様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 ぼくたちは四天王の一体、アガ・スーを倒したが、それは別の四天王アルガーラフの裏切りによる弱体化があってのものだった。
 アルガーラフの目的は、不明。
 だがどうやら、彼は魔王に使役される契約から解き放たれ反旗を翻しているようだ。

 ミアがアルガーラフから引き出した言葉は、おおきなヒントになる。
 彼は、いまぼくたちを殺すべきではないと判断した。
 敵の敵として、利用できると。

 魔王は、楔を抜いて大陸を沈めようとしている。
 アルガーラフは、魔王にそれをさせたくないようだ。
 そして、彼は……ぼくたちに、四本目の楔を守れといった。

 昼に別動隊が吹き飛ばしたはずの聖都アカシャやハルーランの尖塔にあった楔ではない。
 ロウンの地底神殿、ガル・ヤースの嵐の寺院、そしてこの地の世界樹。
 それとは別にもう一本、これまでぼくたちが知らなかった楔が存在するのだと。

 そして、それは……。
 マレビトの山を捜せと彼はいった。
 ぼくたちマレビトの山といえば、もちろん、あの学校の山のことだ。

「もしかして、ザガーラズィナーがぼくたちの山を襲ったのって、いやそれ以前にオークたちが学校を襲ったのって……そこにある楔を手に入れるためだった?」

「そうかもしれないでござるな。とはいえ、推論を立てるにしても材料が少なすぎるでござる」

 忍者が腕組みして、唸る。

「とはいえ、その話はあとにするでござるよ。皆のもとへ戻るでござる」



 疲れ果てた身体で拠点に戻り、リーンさんと志木さん、結城先輩、ルシアと軽く会議を行なった。
 議題の中心は、黒翼の狂狼アルガーラフの行動と彼の発言だ。
 彼との接触はごく短時間だったが、その口から洩れた言葉はぼくたちを驚愕させるに充分だった。

「アルガーラフの件については、緘口令を敷きます」

 リーンさんの言葉に皆がうなずいた。
 いま、この情報はあまりにも危険だ。
 まかり間違って、モンスターと共存できるなどという思想が支持を広げる恐れすらある。

 和平派と呼ばれるものたちの正体はドッペルゲンガーだった。
 彼らの行動には、なんの希望もなかった。
 ただの破壊工作にすぎなかった。

 だがアルガーラフの存在は、それらとはまったく次元が異なる。
 人類の敵として破壊をまき散らす災厄、四天王の一体が魔王に反旗を翻したのだ。
 これであらぬ希望を持つなという方がおかしい。

 でもそれは、きっと……危険な思想だ。
 実際に対峙したぼくたちだから、理解できる。
 アルガーラフは、けしてぼくたちの味方ではない。

 中立ですらない。
 ただ、敵の敵が生まれた、いやその存在が露になったというだけの話だ。
 今回は、お互いに利用できるから、利用した、それだけのこと。

 アルガーラフを侮るような軽く見るような考えが出てこられては、致命的なところで足を引っ張られかねない。
 リーンさんの言葉は、全面的に正しい。

「六本目の楔……学校の山の件が、目下の問題でござるな」

「それって、つまり。わたしたちがこの世界に召喚されたのって、ただの巻き添えってことなのかしらね。召喚者がこっちの世界に持ってきたかったのは、ただあの山だけで、わたしたちはそれにくっついてきた虫ってこと?」

「待って、志木さん。でもそれじゃ、ぼくたちに与えられたこのスキルとか、用意周到な白い部屋とか、そのへんの意味がわからなくなる」

「和弘が何を疑問に思っているのか理解不可能なんだけどね」

「え」

 僕の言葉に驚きの声を上げる和弘。

「学校にある楔を召還したものと白い部屋の主は別人だということだ」

「そうでござるな」

「白い部屋の主の目的は現時点では不明だな」

 ぼくたちの話を聞いていたルシアが首を振って

「この話は、また後日とした方がよろしいでしょう」

 といった。

「皆、疲れきっています。いまは身体を休めることが肝要かと」

 懐から取り出した腕時計をちらりと見れば、すでに時刻は夜十時をまわっていた。

「そうですね。わたくしも残務は代理の者に任せるとしましょう。怪我をした兵士の治療については……志木、田上宮、引き続きあなたがたの部下を借りてよろしいですね」

「ええ、こっちとしても、なるべく自分たちを高く売りつけたいもの」

「MP回復の時間もあるゆえ、交代で休ませてやって欲しいでござるよ」

 治療魔法の使い手は、いまや引っ張りだこだった。
 身内の治療だけでなく、いまも各国連合軍の重傷者たちを癒してまわっている。
 モンスター軍が次にどう出てくるかわからない以上、戦力の回復は急務であった。

「モンスター軍も遠征軍の三分の二以上を失いました。ガル・ヤースとロウンへすぐに新たな軍が派遣される恐れはないと、われわれは判断しています」

 リーンさんはそういうが、しかし世界樹を囲むモンスターの軍勢は、未だその主力の大部分を残している。
 そもそも遠征軍の失われた三分の二というのは、二か所の楔を自爆させることで得た戦果だ。
 ぼくたち以外の人類軍は、まともにモンスター軍の精鋭、ことに神兵級と戦う術がない。

「ひとまず、みなさん。今日はゆっくりお休みください。……それと、カズ。以後、住居を増やす場合、ひとこと断ってからお願いいたします」

 ルシアがくすりとする。
 そんなルシアを見て、リーンさんが少し嬉しそうにしていた。

「カズ。これからも、ルシアを頼みます」

「えーと、はい。男として責任は、ええ」

「もう少し、しっかりと断言していただけると、ルシアの友人として安心できるのですが」

「自信なさげで申し訳ないです……」

 志木さんが、くすくす笑う。
 結城先輩は面頬で表情がわからないけど、肩を震わせているから、きっと笑いをこらえているんだろう。



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