様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「ふはははははっ! グレードグランド! 相変わらずの大きさである!」

「デカイ……」

「あの古代竜よりは小さいが……。それでも大きいな」

 筋肉導師との運命の出会いから13日後。
 俺とヴェルとブランタークさんとアームストロング導師は、パルケニア草原のほぼ中心部にある草原地帯の上空を『飛翔』で飛んでいた。

 突然の参加となった今回の作戦であったが、王国軍は王都駐留軍の六分の一にあたる一万人を動員し、郊外の駐屯地にて編成と必要な物資を準備してから、魔物の領域近くに陣地を張っていた。

 なぜ大軍なのにそんなに慎重なのかといえば、人間が魔物の領域の中に入ると多くの魔物たちを刺激して大規模集団戦闘になってしまうからで、グレードグランドが倒れるまでは魔物の領域に入らない作戦になっていたからだ。

 別にグレードグランドが倒れても魔物の数自体は変わらないような気がするが、グレードグランドはこの領域を統括するボスのような存在で、同時に食物連鎖のトップに君臨しているばかりでなく、その恐怖で他の魔物たちを自由に動かせる存在らしい。

 そのため、グレードグランドが死ねば魔物は集団での戦闘を行わなくなるので、あとは大軍で安全に各個撃破が可能なようだ。
 まったくの被害なしとはいかないようだが、ボスが健在な時よりかははるかに犠牲者を減らせる。
 それと森や山地などとは違って、草原には大軍が展開可能なので集団戦の利が生かせることと、このパルケニア草原の魔物が比較的弱いことも挙げられる。

 少数の冒険者で狩りをするのであれば、比較的初心者向けの魔物の領域らしいのだ。

「では、一秒でも早くグレードグランドに引導を渡してやるのである! もう某たちを見つけたのであるか! 老眼ではないようである!」

「ああ、うるせえ! 耳が難聴になりそうだぜ」

 『飛翔』でグレードグランドを見下ろす格好になっている俺たちであったが、見下ろされたグレードグランドは俺たちのことがもの凄く気に入らないらしい。

 耳の鼓膜が破れそうなほどの咆哮で、俺たちを威嚇していた。

「導師?」

「では、始めるとしよう! あとは力と力のぶつかり合いなのである!」

 結局のところ、4人だけでグレードグランドを倒す作戦なんだが、作戦内容自体は複雑なものではない。
 目の前の強大な敵に対し、細々とした作戦など不可能であったからだ。
 そもそも、魔物の領域の外にいる王都駐留軍と冒険者ギルド本部が臨時徴集をかけた冒険者傭兵部隊約二千人が対竜戦闘に一切参加しないのは、下手に参加させると無用な犠牲が増えるからである。

 竜のブレスはどの属性のものでも、人間がまともに食らえば消し炭にされ、即死してしまう。
 そのため、ブレスへの対処方法が用意ができない人が竜討伐に参加をしても無駄に命を落とすだけである。
 俺たちは少数精鋭の刺客として、グレードグランドに戦いを挑んでいるわけだ。

 あとこれは別口だが、可哀想にリッドたちも俺の家臣という扱いなので、ファブレ準男爵家諸侯軍として軍勢を集め、グレードグランド退治後に行われる魔物討伐戦に参加すると聞いた。

 理由は、貴族なので諸侯軍編成しないといけないという建前の元に結成された人手余りの貴族の子弟たちによる感状と功績稼ぎというのが実態だ。

 駐屯地で出撃準備をしているとローラン兄さんが顔を出し、ファブレ準男爵家諸侯軍を編成して出撃させないといけないので、資金を出して欲しいと頼まれていたのだ。

 俺は参加できないため、ローラン兄さんが副将兼参謀扱いで参加するそうなので、ならローラン兄さんに任せた方が楽だと白金貨百枚ほどを預けている。



「少年たちは、『カッタートルネード』の魔力をひたすら溜めることに専念するのである! ブランターク殿は、いつでも魔力注入を行えるように!」

「了解です!」

「はい」

「任せてくれ」

 もうこうなったら、あとは腹を据えてこの巨大な老属性竜を倒すしかない。
 作戦案では、俺とヴェルは『飛翔』で常にグレードグランドと等距離を保ちながら、戦略級の風系統魔法『カッタートルネード』を放つ作戦になっていた。

 導師によると俺たちが作り出してグレードグランドにぶつけられれば、討伐はほぼ成功したも同然だそうだ。

「アルフレッドとアティの弟子の『大竜巻』に期待するのである!」

「あの……『カッタートルネード』ですけど……」

「どれも同じようなものである!」

 実は、この世界の魔法の名称はかなり曖昧だ。
 才能のある魔法使いたちが己の魔力を消費しながら、頭の中で思い浮かべた現象を具現化させるだけなので、個人差が出て当然とも言えた。
 ただ、結局人間の考えることは似ているし、古代魔法文明時代の人間が、俺を含めこの時代の人たちの想像もつかないほど独創的な考えをしているわけでもない。
 過去の先人たちが考えた魔法はアンチョコとしてかなりの数が残っおり、それを未来の魔法使いである俺たちはちゃんと参考にしていた。
 たとえば火系統の魔法だと、『ファイヤーボール』を考えつかない魔法使いは少ないというわけだ。
 あとは、『火矢』、『火壁』、『火蛇』とかであろうか。
 魔力を持つ者たちは、多数残された微妙に記述の違う資料を読み漁り、師匠がいる人は、その教えを参考に自分が一番使いやすいものにアレンジして魔法を取得していく。
 魔法を唱える際にも、無詠唱の人もいれば、呪文名を唱える人もいるし、術式のような半ば詩めいた短文を口にする人もいる。
 もっと凄い人は、派手な踊りやポーズなどを取る人もいた。
 ようするに、自分に合っている方法を探し出し、それを用いて魔法を具現化させるわけだ。
 ちなみに俺は、無詠唱派であるが、それだと仲間との連携に支障があるので呪文名を唱えている。
 俺も含めて、俗に言う無詠唱派はかなり多かった。
 ポーズ派、踊り派、長い詩的な文言が恥ずかしい人の割合は意外と多いのだ。
 もっとも、無詠唱だと魔法の威力に問題があり、泣く泣く体質に合った他の派閥に転向する魔法使いも意外と多いそうだ。
 話を戻すが、今度の相手であるグレードグランドは、その名のとおり土属性の老属性竜である。
 この世界の魔法には、火・水・土・風の基本四系統が存在し、他に滅多に使える人がいない聖や、もはや伝承扱いである魔族が使うとされている闇があると言われている。

 特殊な系統は除き、基本四系統の間にはそれぞれに得意・苦手な属性があり、簡単に言えばジャンケンのような関係になっていた。

 火は水に弱く、水は土に、土は風に、風は火に弱い。

 グレードグランドは土系統の属性竜なので、俺たちは高威力の戦略風系統魔法である『カッタートルネード』で一気に葬ろうと考えていた。

 正確には、アームストロング導師の作戦であった。

『ヴェル少年は、すでに魔力量だけでいえば某よりも多いのである!残念なことに、某の魔力量はアルフレッドよりも少し多いくらいなのである!ルーク少年の魔力運用の熟練度は、某より上である。そこで、トドメは少年たちに一任するものとする』

 作戦開始前、駐留軍の駐屯する野戦陣地で俺たちはアームストロング導師から作戦内容を聞いていた。

『少年たちが使える最大級の風魔法で、一気にグレードグランドを葬り去るのである!』

『(作戦というほど複雑でもないけど……間違ってはいない)』

『妥当だな。先ほど放った最大級の風魔法なら十分に勝算はある』

『ブランターク殿が、某の意見に賛成でよかったのである』

 ブランタークさんもアームストロング導師の作戦に賛成であった。
 今回のケースでは、下手に複雑な作戦を採用しても意味がないからだ。

『しかしながら、この魔法は溜めに時間がかかるのです』

 下手に時間を短縮しようとして溜めが足りないと魔法の威力不足でトドメを刺せなくなってしまう。
 もしそうなれば、まさに本末転倒というものだ。
 俺たちは、最低でも二分間の時間が必要であると明言する。

『二分間であるか』

 確実にグレードグランドを葬り去れるであろう『カッタートルネード』の展開には、二分間ほど必要だと俺たちは計算していた。
 しかもそれは、途中でブレスなどの攻撃を受けると『魔法障壁』の展開で魔力の溜めが遅れてしまうのだ。

『二分であれば、某が全力で戦っても問題はないのである。少年たちが、某と距離を置いて『カッタートルネード』の準備。某が、全力でグレードグランドに戦いを挑む。ブランターク殿は、予備戦力兼、万が一某の魔力が尽きた時には、魔力の補充を行ってほしいのである』

『任せてくれ』

 『魔力補充』とは、その名のとおり他人に魔力を分ける行為である。
 しかしながら、この特殊魔法を使える魔法使いは少ない。
 いや、正確には全員が使えるのだが、他人に魔力を分ける際に膨大なロスが発生するのだ。 
 普通の魔法使いだと百の魔力を使って五くらいしか相手に補充できない。
 それなら他人に魔力分けしないで、自分で魔法を使った方がマシという結論に至るのに、さして時間はかからなかった。
 ところが、ブランタークさんは百を使って相手に九十五以上を補充可能だ。 
 稀有な才能と言っても過言ではなかった。
 さすがにこの『魔力補充』は、先生にも俺にも会得できなかったのだから。
 ブランタークさんは、魔力の量で言うと上級カテゴリーでも低い方になる。
 ところが、こういうあまり他の魔法使いが使えない魔法が使えるので、アームストロング導師からも一目置かれていた。
 ベテランで『上手い魔法使い』というのが、彼の周囲からの評価であった。

『交代して、ブランタークさんが戦うのはなしなんですか?』

『現役時代ならできたが、今の俺だと無理だろうな』

 そのための、アームストロング導師への魔力の補充らしい。

『ただ、実際に補充はしないと思うぜ。俺は本当に後方で予備扱い。出番がないの方が作戦は成功しやすいんだから』

『ブランターク殿が後方で構えてくれるので、相当余裕ができたのである! いやあ、某はツイているのである!』

 そう。
 アームストロング導師の言うとおりなのだ。
 少々厳しい条件で強敵に挑んで、ギリギリのところで勝つ。
 子供が読むサーガならば問題ないが、実際の戦闘でここまで追い詰められるのは愚か者の所業という他はない。
 俺とハクカとヴェルとブランタークさんの4人で古代竜を討てているのだから、これにアームストロング導師を加えた4人で属性竜を討てる確率は相当に高い。

 ならば、あとはさらに作戦に確実性を持たせるべきであった。

『某一人でも六割の確率で勝てはすると思うのだが、それは王宮筆頭魔導師としては無責任なのである』

 アームストロング導師は、王国でも五百年に一度と言われるほどの逸材と評判が高い。
 さらに、彼は家柄がいい。
 伯爵家の次男なので、他の貴族たちからのやっかみや妨害が少ないのだ。
 加えて、本人の性格はこのようにサッパリとしているし、私財を必要以上に貯め込もうとしたり、権力欲が強くて出世に汲々としたり、おかしな派閥形成に動くような真似もしない。

 見た目は筋肉だが、こう見えて意外と頭がよく、政治にも理解があるそうだ。
 陛下が一番信頼している家臣であるとのローラン兄さんからの話であった。

『そうだな。今、導師に死なれると陛下は厳しいだろう』

『そんなわけなので、少年たちとブランターク殿には感謝なのである』

 以上のようなやり取りの後に、俺たちは4人だけでグレードグランドと対峙していた。
 まず最初にアームストロング導師がグレードグランドの眼前に飛び出し、あの巨大な杖を両手で構えてから一言だけ叫ぶ。

「『魔導機動甲冑』! 装着!」

 するとアームストロング導師の全身が瞬時に顔の部分も含めて漆黒でフルフェイス甲冑に覆われた。
 持っていた杖も真っ赤な魔晶石が見えなくなるほどの巨大なハンマーに変化してしまう。

「なっ!」

 こんな魔法、初めて見た。
 先生でも絶対に使えないだろう。

「まあ見た目どおりなんだが、いつ見ても難解な魔法だな」

 斜め後方で宙に浮きながら『カッタートルネード』の魔力を溜めている俺たちに、すぐ傍で同じく宙に浮いているブランタークさんがボソっと漏らしていた。

「魔力を物質化する特殊魔法で、『魔法障壁』よりも防御力は圧倒的に上だ。杖も魔力の物質化でハンマーに変化させて威力を上げている」

 これに加えて、限界まで身体能力を強化し、『飛翔』の速度も王国では髄一。
 簡単に言うと、魔力で強化した身体能力と圧倒的な戦闘能力で、敵を容赦なくブチ殺すデストロイヤー的な戦いをするそうだ。
 アームストロング導師は、縦横無人にグレードグランドを翻弄しながら、その頭に、腕に、足にと竜の全身をランダムに、ハンマーでぶん殴ってダメージを与えていく。

 ハンマーによる一撃が決まる度に、バキバキと嫌な音がして、ウロコが破れ出血部分が何か所か確認できた。
 思ったほどのダメージではないようだが、グレードグランドは激痛と激怒のあまり、連続して空を引き裂くばかりの咆哮をあげていた。

「すげえ……」

「まだまだ、こんなもんじゃねえよ……」

 しかし、グレードグランド側もただ殴られ続けてはいなかった。
 アームストロング導師の移動の癖を掴み、未来移動位置に尻尾を使った振り払い攻撃を仕掛ける。
 あんな一撃を普通の人間が喰らったら、間違いなく水風船のように弾けてしまうであろう。

「危ない!」

「大丈夫だ」

 ブランタークさんはまったく心配していなかったが、確かにそのとおりであった。

 それを見越していたのか?

 アームストロング導師は、高速で振るわれたグレードグランドの尻尾を掴み、そのままあの巨体ごと投げ飛ばしてしまったからだ。

「マジで!」

 あの竜が、どれだけ重たいか。
 俺にはわかっていたからだ。

「魔力が物質化した鎧はあくまでも防御のため。本命は、あの強力無比な『身体能力強化』魔法にあるんだよ」

 さらに驚きは続く。
 アームストロング導師は、投げ飛ばされたダメージから回復して立ち上がったグレードグランドに、次から次へと蛇の格好をした風魔法をぶつけていたからだ。

 土属性のグレードグランドの弱点は、風属性の魔法である。
 グレードグランドは風の蛇にウロコと肌を食い破られ、さらに数箇所で出血が始まっていた。

「少年たち! 準備はいいのであるか?」

「ええと、大丈夫です!」

「はい、大丈夫です」

 衝撃の光景に思わず見惚れていた俺たちであったが、魔法の溜めは勿論忘れていない。
 時間は二分を少しすぎていたので、必要な魔力は溜まっている。
 俺たちは、アームストロング導師が素早く退避したのを確認してから『カッタートルネード』を放った。
 この『カッタートルネード』の魔法は、名前のとおりに最初は標的を竜巻で覆ってしまう。 
 続けて、その竜巻から風属性の鋭利な刃物が次々と生み出され、標的に次々と傷を負わせるのだ。
 グレードグランドは傷が増える度に悲鳴のような咆哮をあげ、続けて竜巻が赤い色に染まっていく。
 流れた血が竜巻に巻き込まれ、徐々にその赤を濃くしていった。
 そして、竜巻の赤が濃くなればなるほど、グレードグランドが体内の血を失っている証拠であった。

「斬り殺されるか、出血多量で死ぬかか。坊主たちも、相当にエゲツねえよ」

「師匠の技ですよ?」

「あいつも、涼しい顔して魔物には容赦がなかったからな」

 それから数分後、体中の血液をほぼ出し尽くしたグレードグランドは大きな地響きと共に地面に倒れた。
 いくら地上最強の生物でも、血がなくなれば死んでしまうのは他の生物と同じだ。

「さすがは属性竜。切り傷では死ななかったか」

「ですね。さてと……」

 グレードグランドは死んだのだが、実はこれで終わりではなかった。
 ヴェルはまだ渦巻いている赤い竜巻に近付くと、今度は水系統の魔法を使い始める。

「坊主、なにをするんだ?」

「竜の血は高価ですから。回収ですよ」

 実は、今回のグレードグランド討伐では王国からの報酬がなかった。
 貴族の責務として従軍したからだ。
 普段は年金や領地からの上がりがあるので、その恩を返す奉公なので仕方がないのだけど、そのために貴族は戦場で略奪を行うことが多い。

 それは悪いことなのであろうが、そうそう王国も貴族に手当てをするほど財政に余裕があるわけでもなく、これは黙認されていたのだ。
 ここ二百年ほどは戦争がないので略奪自体発生していないし、今回も相手が魔物なので、魔物から略奪というのも難しいと思うけど。
 その代わり、今回のグレードグランド討伐と、その後のパルケニア草原における魔物殲滅の作戦では、参加する兵士たちにある褒美が与えられている。

 それは、狩った魔物の素材を自分のものにできるという権利だ。
 魔物の素材は、とても高く売れる。
 なので、今回作戦に参加している兵士たちは遠征を大変に楽しみにしているとの噂であった。
 冒険者も今回は大量に集まっているので、競争意識も出て余計に気合が入っているようだ。
 血生臭いし、犠牲は出るのだが、兵士たちは魔物の素材を売った臨時収入で家族や恋人などと贅沢をし、素材を手に入れた商人やギルドはそれを使って様々な商品を作り、それが売れる。

 王国も税収が上がるし、なにより魔物の領域であったパルケニア草原が開放されて広大な穀倉地帯になる。
 そうすれば、さらに農地開発が進んで穀物の生産量も増える。
 今まで狩りに頼っていた肉類の供給も、その穀物や草原の草を使えば増えるはずだ。
 食料自給率の低い王都に穀物を供給していた遠方の貴族たちも穀物の販売益は減るが、近隣の住民たちに牧畜で肉を供給できれば利益となる。

 経済的な話をすれば、取引額が増えるので万々歳な話なのだ。

「そんなわけで、竜の血は貰いです」

 ヴェルは、水系統の氷魔法で竜巻の中で舞っている血を一箇所に纏めてから凍結させ、その塊を魔法の袋へと仕舞った。

「坊主、えらく器用になったな」

「師匠の師匠が、もの凄く器用な方ですからね」

「あとは、グレードグランドの死体だな」

 血だけでなく、竜の体で使えない部分はなく、どこ部分もとても高く売れる。
 ましてや属性竜ともなれば……。
 なので俺は、素早く魔法の袋にグレードグランドを仕舞った。
 袋の中では時間が経たないので腐らず、あとでギルドで解体してもらうためだ。
 さすがに俺でも竜の解体は困難だし、下手に時間をかけると肉などの品質が落ちて値段が下がってしまう。
 ここはプロに任せるべきであろう。

「アームストロング導師、グレードグランドの売却益は4人で山分けですよね?」

「某はそれでいいのである! しかし、あのカッタートルネードは見事であった。威力で言えば、すでにアルフレッドは超えていよう。今後も油断なく修行に励むのである!」

「はい」

「さて、某たちがグレードグランドを倒したので、しばらくはこの近辺に魔物は来ないはずである。今日は野営をして、明日からの魔物狩りに備えるのである」

「へっ?」

「え?」

「今、なんて言った?」

 俺とヴェルとブランタークさんは、アームストロング導師からの予想外の発言に驚いてしまう。
 今回の任務は、グレードグランドを倒して王国軍や冒険者たちが魔物殲滅戦を実行できるようにすることであり、ここで俺たちが下手に手を出せば、彼らの仕事を奪ってしまう結果になってしまうからだ。

「いくらグレードグランドが倒れても残存する魔物の数はとても多いのである! よって、某たちが手伝いをしなければ多くの犠牲が出るであろう。どうせみんな、分け前を他人に取られたなどと思う余裕がないほどの死闘になるのである! 明日からの奮闘に期待するのである!」

「俺、まだ未成年で普通の魔物狩りは未経験……」

「初回と二回目の対魔物戦闘が竜って、坊主たちはもの凄い経験をしているよな。しかし、俺はもう引退しているのだが……」

「4人で組めば、些細な問題である」

 というか、グレードグランドはもう倒したんだから帰りたい……。



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