様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「はあああぁぁ」

 土屋さんが、大きく息を吐く。

「ど、どうなってやがる!」

「あれっ!? 何、幻なのっ?」

 権蔵も桜も取り乱していた。
 僕は、周囲を見渡した。

「ここ……見たことある」

「ミトの木があるよ」

「ここは、俺たちの住んでいた屋敷だよ。転移で一気に全員連れてきてもらった」

 土屋さんの背後から、すっと姿を見せた縁野を見て、僕たちは理解した。オーガは縁野のことを知らないので、首を傾げているが。

「ええと、仲間のスキルでこの場所まで一気に飛んできた。オーガマスターに留守中の村を託されたオーガがいましたよね。その人に、何があったか伝えてもらえませんか?」

「そ、そうだな。わかった! お前たちのおかげで命拾いをした。今度改めて礼をさせてもらう! では、急ぐので!」

 生き残りのオーガたちが村の奥に向かって走っていく。
 これから、この村でもひと騒動あるだろうが、無責任なようだがオーガたちに解決してもらうしかない。

「転移スキルで逃げたのは理解した。その事に関しては礼を言う。縁野さん助かった、ありがとう!」

 一度殺されかけた相手に権蔵が深々と頭を下げた。
 続いて、僕たちも縁野に頭を下げ、お礼の言葉を口にする。

「俺からも礼を。あんたのおかげで助かった。本当に感謝している」

「別に善意で助けたわけじゃないわ。それよりも、あの取引内容を忘れてないでしょうね」

 土屋さんに確認を取ってきた。

「ああ、覚えている」

「あの、取引って何ですか」

 桜が土屋さんの袖を引っ張り、何故か少しだけ怒ったような表情で訊ねていた。

「ごめん、皆には説明がいるな」



 僕たちの元から離れ、自分の拠点に戻った縁野は全てが終わった後に辿り着く。
 全ての人が死に絶えた拠点で、彼女はオークキングの殺害を心に誓った。
 そして、遠くから様子を窺っていた彼女を見つけ出し、糸を伸ばし交渉を持ち込む。一人で対応できる相手ではない、仇を討ちたいなら力を貸してくれと。



「これが事の真相だよ」

 権蔵が首を傾げたまま、しゅっと手を挙げた。

「あれ、転移スキルって使用回数0じゃなかったか? 一か月まだ経ってないだろ、何で発動できたんだ?」

 その疑問に縁野は髪をかき上げ、面倒臭そうに答えた。

「転移レベル上げたのよ。溜めこんでいたポイントを使って」

 以前から何かあった場合を考慮して、ポイントは溜めこんでいたらしい。それに、僕たちと島の西を探索中にもレベルが上がっていたので、転移を上げるポイントは余裕で足りていたそうだ。

「なるほどな……ああ、そっか……はあ。今回の戦いはどうにか終わったが。失った者が多すぎるだろ……」

 権蔵の零した言葉に、全員が思うところがあり俯いてしまう。

 オウカにリオウ、多くのオーガたち。そして、オーガマスター。

 気の良い者ばかりで、本当に気に入っていたのだが、彼らを失ってしまった損失は計り知れない。

「あ、そうだ。桜!」

「へえあっ!? な、なんですか」

 土屋さんが急に大声を上げたので、桜は心底驚いたようで、胸元を押さえている。

「その腕! 本当に大丈夫なのか」

 彼女の左腕となった義手。

「そうだ、そうだ! 何で急に腕が生えて、めっちゃ強くなったんだよ!」

「桜、トカゲ?」

「でも、なんか普通の腕ちがう」

 視線が桜の左腕に集中している。
 問いかけに答えるように、ジャージの袖を捲し上げると陶器のような白い肌を持つ義手が現れた。
 桜の肌色に比べて少し白いが、そこを除けば普通の腕に見える。形におかしなところはなく、爪もしっかり生えている。

「これはね、願いの義手って言うみたい。ほら、聖樹からドロップしたアイテムで紅さんが持っていた木片があったでしょ。あれに強く願うと形を変えて力を貸してくれるみたい。もう完全に腕になったから、離れないみたいだけど」

 微笑みを絶やさず、桜は「どうかっこいい?」とおどけてポーズを取っている。
 権蔵は羨ましがり、サウワとゴルホは興味津々といった感じで、桜の義手を突いていた。

「んで、これからどうすんだ? ひたすら修行は確定だろうけどよ」

「そうだな。猶予である三か月の間に自分たちを鍛え上げる。そして、迎え撃つ。これしか生きる術はない。作戦は、この期間内にどれだけ成長するかによって、随時、変更していこう」

 ただ、相手が約束を守る保証が何処にもないので、いつ相手が気まぐれを起こし、こちらに手を出してきてもいいように、万全の態勢は整えておくべきだろうな。

「暫くすれば、オークキングからの伝令か、直接本人が今後の話し合いに来るだろう。今は絶対に手を出さないように。厳命しておくよ」

 全員が神妙な顔で頷く。今はどう足掻いても勝つ手段が思い浮かばない。

「オークキングと今後の詳細を確認できたら拠点を移そうと思う。ここにいては万が一の際にオーガに迷惑がかかるから」

 誰からも反論の声はなかった。

「蓬莱さんと権蔵が住んでいた、あの拠点に移り住もうか。家は新たに作ってもいいし、他の拠点から持ってきてもいい。今ならそんなに手間でもないだろう」

「僕たちは別行動させてもらうよ」

「おう」

 方針が決まれば、あとはやるのみだ。

『じゃあ、ミトコンドリアは本気出して疲れたから、おねんねするねー』

 自分の本体へふらふらと左右に揺れながら飛んでいき、幹の中にすっと入り込み消えた。
 僕と光お姉ちゃんは、土屋さんの屋敷から出ることにした。


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