様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 アルファ号、ベータ号と名づけられた二隻のフライング・シップは、瘴気を吐き出す幽雷湿地に飛び出した。
 濁った水面の五メートルほど上をすべるように飛ぶ。

 先頭のアルファ号はアリスが操縦士で、ほかの乗員は和弘、結城先輩、啓子さん、アリハ、アカネ、志木さん。
 後ろのベータ号はミアが操縦士で、僕、ハクカ、ルシア、たまき、桜、百合子、潮音が搭乗する。

 なんでこの組み合わせかというと、ミアが結城先輩と一緒の船を拒絶したからだ。
 いわく、「お互いにボケすぎて話が進まなそう」とのことで、たいへん納得できてしまう。

「アルファ号は、なんか難しそうな話しそうだよな」

「指揮官同士の話だそうです」

 話している間にアルファ号の前方の水面が割れ、ひとひとり、楽勝で丸呑みできそうなほど巨大な蛇が鎌首をもたげた。

 蛇がおおきく口を開ける。
 巨大な水球を吐き出す。
 和弘たちを乗せた船は、まっすぐ水球に突っ込んでいき……。

「リフレクション」

 船頭から顔を出した啓子さんが、魔法の盾を生み出す。
 水球がはじき返され、蛇の頭部にぶちあたる。
 ジュッ、と蛇の頭部が焼けた。

 あ、酸か。
 アシッド・ボールとか、この状態で食らったらヤバかったなあ。
 で、この蛇は自分の放った酸で傷つくのか……。

 高速で飛行する船は、蛇に突っ込んでいく。
 アリスは慌てて左に舵を切り、回避。

「ルシア、シオネ、ユリコ」

「はい」

 3人が、三発の火球を飛ばした。

 大蛇は炎に包まれ……その頭が吹き飛ぶ。
 長い全身が、ちからなく濁った水面に、没していく。
 ぼくたちはおおきく息を吐き出す。



 ちなみに今回の経験値は第二チームの方に入ったとのことで、百合子と潮音がレベルアップしていたそうだ。
 白い部屋では女子会が開催され、結城先輩がたいへんに居心地の悪い思いをしたとのことである。
 さすがの忍者も啓子さんの前でほかの子にデレデレするわけにはいかないだろうしなあ。

「ちなみに、いまのモンスターはアシッド・サーペントと名づけたでござるよ」

「名づけたって……いちおうこの世界のモンスターなんでしょう?」

「水域に生息するモンスターの情報は、ほとんど得られていないようでござる」

 川はともかく、海や湖に潜むモンスターはさっぱりわからないとのこと。
 ただでさえ人類不利だからってことかな。
 陸上ですら苦戦するのに水中を得意とする相手なんて立ち向かうどころか調査することすらできないってことか。

「会敵は一瞬だったから、アシッド・ボール以外の攻撃がわからなかったけど……ほかにも遠距離攻撃してくるモンスターがいるのかなあ。だったら、ずっと気を張ってないとヤバいね」

「見張りは拙者と啓子に任せるでござるよ」

 ま、忍者夫妻に任せるしかないか。
 ぼくたちだけだと、索敵面が弱いからなあ。

「白い部屋で女子会ですか」

「・・・はい」

 話している間に霧を割いて、なにか巨大なものが落下してくる。
 胴体で押しつぶすそうとでもいうように、船全体を覆うほどおおきなそれが斜め上から落下してくる。
 巨大な鳥だ。
 でも……。

「リフレクション」

 啓子さんの出した魔法の盾が、巨鳥を撥ね返す。
 ロック鳥は、襲ってきた勢いそのままで、後ろに飛んでいった。
 スピンして、霧のなかに消えていき……あ、ぼちゃんって音がした。



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