自殺を選んだ魔女もいた。それは本人でさえ説明できない不安の感情。彼女たちが憎しみを向けていた矛先を見失うことは自分たちの愛する者を見失うのと同じくらい哀しいこと。魔力を放出したからカナリアが飛んできた。もうすぐ近くに来てる」
「え?」
窓からいきなり声が上がった。
思わず振り返るとカナリアが窓の外で浮遊してる。驚いて半歩飛び退いたぞ。
「こんなところにいたの? 探したわ」
来るのが早すぎる。
「近くにいたの?」
「そうよ、残り香を頼りに魔法を編んでね」
ひょいと身を乗り出して部屋に入ってきたカナリアは昨日と寸分違わない。
昨日よりちょっと汗が強くなってるか。
「カナリア。あなたの魔石が見つかった」
下半身丸出しの俺は慌ててズボンを履く。訝しむカナリアの視線に耐えている俺。
「ほんと?」
うわあ、なんか少し潤っとしてる。そんなに大事なのか?
おい、この後なんて言うつもりだ。
「でもハクはそのことを隠したがってる」
おいいぃぃ! そういうことをバラしたら心象が最悪だろう! ってか言い方を考えろ!
なんかカナリアが詰め寄ってきたし。
「そうなの?」
「いあ、そうっていうか、そうなんだけどきっとショックを受けるだろうなあって思って……あはは……」
笑ってごまかしは効かないみたいだ。
カナリアの視線を痛いほど感じる。
「そう、それでどこにあるの?」
ドライだ。すごくドライ。
「ここに」
レイアーナが手の中の宝玉を見せた。
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