様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 穴に落ちて押しつぶされるオークたちの悲鳴を聞きながら、ぼくとミアは顔を見合わせる。

「この経験値、誰に入るんだろうな。潰したオークに経験値が入ったら、嫌だな」

「進化されると困る」

 ぼくたちのつくった穴のせいでオークが進化し、エリート・オークが生まれたら。
 それはとても嫌だなあ。
 そもそも、どういった過程を経てエリート・オークが生まれるか知らないけど。

 さて、立ち往生してしまったオークたちのうち何体かが、仕方なくといった様子で左右の森に分け入る。
 まわりこんでこちらを始末しようという魂胆だが、しかし。

 森のほうぼうでオークの悲鳴があがった。
 たまきとアリスとソルジャーの仕業だ。

 彼女たちには、左右の森に潜み、背の高い茂みに分け入ってくるオークを片っ端から始末するという役目が与えられていた。
 オークたちは仲間の悲鳴に怯え、ふたたび道に押し戻される。
 立ち往生だ。

「ミサイル隊、攻撃!」

 和弘は命令を下す。
 ぼくの左右の樹上に隠れていた遠隔攻撃を得意とする少女たちが、一斉攻撃を開始する。

 火魔法の使い手が、火球を飛ばす。
 オークの身体に火球が命中し、火の粉が飛ぶ。

 全身が炎に包まれたオークはのたうちまわり、周囲の混乱に拍車がかかった。
 ほかにもオークから鹵獲した投げ槍や手斧を片端から投げつけ、いっそうオークを混乱させる。

 何体かのオークが、樹上の少女たちに手持ちの斧や槍を投げつけてきている。
 だが彼女たちが登った樹は、いずれも幹が太い。
 その背後に隠れてしまえば、だいたいやりすごせる。

 もともと敵の足を止め、混乱を加速させることができればそれでいいのだ。
 彼女たちには、無理はするなと口をすっぱくしていってある。
 ぼくたちの本命は、地上だ。

「ミア、いまのうちに少し下がって休憩」

「ん」

「ハクカも下がって後退」

「・・・うん、気をつけて」

「ああ」

 ミアとハクカが育芸館前の広場まで後退する。
 さて、敵の出鼻はくじいた。
 問題はここからだ。



 ミアとハクカと入れ替わりに志木さんが和弘の下に駆け寄ってきた。

「狼、もう一体出せる? 左右の森に増援を送りたいの」

 もう一体出し、両方を森に送って、アリスとたまきを支援しろということか。

 志木さんはさっきまで、偵察スキルで気配を消し、森のなかを見てまわってきていた。
 まもなくオークたちが森にあふれると確信したのだろう。

「わかった。MPが厳しいけど、あと一体なら、なんとか」

「お願い。バフはマイティ・アームだけでいいから」

 彼女の指示に従い、マイティ・アームをかけた灰色狼を左右の森に放っていた。
 それぞれ、アリスとたまきを援護するようしていた。
 オークたちは後方からの圧力で前進しては穴に落ち、左右の森に分け入ってはアリスやたまきに殺されてを繰り返す。
 そうこうするうち、ぼくは白い部屋にワープした。
 全員がレベルアップしたようだ。

「ミア、きみのアース・ピットに落ちて上から潰されたオークは、きみが倒したという扱いになっているみたいだぞ」

「ん。親切設計」

 ミアは、ぶい、と指を二本立てる。



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