様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「お久しぶりです、母上」

「先日は、挨拶もせずに申し訳有りません」

 父から指摘されたのは、リョウも俺もまだ母に会っていないという点であった。

「いえ、ルークの立場の大変さはわかっています」

 トニーの奥さんのフェイト義姉さんもそうだが、母も外部から嫁入りした人間なので、この領地の閉塞性などは良く理解していた。
 俺の存在のせいで、これからここも簡単に他領との交易が出来るようになるかもしれない。
 この事実に半数以上の領民達が期待している反面、逆にそんな利便性など必要なく、今の生活で十分だと考えている人達もいた。
 トニーを支援する本村落の年配の人達である。
 元の祖先がスラムの住民だった事を考えると今の生活で十分だと。
 むしろ、俺の存在など領内の秩序維持には邪魔になるだけだと。
 彼らからすれば、自分達が父〜トニーのラインを支持し、それによって相対的に他の村落の住民より厚遇される事だけを望んでいるのだから。

「それにしても二人共立派になりましたね」

「お袋、俺はルークのオマケだから」

 母の私室には、普通に親子として会話できるようにリョウと俺しか入室していない。
 なのでリョウは、母の言葉に半ば皮肉を込めて反論していた。

「アンディはザフト家の婿に自力でなったから別だろうけど、グラムやヘルムートも俺と同じ気持ちだろうけどな。兄としては不甲斐なく思い。ただ、トニー兄貴みたいに駄々を捏ねても仕方が無いとも。恵まれているなという気持ちはあるんだ」

 弟のおかげで、爵位を継承可能な貴族になれた。
 それは理解しているが、兄としては不甲斐ないような気もする。

「私もトニーはおかしいと思いますが、この領地で私が言える事などないのです」

 こんな田舎の僻地で母がトニーに注意などしたら、それだけで保守的な連中が騒いでしまう。
 残念ながら、ここはそういう土地なのだ。
 父やトニーが計算などでヒルゼンに頼り切りになっているが、実はそんな事をしなくても母やフェイト義姉さんならある程度はこなせるはずだ。

 だが、その手の仕事に女がしゃしゃり出るのは生意気であろう。

 そのせいでヒルゼンとお互いに疑心暗鬼になっているのだから、これは笑えない現実なのだ。

「もう成るようにしかならないのです。その話は止めましょう。ところで、リョウとグラムとヘルムートとアリスは結婚をし、ルークも婚約者がいますよね」

「はい」

 俺は、ある物を取り出し、母に見せたのだ。

「・・これは?」

「写真です」

「これがそうなのですか」

「見たことなかったのですか?」

「ええ」

「手前から順にアンディ兄さんのザフト騎士家、グラム兄さんのストラトス騎士家、リョウ兄さんとヘルムート兄さんのファブレ騎士家、アリス姉さんのストロング騎士家になります」

「楽しそうね」

 どの家族も笑顔だったりした。

「この方ね」

「はい」

 スズネの写真を見て俺は頷く。
 そして、母が外で待機している面々に挨拶したいそうだ。

「ユメイと申します」

「リッドです」

「ミュウです」

「キャロルです」

「ユリアです」

「アクアよ」

「初めまして?」

「そうね。ハクカと会うのは初めてではないけど、会話をするのは始めてね」

「はい」

「所で二人の結婚はいつかしら」

「・・え・・・あの・・・その」

「母上」

 俺とハクカは、母の言葉に顔を赤くした。

「あら・・・これは野暮だったから」

「ヴィルマ・エトル・フォン・アスガハン」

「彼女は?」

「元々俺の知り合いですが、グラム兄さんの直属の上司の命令で一緒に行動しております」

「側室も」

「そうなの・・・ルークの里帰りにより、この領内では色々と起こる可能性があります。あなた達は、しっかりとルークを支えてください。母である私から言う事はそれだけです」

 多分、トニーの身の安全も母としては頼みたいのであろう。
 だがそれを優先して、俺やグラムに何かがあっても意味が無い。
 とにかく、自分の安全を優先して欲しい。
 そんな風に母は思っているようだ。

「あの……母上は……」

「こんな僻地にある男尊女卑の田舎領地なのです。老いた私など無視されますから」

 確かに、どんな事態に陥ったとしても政治的な権力など何も無い母に危害が及ぶ可能性は低い。
 父やトニーの身に何かが起こっても、その先で必要な事態の収拾には、間違いなく母が必要になると皆が知ってもいる。
 なので、母は自分の身が安全な事に気が付いているようだ。

「ただ、何も起きないで欲しいと願うのも事実です」

「いや、それは……」

「わかっています。あくまでも、願望ですから」

 ここでもし何も起きなくても、またすぐに領内が混乱したら意味が無い。
 もし残酷な結果になっても何かが起こるのを待ち、それを処理する必要があるのだ。

「ルーク、リョウ。ただ犠牲者が少ない事を望みます」

「はい」

 俺とリョウは、ただ静かに頭を下げるのであった。



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