様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 木製の皿に魚と包丁で切り分けた果物類と塩で味付けされたお好み焼き風味を並べる。
 一応、箸代わりの小枝を二本渡すが使い方がわからないようで、楊枝のように突き刺して食べている。
 一生懸命、魚などに噛り付く姿を見つめながら、僕たちも一緒に食事をすることにした。

 まともな食事を暫くしていなかったのだろう、口いっぱいに頬張って何度も忙しなく咀嚼しては呑み込み、また口いっぱいに放り込む。
 このままではのどに詰まりそうだとお手製の木製のカップ……というよりお椀と呼ぶに相応しい物に水を注ぎ、サウワの前に置いた。
 丁度タイミングが良かったらしく、奪い取るようにカップを握ると一気にその中身をあおる。感心してしまう食べっぷりだ。

「あの、すみません。おかわりいただいても……異様にお腹が空いていて……」

 恥ずかしそうに皿を差し出す桜さんに、魚と果物を追加で皿に盛る。隣のサウワも物欲しそうな顔をしていたので、同じように追加でよそってあげた。

「桜さん、申し訳ないけど、サウワから一緒にこの島に来た子供たちがどうなったか訊ねて、聞き出して……いや、読んでもらえるかい?」

 土屋さんの言葉に疑問を浮かべる僕と光おねえちゃん。なぜ読む?

「……はい。そうですね。やってみます」

 一瞬嫌そうに眉根を寄せたのだが、すぐに思い直していた。
 桜さんが他の子供たちの事を仄めかすようなことを言い、サウワを慰めるように頭を撫でている。
 桜さんの表情がころころと変わり、喜怒哀楽の全てを順番に顔で表現しているかのようだ。途中からは感極まった桜さんがサウワを抱き締め、その胸の中でサウワが気持ち良さそうに目を細めている。

「何か今、凄く失礼なこと考えませんでした?」

「キノセイデスヨ」

「なんで片言なんですか。あ、サウワちゃんが眠っちゃったので、毛皮のところで寝かせてきますね」

 サウワをお姫様抱っこで持ち上げ、拠点の奥へと桜さんが引っ込んでいった。ああやって、持ち上げられるのもステータスレベルを上げた影響か。

「はぁ……」

 桜さんたちの姿が見えなくなった途端に、お兄さんからため息が漏れていた。

「どうかしたのお兄さん?」

「ん、今後の事を考えていただけだよ」

「私や……あの子を助けたことを後悔……しています?」

 サウワを寝かせてきて戻ってきたようだ。

「全然後悔していない……と言えるほど俺はできた人間じゃないよ。でもね、助けずに目を逸らしていたら、自分が許せなかったと思う。俺は助けられる人を見殺しにして、のうのうと生きていられるほど、神経が図太くないからね。自分の手が届かない場所で死なれるのは、いいんだ。最善を尽くして人を助けられなかったのは、諦めもつく。でもね、助けられたのに助けなかった、これだけはダメだ。桜さん、他の子供たちもできる限り助けよう。色々と苦労させるかもしれないけど、一緒についてきてくれるかな」

 土屋さんの言葉を聞いた桜さんの双眸が大きく開き、口元を手で押さえた。そして、心の底から嬉しそうに笑うと大きく頷いた。

「はい! 一生懸命頑張ります!」

「サウワちゃんから聞いた話を聞きたいだけどね」

「・・・あ・・・そうですね。土屋さん」

「いいよ」

「サウワちゃんから聞いた情報だとかなり巨大な船できたようで、船底には同じ境遇の子供が鮨詰め状態で押し込まれていました。ええと、100は超えていると思います」

「100か……かなりの数だね。島にいる俺たち転移者と同じぐらいか、それを超えるか」

「それで、この島の海岸付近に降ろされて、一週間分の食料と水を渡され。その時に短剣も貰ったようです。それで、初めは子供たちの殆どが一緒に行動していて、何人かは勝手に一人で飛び出したり、数人でチームを組んで出ていったようですが」

 わけも分からず、こんな場所に連れてこられたら集団行動をとるのが普通だよな。単独行動や離脱したグループは、それなりに腕に覚えがある連中かもしれない。

「サウワちゃんがいたのは50人以上いた最大規模のグループで、年長者数名が場を仕切っていたようです」

「年長者というのは何人で何歳ぐらい?」

「ええとですね、上は十五、六といったところですね。サウワちゃんのお姉ちゃんが丁度その年らしくて、見た目がそんな感じだったそうです。それぐらいの年代が十人。それより少し若いぐらいの子供が二十人ぐらいの編成で、サウワちゃんぐらいの歳の子が残りといった感じです」

 スキルしだいでは、問題なく対応できそうだ。

「二日目までは年長組の活躍により、何度か襲われましたが魔物も撃退できたそうなのですが……三日目に……ドラゴンに襲われ、ほぼ全滅した……そうです」

 ドラゴンっ!?

 この島に、いるの。
 ファンタジーの魔物と言われて真っ先に頭に思い浮かぶ強大な魔物――ドラゴン。説明するまでもない有名すぎる魔物だ。

「この島にドラゴンが」

「はい。炎を吐き、巨大な体躯から伸びた尻尾と鉤爪で、成す術もなく仲間が殺されていったと教えてくれました」

「はぁ……悩み事が増えるばかりだな。それで、その後は?」

「サウワちゃんはその場から何とか逃げ延びることができたのですが、他の生存者たちとは散り散りになってしまい、どれだけ生きているのか何処にいるのか全く分からないと言ってました」

「サウワたちがいた場所は、この島の西の方?」

「そこまではわかりませんでしたが……海岸付近をこちら側に真っ直ぐ逃げてきたようなので、おそらく西側だと思います」
 
「西にはあまり行き過ぎない方がいいな。生存者を探すにしても、自分たちが死んでは意味がないから」

「はい、無謀と勇気は違いますもんね。あの、土屋さん。土屋さーーん! サウワちゃんの実力についてなんですが!」

「ああ、ごめん。何かわかった?」

「はい、その、サウワちゃんは闇の魔法が使えるみたいです」

「……えっ? サウワって魔法使えるの?」

「みたいです。この島に連れてこられた他の子も魔法が使えたり何かしらの能力――たぶんスキルを持っていたそうです」

 サウワが言っていた検査をされたというのは、スキルを所有しているかを調べる物だった可能性があるな。スキル持ちだけが選ばれ、この贄の島に送られた。

 でも、何故?

「何でスキル持ちを選んだんだ。そうしないとダメな理由でもあったのか……」

「あの、私も疑問に思ったので、そこ聞いてみたんですよ。何でも。スキルを持つ者は贄として上等らしいです。スキルを持たない者より価値のある魂で、それを喰らう者に力を与える効果があると船で偉そうな人が言っていたみたいですよ」

「桜さん。サウワから得た情報に神のお告げや神官といった単語は出てきませんでしたか?」

「あ、はい。土屋さんなんで分かったんですか。なんでも、子供たちをこの島に運ぶきっかけは、神からのお告げだそうです。女神からこの世界の教皇に神託があったそうで。贄の島に生贄を運ばなければ災厄の魔物が目覚めるとか、どうとか。あの、あの、私何か変なこと言いましたか……怒っているみたいですけど」

「いや、違うんだ。この島を遠くから眺めている存在に対して、腹が立っただけだよ。桜さん、秋君、光さん、これは根拠のない憶測だから、それを前提にして俺の考えを聞いて欲しい」

「う・・ん?」

「は、はい、なんでしょうか」

「たぶん、この子供たちは俺たち転移者に与えられたボーナス……経験値の美味しい敵という立ち位置だ。この子たちを殺せば、おそらく転移者を殺した時と同じように経験値とスキルポイントが手に入るんじゃないかな」

「えっ、えっ! な、何で!?」

「何でだろうね。実は軽いノリで悪意のある誰かが、話を盛り上げる為にしているだけなのかもしれないよ。わからないな。わからないことだらけだ。でも、やるべきことは決まっている」

 生き残りの少年少女を探し、味方になってくれそうな転移者を見つける。あと、食料の確保も必須か。

「ねえ、秋君。そろそろ」

 光おねえちゃんが促してきた。
 確かにいつまでもいるものでもないからね。
 サウワの身の安全は、サクラさんが無事だから問題ないと思う。

「そうだね。じゃあ、二人ともまたね」

「あ・・・はい、さようなら」

 僕と光お姉ちゃんは、土屋さんの拠点から立ち去った。



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