様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 そこにいた魔女はまさかの黄金戦士カナリアだった。
 カナリアの得意技っぽいのはあの手から伸びる空気槍だ。
 真空なのか空気圧縮かはわからないが、あれに触れると黒蟻の外殻をいとも簡単に貫くらしい。
 俺はカナリアの目の前にいる敵を一瞬で粉々にして魔力の塊を使って無理矢理制止する。
 すると反対側の家屋が粉々に消し飛んだ。

「……」

 カナリアはこちらを見ている。
 まさかここにカナリアがいるとは思っていなかった。
 ルチェルと同期ならもっと後方で戦っていると思っていたのだ。

「まさか……ルチェル!?」

『ううん、そうなんだけどそうでないとも……』

「そんな眠そうな顔してよくあれだけの攻撃が出来るわね。信じられない、強すぎるでしょあなた」

 うん、この高飛車ぽい女に尊敬の眼差しを向けられている。少しはこれでルチェルも浮かばれるだろう。
 まあ、本人は絶賛気絶中ぽいけどな。

 すると懲りずにまた敵が降ってきた。
 ずんと不貞不貞しく俺たちを見るので俺は魔力の塊をぶつけてみる。
 案の定木っ端微塵に吹き飛ぶ。
 たとえて言うならスイカにライフル弾を撃ち込んだくらいの爽快さがあった。
 この光の塊の正体ははっきり分からないが、うんと力むと出て来る謎に満ちた紫色の光だ。
 出し過ぎるとやばいとは思いつつも某アニメみたいでちょっと楽しい。

「尋常じゃない魔力量ね……それもあの男の子のおかげ? それともずっと隠してたの?」

 今度のカナリアは尊敬の眼差しなんかじゃなかった。
 まるでそう、羨望を通り越して妬みのような鬱々とした雰囲気を臭わせている。

「この魔力に関しては、よくわからないだよね」

「よくわからないって何よ」

 カナリアに説明した。
 カナリアは顔を赤くして何処かへ行ってしまった。
 まずいことをしたかもしれない……。

 不意にがくんと膝を着く俺、もといルチェル。
 よく見ると脚はもうがくがくに震えていた。
 まるでしゃっくりを上げるように腰が跳ねてまともに立っていられなくなる。

『なっ、なんだっ、これっ!?』

 思わずその場に座り込んで跳ねる体を押さえつけるように両肩を抱いて蹲った。
 よく見たら腰を浮かしては沈めてを小刻みに繰り返してかなりエロい動きだ。

 こんなの絶対おかしい。
 俺の股間もまたじんじんしてきたし、なんか真綿で包まれているみたいだ。
 もう解除しよう、なんかやばい。嫌な予感がしてきた。
 あんな射精感を何度も味わったら確実に頭がおかしくなる。
 俺は冷静さを失ってなんかない。

 ただ、解除の方法が分からない。
 股間から滴り落ちる白濁の雫を見て、確信してしまう。
 俺はずっとルチェルと接合していたのか……?
 肉体的にも精神的にも。

 周囲には次々と黒蟻が降りてくる。
 魔女は助けに来ない。当たり前だ、あえて魔女のいない場所を選んだ。
 だって他の魔女に目を付けられるのは嫌だったし、他の魔女の場所に行っても狩る場所がない。
 でも今はそっちの魔女の方へ行きたかった。
 とにかくこのままでは何もできずにジエンドだ。

『ああ、だめだ……もう出ちまいそうだ』

 ルチェルの腰の動きに合わせて俺のものが擦れているような気がする。
 小刻みに震えながら締め付けるなんて反則なことをされたらあっという間に果ててしまうっ――。
 そもそもこの股間はどうなってんだ?
 覗こうと体を折ったところで強烈な快楽が押し寄せて虚しく快感に身を任せる。
 先ほどとは違う綿雲の上を漂うような至福な快感に俺はただ身を寄せていた。

 黒蟻が顎を振りかぶって通り過ぎる。
 全てがスローだ。
 黒蟻の肌を指先でなぞるとその黒蟻は綺麗に半分になった。
 思考は研ぎ澄まされ、何の音も感じない。
 ただ黒い物体が向かってくるのを心音に合わせて身を動かし一匹ずつ捌いていく。
 綺麗に、より華麗に俺の動きは洗練されていく。

 何なのだろう、このまま――。
 不意に股間に激痛が走る。
 俺は慌ててあそこを抑えると視界が暗転した。

 ――気がついた時には俺は石に戻っていた。
 日は暮れて星空が俺たちを照らしている。
 ルチェルは傷1つなく無事に生きている。
 誰かが助けてくれたというわけではなさそうだ。
 ただ、状況は既に終了しており、人っ子1人の気配もない。
 ルチェルは真っ裸で瓦礫と化した街中で倒れていた。

 無いと分かっていても月を探してみてやっぱりないと思うのは地球人故か。

「う、ううん――」

 良かった。ルチェルの声を聞いたとき、何故か安心した。

 あの力……やばかった。
 この光景が俺の起こしたものだとしたらルチェルは驚くだろうか。
 綺麗な切断面によって分割された蟻共はまるで湖ができそうなほどその死体を重ねている。
 推定4億。

 それほどがこの場所にいるのかはわからない。
 しかしその死体は地平線の彼方まで連なっていた。


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