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 村の外れに歩いて行くルチェル。
 ここに来るまでに1つ分かったことがある。
 ルチェルに意識を集中するとルチェルの全身の状態をスキャニングできるということだ。
 よくある2Dの人体模型によるスキャンよりも遥かに高性能なイメージだけど、どの筋肉組織がどれくらい稼働しているとかそういう感じのスキャニングだ。

 頭、首、胴、肩、腕、手、腰、太腿、脛、足。
 だいたいこれくらいの部位に分かれていてどういう風に連動して動いているかがまるでモニターされているように分かる。
 だからなんだという話なのだが、実はこの部位にはそれぞれアタッチメントやレベル操作が可能になっていた。
 俺が実際にやれそうなんだが、ルチェルを改造してしまうのかと思うとちょっと怖い。
 頭についてちょっと深く 洞察(スキャン)すると知力の他にも智力や思考速度、ストレス強度、精神力やひらめきなどがあることが分かった。
 地力のステータスが分からないのがちょっと残念だけど既に所有する1ポイントでどの程度変わるのかが非常に気になる。最大で99まで振れるみたいだから智力でも振ってやろう。

 というか、本当にこんなん冗談だろっていうような項目が並ぶから暇つぶしに見ている。
 ルチェルには智力を1ポイント投与してみたわけだが、別段変わった節はない。やはりこんなの単なる冗談なのだ。

「本当に、本当に頼むわよ」

 何を頼まれるのかは知らないが、嫌な予感しかしない。

 俺は森の奥に進むルチェルを無視しつつ、その他にも視点操作ができることが分かった。この石状態の視点からルチェルの背後に俺の視界を移せるのだ。
 まったくどういう原理かはわからないが、RPGゲームをしているようにルチェルの背面から前方を見ることが出来る。
 これによりかなり状況を俯瞰的に把握できる。
 ここまで規格外のことができると全くこの石である俺は一体何なんだと言いたくなる。

「出た……」

 静かに言い放つルチェルの目の前には先ほどのキモい蜘蛛がかさかさと地面を歩いていた。
 俺はそいつをルチェルの背中から眺めているわけだが、意識を集中すると自由にマーキングしたり名前を『キモい蜘蛛』にしたり出来ることが分かった。

 ちなみにキモい蜘蛛のステータスはなんと不明。ルチェルのステータスも地力は把握できないしどうやら万能ではないらしい。

「えいっ」


 俺は何故かルチェルに天高く掲げられる。

「魔装展開して……」

 マソウテンカイ? なんだそりゃ。

 よくわからんので黙って見てるとルチェルは俺を見つめてきた。

「く……」

『く?』

「くっそぉおおお!」

 とうとう発狂してしまったのかと思ったらルチェルは衣服を脱ぎ始めて生まれたままの姿になり涙目で俺を掴んだ。

「ほらっ、裸よ裸! これで満足? ねえ、満足でしょ!? 早く魔装して!」

『だからマソーってなんだよ。まさか、魔に装備で魔装じゃないだろうな』

 俺も石の中で出でよマソーとか言ってみたけど何も起こらない。当然だ、何のイメージも掴めない。
 というか、この子マジで馬鹿なんじゃないのか?
 裸はいいけどもさ。

「ほらぁああ。やっぱり光ってるじゃない! なんで? まだ何か足りないの!? 本当に処女の血がいるの? ねえ、お願いだから教えてよぉぉ!?」

 わからん。俺はこの子の言ってる言葉の意味がわからん。
 マソーだとか処女の血だとか、挙げ句にすっぽんぽんだし。
 あ、光に気づいて蜘蛛が近づいてきた。

「ルチェル? ウソッ、何やってるの!?」

「え? カナリア? か、やぁあああ――!?」

「危ない!」

 ドーベルマン級の巨大蜘蛛が飛び掛かってきたところをすんでに金髪少女がはじき飛ばす。

「あ、ありがとう。カナリア」

「そんなことより魔装はどうしたの!? 魔装があるから飛び出していったんじゃないの?」

「今装着するところよ!」

 カナリアは金の鎧に身を包んでいる。なんともエレガントな装飾ではあるが、ちょっとエッチなラインも見える。
 なんだろう、戦士とか剣士みたいな格好だ。

「お願い、魔装を私に」

 もしかして魔装ってこれ? こんな金ぴかの鎧を俺に出せとこの子は先ほどから仰ってるわけですかね。

「無理なものは無理なのよルチェル。あれ、あなたの依頼かもしれないけど私がトドメ刺すわね」

 何やら聞いたことのない言葉を呟くとカナリアの手から鋭く伸びる槍が一本蜘蛛に伸びた。

 ブシュウゥウゥ――。

 霧散する白い霧と同時に蜘蛛の体内からオレンジ色の血が噴出。
 なんだか蟹味噌みたいで気持ち悪い。

「ほら、服着て」

 いつの間にかカナリアは一般の服に戻っていた。
 信じられないが一瞬で着替えたのか。いや、これが魔装か?

「もうやだ……」

「ごめんなさい、私が笑ったせいなのよね。良かったわ、すぐに見つけられて」

 それから俺は2人の友情劇を背景に獲得ポイントを眺めていた。
 何で今のでポイントが入ったんだ?
 ルチェルなんもしてないやん。

『どういうことだ?』

 2ポイントほど手に入れている。

「で、なんで魔装が発動しないの?」

「わからない……」

 森の中は涼しくて快適のようだ。ルチェルの体温が非常に良好、ストレス値も平均値に戻っている。
 血行も良好、呼吸も良し、少し腹減り気味か?
 まあ、その他にも体脂肪率や筋肉量などもあるがどれも異常は無いと思う。
 何故かその一番下の方の項目に胎児育成条件〇、受精環境◎になっている。
 これは本人がこういうところで孕みたいとでも思ってるって事か? すげえ趣味してんな。

「あ、なんか光り出したわよ」

「本当ね……裸じゃないのに……」

「まるで生き物みたいね」

 俺はどきりとした。
 別にバレるはずはない。というか、バレても何ら問題はないだろう。俺石だしな。

「一応血の契約はもう一度やってみた?」

「うん……思い付く限りのことはしたわよ? けれど、やっぱり処女の血も必要なんじゃないかなって」

「うぅん。光るって事は魔力はあるはずよ。ただ、引き出し方が他の魔石同様普通じゃないんだわ」

 ルチェルは両手を前で組んだ。

「それってカナリアも?」

「……言いたくなかったけど、言うわね。私は魔石を飲み込まないと発動しないの」

「飲み込むって本当に?」

 おいおい勘弁してくれよ!? ルチェルの体内旅行は御免だ。

「もちろん解除したら普通に外に出てるから大丈夫よ? 変な想像はよしてよ?」

「え、うん……」

 だめだ、カナリアの肛門から出て来る想像シカデキナイ。

「その……勝手な話だけど私の想像だとたぶんその魔石は……えっちなことで力が引き出せるんじゃないかしら」

「えぇ……」

「だってほら! あなたの裸や私の裸であんなに光ってたじゃない! 絶対そうよ」

「そんなの聞いたことある?」

「ないわ」

「……」

 なんだこの空気。
 俺はいないけど、すっげえ居づらい雰囲気だ。

「分かった! ならこうしてみたら? 例えばキス……とか」

「キス? まあ、それくらいなら……」

 まぢで!?

「あ、光ってる」

 カナリアが俺を見ていた。

「うそ、これって私たちの言葉を理解してるって事じゃない?」

 鋭いなルチェル。智力1プラスがここで発揮されたか。

「か、考えすぎでしょ。とにかくキスよ。魔石がそれを求めてるわ」

 求めてないと言ったら嘘になるな。
 俺だってただで可愛い子とキスできるならキスしたいしな。
 ふう、頂きます。

 視界に彼女の口が広がると同時、俺の唇は柔らかな感触に包まれていた。
 なんてリアルなんだ。匂いまで感じるぞ。
 さわやかな、そうだ、爽やかな日向の香り。

「誰? この人……どこから?」

「「え」」

 俺は彼女を見下ろしていた。
 間違いなく自分の体で。間違いなく自分の唇で彼女の唇を塞いでいたのだ。


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