志木さんと和弘とルシアが、会議をしているころ、僕たちは、おとなしくしていた。
少しすると会議が終わったのか。
屋上から攻撃しようということになった。
ぼくたちは、部屋を出て階段に向かう。
アリスやたまきも黙ってついてきた。
階段の前には、数人の少女がいた。
皆、魔法の使い手だ。
「わたしたちも戦わせてください」
シオネがそういってきた。
「カズ先輩がいないうちに、火魔法はランク5になりました。お役にたてると思います」
和弘は志木さんを見た。
志木さんは肩をすくめて「慕われているじゃない」と皮肉に笑う。
「いいわよ。屋上から攻撃できるなら、身の危険もあまりないと思うわ。念のため、何人か一階のエントランスで待機して……アリスちゃんとたまきちゃん、大くん、エントランス組の指揮をお願い。いざというときは……わかるわね」
屋上から襲われたやつらが、やぶれかぶれで育芸館に押し入ってくる可能性。
その場合、アリスやたまきや大が、そいつらの始末をつけることになる。
アリスとたまきと大は、元気よく返答して、下階に走っていく。
ぼくたちは、屋上にあがった。
ドアをひらくと夕方の強い風が吹き抜けた。
まだ姿は見えないけど、高等部の男たちの罵声が届く。
和弘が、彼ら相手に姿を見せようとしたとき。
「カズくんは、使い魔さえ出してくれればいいわ」
「でも……」
「あなたは切り札で、わたしたちの英雄なの」
志木さんはそういって、戸惑っている女子たちをちらりと見る。
「サモン・グレーター・エレメンツ:ウィンド、サモン・グレーター・エレメンツ:ファイア」
和弘は二体の上位精霊を呼び出す。
グレーターエレメンタルは、召還魔法ランク8である。効果は、指定した属性の上位精霊を呼び出す。
続いて、ルシアとミア、シオネたちにクリア・マインドとスマート・オペレイション。
なお今回も志木さんはクリア・マインドを嫌がった。
「じゃあ、いきましょうか」
志木さんが、ゆっくりと手すりまで歩いていく。
広場の男たちが、ざわめく。
って、あれ?
なんか、彼らのざわめきが、妙な感じ……。
ぼくは広場を覗く。
高等部の男子たちは、皆、こちらではなく山の上の方を見ていた。
なんだろう。
ぼくの視線もそちらに向く。
山の頂上のさらに上。
そして、発見した。
島があった。
ちいさな島がひとつ、宙に浮いて、いましも山を越えようとしている。
「らぴゅた?」
ミアの声にも、ちからがない。
呆気にとられているのか。
「あれは、なんだ」
「魔王には、四人の幹部がいるといわれています。これを四天王と呼称します」
ルシアはいう。
「浮遊要塞。あれは、魔王軍の幹部のひとり、鬼将ザガーラズィナーの居城です」
そして、と彼女は続けた。
「わたくしの国は、あの浮遊要塞によって滅ぼされました」
次
少しすると会議が終わったのか。
屋上から攻撃しようということになった。
ぼくたちは、部屋を出て階段に向かう。
アリスやたまきも黙ってついてきた。
階段の前には、数人の少女がいた。
皆、魔法の使い手だ。
「わたしたちも戦わせてください」
シオネがそういってきた。
「カズ先輩がいないうちに、火魔法はランク5になりました。お役にたてると思います」
和弘は志木さんを見た。
志木さんは肩をすくめて「慕われているじゃない」と皮肉に笑う。
「いいわよ。屋上から攻撃できるなら、身の危険もあまりないと思うわ。念のため、何人か一階のエントランスで待機して……アリスちゃんとたまきちゃん、大くん、エントランス組の指揮をお願い。いざというときは……わかるわね」
屋上から襲われたやつらが、やぶれかぶれで育芸館に押し入ってくる可能性。
その場合、アリスやたまきや大が、そいつらの始末をつけることになる。
アリスとたまきと大は、元気よく返答して、下階に走っていく。
ぼくたちは、屋上にあがった。
ドアをひらくと夕方の強い風が吹き抜けた。
まだ姿は見えないけど、高等部の男たちの罵声が届く。
和弘が、彼ら相手に姿を見せようとしたとき。
「カズくんは、使い魔さえ出してくれればいいわ」
「でも……」
「あなたは切り札で、わたしたちの英雄なの」
志木さんはそういって、戸惑っている女子たちをちらりと見る。
「サモン・グレーター・エレメンツ:ウィンド、サモン・グレーター・エレメンツ:ファイア」
和弘は二体の上位精霊を呼び出す。
グレーターエレメンタルは、召還魔法ランク8である。効果は、指定した属性の上位精霊を呼び出す。
続いて、ルシアとミア、シオネたちにクリア・マインドとスマート・オペレイション。
なお今回も志木さんはクリア・マインドを嫌がった。
「じゃあ、いきましょうか」
志木さんが、ゆっくりと手すりまで歩いていく。
広場の男たちが、ざわめく。
って、あれ?
なんか、彼らのざわめきが、妙な感じ……。
ぼくは広場を覗く。
高等部の男子たちは、皆、こちらではなく山の上の方を見ていた。
なんだろう。
ぼくの視線もそちらに向く。
山の頂上のさらに上。
そして、発見した。
島があった。
ちいさな島がひとつ、宙に浮いて、いましも山を越えようとしている。
「らぴゅた?」
ミアの声にも、ちからがない。
呆気にとられているのか。
「あれは、なんだ」
「魔王には、四人の幹部がいるといわれています。これを四天王と呼称します」
ルシアはいう。
「浮遊要塞。あれは、魔王軍の幹部のひとり、鬼将ザガーラズィナーの居城です」
そして、と彼女は続けた。
「わたくしの国は、あの浮遊要塞によって滅ぼされました」
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