様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 王都に到着して、いきなり国王と謁見か。
 正直、どう対応していいか困るのだ。
 俺も一応、貴族の子供だが、礼儀作法を学ぶ機会はなかったのだ。

「本当に若いの。魔法の才能は、年齢に関係ないとはいえ……」

 ひとしきり挨拶が済むと今度は俺たちが古代竜を倒した時の話を聞いてくる。

「リアと『同調魔法障壁』の後、友を助けるために古代竜に立ち向かい『飛翔』『風の膜』『魔法障壁』『聖光』。4つの魔法を同時に展開か。なるほど、素晴らしい才能の持ち主たちのようだな」

「左様ですな、陛下」

 陛下の言葉に賛同する老人がいたが、その男性は豪華に飾り付けられた司祭服を着ていた。
 きっと教会関係者なのであろう。
 しかも王城に出入りできる立場なので、教会本部でもかなりのお偉いさんのはずだ。

「ホーエンハイム枢機卿もそう思うか?」

「はい。しかも、これほどの『聖光』を発動させられる魔法使いは少ないのでは」

 聖の魔法は、本当に扱える人間が少ない。
 魔法の才能がなくても、教会で聖職者として修行する過程で、己の持つ微小な魔力が聖の属性を帯びることはそう珍しくない。
 ただそのくらいでは、弱いアンデッドが近寄らなくなる程度。
 聖の力を付与された魔道具を使えば浄化も可能だが、高威力の聖魔法を発動させることができる者の大半は、普通の魔法使いだったりする。そのため聖職者で聖の魔法が使える魔法使いは、かなり少ないので、このご老人が興味を持って当然の反応なのだ。

「余から、そなたたちに頼みたいことがあっての」

「頼み事とはいったいなんでしょうか?」

「今回、そなたたちが取得した古代竜の骨と魔石を売って欲しいのだよ。実は、あの魔石と骨があれば、場所塞ぎの巨大魔導飛行船が動くのでな」

「巨大な魔導飛行船ですか?」

 陛下の話によると現在稼動している魔導飛行船以外に、船体は遺跡から発掘されていても適度な大きさの魔晶石がなくて動けない船がもう何隻か存在しているらしい。

「王都の郊外に古代魔法文明時代に造られた造船所跡の遺跡があっての」

 俺たちが乗って来た魔導飛行船の四倍、全長四百メートル超えの超巨大船がドッグ跡で眠っているらしい。

「飛竜から取れる魔晶石を連結して動かすという案もあったのだがな……」

 2mクラスの『魔晶石』と同等の働きを必要とされるであろう『魔晶石』の量は50万個以上必要と試算が出て、船の容量以上の燃料室が必要なため物理的に採用できなかったそうだ。
 古代魔法文明時代には当たり前のように普及していた多数の小さな魔石を材料に巨大な魔晶石を作る方法は、今ではとっくに失われてしまっている。

 現在も研究は進んでいるが、まだ目に見える成果はあがっていないそうだ。
 大きな魔晶石を手に入れたければ、遺跡に眠っているものを発掘するか、属性竜クラスの強力な魔物から巨大魔石を手に入れて加工するしかない。

 そう簡単に手に入るわけがないよな。

「他にもドックに入っていた船なのでな。色々と部品や装甲などが外されておるのだ」

 複雑な構造だったり、製造にもの凄い技術が必要なわけでもないのだが、とにかく強度が必要で、古代竜の骨は最適な材料なのだそうだ。

「古代竜の骨を加工して、それを足りない部品や装甲として利用すれば、巨大魔道飛行船は安全に稼動するのだ。どうだ? 売ってくれるか?」

 俺とヴェルは、お互い視線を合わせると

「はい、それは勿論。喜んで提供させていただきます」

 どう考えても断れる状況じゃないからな。

「そうか、それはよかった。それでは、白金貨500万枚で骨と魔石を買おう」

 俺とヴェルは、ひとつ頷いた。

「素材の売買の件はただの取引でしかない。もう一つ、余はそなたたちに褒美と名誉も与えなければならぬ」

「褒美と名誉ですか?」

「そうだ。そなたたちは、稼動に白金貨八百枚をかけた魔導飛行船を古代竜のブレスから守ったのだから。報告を聞くに、ブライヒレーダー辺境伯のところのブランタークとファブレ騎士爵家の分家のハクカ嬢の貢献は大だが、そなたたちがいなければ、いつかは船は落とされていたであろう」

 確かに陛下の言うとおりで、ブランタークさんの『魔法障壁』は古代竜のブレスを防げたが、聖魔法を使えない彼では攻撃に転じることができなかった。
 魔力が尽きて『魔法障壁』が張れなくなれば、船は古代竜のブレスで破壊されていたであろう。

「その後、この王都を襲撃していれば大損害であった。普通に考えても、そなたたちはドラゴンスレイヤーなのだから。それに相応しい名誉を与えなければなるまい」

 そう陛下がそう言うのと同時に、一人の文官がなにかを載せたお盆を持って後ろから現れる。

「アンデッド化した古代竜を討ち、魔導飛行船を守った功績により、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとルーク・フォン・ストラトス・ファブレに双竜勲章を与える」

 謁見の場はいきなり叙勲の場と化し、俺たちは陛下から双子の竜をあしらった金とエメラルドでできた勲章を左胸に着けてもらう。
 すると、それと同時に周囲から大きな拍手が沸き起こった。
 どうやらかなり名誉な勲章らしい。

「続いて、我、ヘルムート王国国王ヘルムート三十七世は、汝、ヴェンデリン・フォン・バウマイスターとルーク・フォン・ファブレに第9位準男爵位を授けることとする。さあ、バウマイスター卿、ファブレ卿よ」

「???」

「(ルークさん、じょくんのさいのせんけいのおことばです)」

 突然のことで硬直していると横からリアが小声で助け舟を出してくれた。

「我が剣は、陛下のため、王国のため、民のために振るわれる」

「我が剣は、陛下のため、王国のため、民のために振るわれる」

 そういえば、小さい頃に母から聞いたことがあったのを今思い出し、それを慌てて口にした。
 まさか、人生でこの言葉を述べる時が来るとは思っていなかった。

「さて、これでバウマイスター準男爵とファブレ準男爵は王国の臣となった。とはいえ、別にそなたたちを官職で縛ろうとは思わん。兄の結婚式に参加し、王都の街を堪能し、冒険者の道を自由に歩むがいい」

 立て続けに起こる予想外の事態に、俺たちはただ流されるだけであったが、とにかく俺たちは大金を手に入れ、勲章と爵位を手に入れたらしい。

 そしてなぜか、アルテリオさんが苦笑をしているのが、大きく印象に残るのであった。



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