様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「それで、一日中張り付けにされてたのにまだ懲りてないの?」

 眞鍋さんを含め俺たちは北島の張り付け状態を囲んで見ていた。

「兄はきっと折れない」

 綾芽が鞭みたいなものをびしっと張る。

「それで俺を叩くつもりなら俺にも考えがあるからね」

 涙目で言ってもあんま説得力ねえ。

 ちなみに俺とルチェルはすぐに和解できた。
 何のことはない。ただの事故で分かればなれになっただけだからである。

 眞鍋さんは俺をチラチラと見はするけど、得に変わったところはない。

「それで叩かれる役はスパークンに替わって私が受けるでござる」

 嬉々としてるキンニズム、絶対Mだな。

「いい加減私達の身にもなってくれない? 今朝私達のところに督促状が来たのよ?」

 とくそくじょう?

「ほお」

 ばっと机の上にあった書類を北島に見せるように広げる。
 俺はそれを横から覗くように見た。今の俺にはリーディングライトスキルがある!

「何々……貴殿におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます……先日、我がギルドの裸族討伐に関しましては証拠不十分により報酬を見合わせましたが、何卒ご理解ご容赦賜り――(中略)、この度街中に裸族と思わしき、変質者が現れましたので……ここに再びっ討伐を依頼致します――!?」

 報酬1000メラン。およそ10万円か。
 北島……お前もうモンスター扱いやんけ……。

「そう、街中であんたを殺して欲しいって依頼が殺到してるのよ。なんでかわかる?」

「全然わからん」

 だめだこいつ、早くなんとかしないと。

「ここは今お国の人が集まってるからよ。馬車の数とか見てる? 豪華に着飾った人も多いでしょ?」

 既に日も暮れ始めたし、腹も減ってきた。
 早く終わらないかな、眞鍋さんの説教。

「スパークン、そろそろあれを話されてはどうでござるか?」

「そうだな、納得して貰うしかないか」

 北島、まだ何かあるのか。

「俺に服を着せろ」

「やっとその気になってくれたのね!」

 いきなりなんだ? 何が起きる。
 北島が十字架から降ろされボロ布の服を着るとバリバリと変な音がし始める。

「いいか? よく見とけお前ら。俺の力は電気だ。そして、対象物をロックオンすると全身が帯電状態になる。触るなよ? 感電死するからな」

 バリバリという音はより強くなっていくと同時に北島の着ていたボロ布が焦げ始める。

「そうか! そういうことなのか!」

 髪は逆立ち、衣服はついに燃えて落ちてしまうと北島は放電をやめた。
 俺はようやく北島がずっと裸でいることに合点がいった。

「まあな、これも理由の1つっていうだけだ。物理的に服が無理ってことだな」

「…………」

 これには眞鍋さんも考えが及んでいなかったのか口を噤んでいる。
 北島妹が階段を上る音がして扉が開いた。

「ご飯できた」

「良いタイミングだ」

 結局北島は上半身だけ裸のままとりあえずズボンだけ履いて1階のテーブルを全員で囲う。

「――というわけみたい」

 眞鍋さんが北島の拘束を解いたことについて説明すると綾芽は少し考えてから顔を上げた。

「この街のダンジョンの29階層に雷を出すライオンみたいなのがいる。それを斃して服にすれば燃えないかも」

「へえ、良い案じゃない? ねえ北島」

 北島はやれやれと首をすぼめてスプーンを揺らす。綾芽の手作りスープはかなりうまい。

「はあ、その雷ライオンとやらはどのくらいの電気を出すんだ? いっとくが俺の最大出力は岩を切断するぞ?」

 何それこっわ!
 このスープの肉って何の肉なんだろ。鶏の胸肉みたいに味がしないんだが。

「だめなら裸にペイントする」

「うっ」

 北島も少しは観念してきたみたいだ。
 まあ、俺は北島が国際指名手配されたら縁を切るな。
 さすがにそんなやつと旅したいとは思わない。

「私が全力でサポートするでござる」

 さすが盟友……いや、お前は服着てそれを言うのか。



 女性陣は1階、男性陣が2階で就寝し、朝起きると俺は石に戻っていた。
 Eメーターを使い切った記憶は無いが、どうやら極端に安心したりすると戻るみたいだ。
 これだけチートな連中に囲まれてたらそりゃ安心もするか。
 ここのところずっとシュレを気に掛けていた事への緊張感からも解放されたから久々に石になったな。

 シュレが俺の部屋に来ていた。

「おはようございます。ハク様」

『おはよう。すまん石になったから戻してほしい』

「・・・はい」

 シュレが恥ずかしそうに頷き、キスをしてくれた。
 元に戻った俺は、

「そろそろご飯ができるそうです」

「わかった」

 といいシュレを抱きしめ、キスをした。

「・・・・んっ・・・・」

 食事も終わってダンジョンに向かう前に俺たちはギルドに寄っていた。

「ダンジョンへの入場を希望ですか? こちらに申告してください」

「登山みたいな感じか」

 北島がボロ布の服を着て……まあ、女性陣と俺以外は奴隷服みたいな感じだ。

「北島もダンジョンは初めてか」

「ああ、穴蔵に入ることくらいは知ってたけど、ダンジョンで電撃放ったら岩盤が落ちてきそうな気がしてな」

 確かに。

「キンニズムさんも? 初めてですか」

 そういやキンニズムはなんと22歳だった。一番最年長だ!

「私は何度も経験あるでござる。ただ、生活に困ったときくらいしか行かないでござるよ」

 サイドチェストでポージング決められても反応に困る。

「終わったわ、みんな装備とかいる? 一応私が回復スキル持ってるから首だけになっても再生できるよ」

 眞鍋さん……そんなチートまで持ってたのか……。

「それって心臓止まってないか?」

「関係ないの。蘇生だから。ただ、ちょっと記憶はぶっ飛ぶけどね」

 心臓止まっても蘇るって……ああ、俺のチートマジでチートでもなんでもねえわ。
 キンニズムがきょとんとしていたが、それ普通の反応だよな。

 ダンジョンに向かって歩き出すと俺たちの後ろに見知らぬ影が動いた。
 俺は後方に下がって一応探知してみるが、この影の正体は人間だ。
 北島にそっと合図を送る。

「逃げる算段か?」

「それは諦めろ。それより誰かに着けられてる」

 今にも降り出しそうな曇り空は時折青い雲がまざったタール模様を描いている。

「数は?」

「3人……かな、80mくらい後方だ」

 俺の探知に掛かったのはほとんど偶然だ。
 敵意がわずかに俺に向かったので気づいただけ。
 一旦補足したこの影の動きは異常で俺たちが10m進むごとに10mの距離を一瞬で詰めてくる。
 ぼやっとみていても気がつかないわけだ。

「さ、着いたわ」

 ダンジョンの佇まいはいかにも洞穴という感じだ。
 それでも馬車が何台か通れるくらいにはでかい穴だから夏場の涼みには良さそう。
 少し中に入ってみるが、思ったよりもじめじめしていて全然気乗りしない。
 ちなみに高価な魔石を持ち帰ることがダンジョンで求められる仕事であってモンスターを斃して素材を売るというのはあんまりしないらしい。

「なあ、俺たちなんでダンジョンに入るんだっけ」

「雷ライオン殺してお前の服を作る為だろ」

 こいつ本当に大丈夫か?

「出来れば魔石も持って帰る。そのためにキンニズムに鞄買ったんだから」

 綾芽はキンニズムに背負わせた鞄を指さした。
 マジで奴隷って感じっすね。

「それじゃ、出発でござるな……」

 男性陣の覇気の無い行軍が始まった。
 シュレ以外の女性陣は経験があるとかでさっさと前に行っちまった。
 後方で惨殺されたら戻って来てくれるのか?

「なあハク、その3人の特徴とかわかるか?」

 北島が急に神妙になって俺の元に来るから俺も驚いた。
 まあEメーターを消費すればそれくらいは造作もない。
 てか、尾行はもうやめたみたいだけどな。

「待てよ、1人は……ああ、こいつ 岩渕和夫(いわぶちかずお)だ。黒髪黒目、高身長、濃い眉でこの体格は岩渕だな」

 もう1人は……げ、こいつもクラスメイトだ。

「 伊藤俊介(いとうしゅんすけ)だな……坊主頭だ」

「こいつらも 異世界(こっち)来てたのか、偶然かな」

 それが最大の驚きだ。はっきりいって問題児2人が連んでいる大問題。
 こいつらに何かチートがあるとは思いたくもないが、探知で捉えていた動き方を見るに何らかの移動チートは持っているようだ。
 そして偶然この街で、というのもおかしな……話……。
 ?

「偶然に思うか?」

 俺は首を振った。
 最後の1人を見て俺は息を呑むことになる。

「 岡崎翔一(おかざきしょういち)……」

「もっと早くにお前に頼った方が良かったな」

 北島はいつもの北島に戻っていた。
 こいつは一体どこまで考えて行動しているんだ? 


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