様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 育芸館のロビーで、少女たちが慌てている。
 育芸館に生徒の生き残りが集まっていることを、オークに知られてしまった。
 そのことに、ひどくうろたえている。

 ここで迎え撃つべきかな。
 問題は、勝てない場合、逃げ出す算段も必要かな。

 たまき、アリスが、心配そうに和弘を見上げてくる。

 チラリと志木さんが和弘を見ていた。

「・・・?」

 僕のほうに一度、視線を向けてきた。
 僕は、和弘に視線をやるが一向に指示を出そうとしない。
 一度、志木さんに視線を向けると目と目が合う。

「とりあえず、全員、注目」

 と僕が大声で言う。
 すると先ほどまで困惑していた少女たちがこちらに視線を向けてきた。
 志木さんは、何かを見定める目を向けてきた。

「女子寮で助けた10人は、一度、お風呂に入ったほうがいい。お風呂に入れる人が二人、3階で寝かせる人が二人。二人ほど手軽に食べられるご飯を作ってほしい。振り分けは、志木さんに任せる」

 僕は、志木さんに丸投げした。
 僕の代わりに志木さんがそれぞれの女の子の名前をあげた。
 するとその女の子たちがそれぞれの役目を果たすために動き出す。

「一時的にパーティを解散するよ」

 和弘が宣言し、一度外に出て、カラスを偵察に放つ。

「・・・彼に、何があったの」

「わかりません」

 それからロビーで指揮を執る志木さんのもとに歩み寄り、その腕をつかんだ。

「ひっ、ちょっと、なによっ」

 志木さんは、表情を青ざめさせて、怯えた表情で和弘を見る。
 和弘は謝罪し、本題を切りだす。

「ぼくとパーティを組んで」

「だから、なにを……」

「ぼくは、あと一体、オークを倒せばレベルアップする。白い部屋で話がしたい」

 志木さんは戸惑うように和弘を見た。

「ふたりきりで?」

「ああ」

 志木さんは、和弘の表情からどんな決意を読み取ったのか。

「わかったわ。つきあってあげる」

 ためらいがちにうなずいた。
 ぼくは、ちょうど戻ってきたカラスから、報告を受け取る。

「南東の方角に、森のなかを一体でうろついているオークがいる。そいつを仕留める」

「長く留守にするわけにはいかないわ。すぐ行きましょう」

 和弘と志木さんは、かけ足で森のなかに入った。

「・・・どうしましょう?」

「そうだな。とりあえず、少し休憩しよう」

「いいんでしょうか?」

 アリスが戸惑い気味に聞いてきた。

「作戦を立てる必要性があるからね。育芸館の中で迎え撃つのかそれとも外で迎え撃つのか決める必要性がある」

「どちらがいいんでしょうか?」

「そうだな」

 少し考える。
 偵察隊が30体以上いたことから、ここに来るオークは100体以上かな。
 エリート・オークが2体以上は来るはずだ。
 そうなると中で迎え撃つのは危険すぎる。校舎が使えるなら話は別だけど、使えない以上、育芸館の外で迎え撃つべきだな。

「オークが100体以上いるから、育芸館の外で迎え撃つべきだな」

「・・・オークが」「100体以上」

 タマキと白花が怯えた声を出す。

「外で平気かな」

「育芸館の中で迎え撃つには危険すぎるからね」

 僕たちが話しているうちに和弘たちが森の中から出てきた。



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