様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 パーティを組むのは、簡単だった。
 お互いが手を合わせ、そう念じるだけで、互いの右手の小指に赤い輪が生まれた。
 赤い輪は指輪のようであったが、実体がなく、手で触れることができなかった。

「……赤い指輪だ」

 ともあれ、ぼくには仲間ができた。
 これはおおきな一歩だ。

 カラスが偵察して、オークを見つけてくる。
 オークたちは、どうやら山の上手から下りてくるようだ。
 遊歩道をくぐり、さらに山を下っているうち、道に突きあたり、左右に分かれる。
 東にいけば高等部校舎に、西にいけば中等部校舎に行きつくわけだ。

「山の上に、なにがあるんだ?」

 そんな疑問がわくものの、いまはオークの群れに突っ込む気などない。
 現在の総MPは、120である。

「サモン・パペット・ゴーレム」

 ぼくの前に、身長百五十センチくらいの木製の人形が出現する。
 ピノキオ、と名付けたくなるような、粗い木彫りの人形だ。鼻は低いけれど。
 人形は、右手に棍棒を握り、左手で木製の丸い盾を構えていた。

 木製の人形が、ぼくに対してぺこんと頭を下げた。

「かっ、かわいいっ」

 ハクカが目を輝かせていた。
 パペット・ゴーレムを、おおよそ30体ほど呼び出し付与魔法をかける。
 
 5体ずつ道路の南側の森におびき寄せる。
 戦闘の音が聞こえないくらい奥までおびき寄せたあと、パペット・ゴーレムで殺す。

 オークが剣をがむしゃらに振り、突進してくる。
 パペット・ゴーレムは、マイティ・アームで増幅された四肢にちからを込めて、木の盾でオークの剣を防ぐ。
 そこで、1体のパペット・ゴーレムが棍棒で、オークの足をひどく傷つけた。
 オークは転倒し、悲鳴をあげる。
 パペット・ゴーレムはそこに、ためらいなく棍棒を振り下ろす。
 オークは、悲鳴をあげる。
 転がるように逃げるオークを、パペット・ゴーレム3体は容赦なく追いかける。
 フィジカル・アップのおかげで、パペット・ゴーレムの足はオークより速い。
 たちまち、追いつく。
 気合と共に、さらなる突きを入れる。オークが絶叫する。

 戦闘時間は、2分と少しだろうか。
 最後はパペット・ゴーレムに喉を突かれたオークが、淡く光って姿を消す。
 ぼくたちは、正面から戦って、オークに勝利したのだ。

「倒せた?」

「ああ。ぼくたちが戦えることはわかった。今後の方針を決めよう」

 そういってぼくは、ハクカと目を合わせる。



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