様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 ぼくたちが追いついたとき、たまきとミアはすでに戦闘を始めていた。
 ミアのそばの樹が、真っ二つにへし折れている。
 そばに落ちた緑色の肌のオークが、たまきの銀の剣に切り裂かれ、いましも消えようとしていた。

 二匹のジャイアント・ワスプが、ミアとたまきに針を飛ばす。

 たまきがミアをかばうように大盾をかざし、頭上から飛んできた針を弾く。
 盾のスキルがなくても、肉体1を持つたまきにとって、この程度は余裕でこなせるようだ。

 周囲の樹上から姿を現した緑の肌を持つオークたちが、三体、弓を構える。
 たまきめがけて、一斉に射撃。

 盾がいかにおおきかろうと、構えられる方向はひとつだけだ。
 対してアーチャー・オークは三方からたまきたちを取り囲んでいる。
 どこか手薄な面ができてしまう。

 ただし、それはミアがなにもしない場合であって……。

「エア・ブラスト」

 ミアは風魔法ランク1のエア・ブラストを、一方のオークに向かって放つ。
 周囲の空気がかき乱され、矢の方向が変わる。
 一本の矢が、わずかにふたりのもとを逸れ、地面に突き刺さる。

 別の一本には、たまきが対処する。
 左手の大盾でミアをかばい、矢を弾く。

 そして残る最後の一本は……。
 たまきは飛来するその一本の正面に立ち、剣を振るう。
 銀の閃光が走り、矢が真っ二つに絶ち切られる。

「ユリコとシオネは、火魔法で蜂を倒してほしい」

「はい」

「アリスはジャベリンで樹上のアーチャーを!」

「はい!」

 火魔法を持つふたりが、火魔法ランク2のフレイム・アローを放った。
 この魔法は、ランク1につき一本の矢を放つ。
 火魔法ランク3の彼女たちは、一度に三本の炎の矢を放ってジャイアント・ワスプを火だるまにする。

 アリスはジャベリンを投げようとするが、その前にアーチャーが樹の陰に隠れてしまう。
 アリスは悔しそうに手を止める。

 いたしかたなし、といったところだ。
 Q&Aによると、槍を投擲する場合、同じスキルレベルなら、槍スキルの所持者より投擲スキルの所持者の方が有利であるらしい。
 槍スキルによる投擲は、あくまで補助ということである。

 本職に比べてどれくらい劣るのかは、答えてくれなかった。
 アリスやたまきの様子から察するに、使い魔と同じようにランクマイナス2といったところではないだろうかと推測している。

 純然たる事実として、アリスのジャベリンによる投擲は、接近戦での刺突ほどのちからを持たない。
 遮蔽をとった賢い敵を相手に遠距離戦をするのは荷が重い。

 つーか、アーチャーめ、賢いな……。

 反対に、大活躍しているのはミアだった。
 遮蔽を取ったアーチャーのいる樹の根もとまで走り寄り、無慈悲なストーン・シェイプで樹に大穴をあけて真っ二つにへし折る。
 落下してきたアーチャーを、たまきが手際よく倒す。

 これはゲームじゃない。
 遮蔽を取る敵がいたなら、遮蔽をなくしてしまえばいい。
 ミアの戦い方は理にかなっている。

 二体目のアーチャーが倒されたところで、残る二体が逃走を始めた。
 樹から樹へと飛び移り、森の奥へ消えようとする。

 そのうちの一体は、待ちかねていたアリスがジャベリンを投げて仕留めた。
 だが残る一体は、投擲しても届かないほど遠くへいってしまい……。

 その背中にナイフが突き刺さる。
 アーチャーが、地面に落下する。
 志木さんだった。

 どうやら逃走を懸念して、はじめから森の奥の方に陣取っていたようだ。
 完璧な位置取りである。

 落下したアーチャーに長月桜が駆け寄り、鉄槍を突きだしてトドメを刺す。
 オークを殺すとき、桜は狂気じみた笑顔をしていた。

 そうこうするうち、ジャイアント・ワスプ組の方もケリがついている。
 一体の蜂につき、フレイム・アロー三発ほどで終わったようだ。
 飛びまわるでせいでうまく狙いがつけられなかったから、仕方がないところだろう。

 たぶん、火魔法ランク3のファイア・ボムの使用を許可すれば、もっとはやくケリがついたと思う。
 だが炎の爆発は、森のなかで放つにはちと怖い。
 火の粉が枯れ草に飛んで山火事など起きたら、目も当てられない。

 宝石の回収をする。
 ジャイアント・ワスプは以前と同じく赤い宝石が三個。
 アーチャー・オークもやはり赤い宝石が三個だった。



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