様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 俺たちは、王都に行き、剣などの装備品を受け取りに行った。
 これで、現状の装備品に問題なくなったのだ。
 スズネに会いに行き、

「お元気そうで、何よりです」

「ああ・・・スズネも元気そうだな」

 スズネを連れて、遊びに出かけることにした。
 


 翌日。
 数日ほど魔物の領域に行くのであった。
 そして、狩猟を終え、屋敷に帰ろうとしたら

「よう、坊主達じゃねえか」

 いきなり後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにはえらく笑顔のブランタークさんが立っていた。
 昔は凄腕の冒険者として、今はブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いとして。
 後者はえらく苦労しているようであったが、今の笑顔を見るとただ嫌な予感しかしない。
 多分、ブライヒレーダー辺境伯の依頼で俺達を待っていたのであろう。

「夕食なら、ブライヒレーダー辺境伯邸でご馳走するってよ」

「嫌な予感しかしませんけど」

「そう言うなよ。うちのお館様は、坊主の寄親じゃねえか」

「ブランタークさん、本当にそう思ってます?」

「……」

 顔を引き攣らせるブランタークさんを見ながら、俺達は心の底から宮仕えって大変だよなと思ってしまうのであった。



「まだ日は浅いですけど、君達の評判は上々ですね。私も寄親として誇りに思いますよ」

 ブランタークさんによって半ば強引にブライヒレーダー辺境伯邸に案内された俺達は、そこで贅を尽くした料理を振舞われていた。

「竜に、ゴーレムに、色々な魔物にと。苦戦している様子はないようですね」

「今の所は……」

 いや、実際には大苦戦している。
 というか、死に掛けたほどだ。
 あんな極物は、もう二度と出ないで欲しいと思う俺達であった。

「竜を倒せるのなら、他の魔物もほぼ大丈夫かな?」

「条件によります」

 本当に条件によるのだ。

「そうですね。条件によりますよね。ただ、君に一つお願いしたい事がありまして……」

 そのブライヒレーダー辺境伯のお願いとは、わざわざここに呼び出した事からも考えて、間違いなくギルドを通さない依頼であろう。
 本当であればギルドからは嫌がられるのだが、ブライヒレーダー辺境伯はブライヒブルクの統治者であるので、多分ギルドとはもう相談が済んでいる可能性が高かった。

「それで、どのような依頼で?」

 この場合、断るという選択肢はあり得なかった。
 駄目なら撤退して、失敗と報告した方がマシなはずだ。
 何しろ、この依頼はギルドを通していないので、失敗しても経歴に瑕が付かないのだから。

「ある種の討伐依頼ですね」

「ある種のですか?」

「我が父と祖父の後始末ですよ」

 その一言だけで、俺は全てを察していた。
 ブライヒレーダー辺境伯の依頼とは、先代ブライヒレーダー辺境伯の我が侭から始まり、俺の実家も巻き込んだあの無謀な天地の森への遠征の後始末であろう。

「2千人近くの人間が死んで、魔物の領域に残されたのです。これの後始末が必要となります」

 正確に言うと、ほぼ間違いなくアンデット化しているであろう彼らの浄化が主な依頼となるはずだ。
 悪霊化した魂が数百個も纏まって集合体になったら、もう俺やハクカクラスの聖魔法でないと浄化は困難になる。
 集合体にならなくとも数が多いので浄化は非常に困難なはずだ。
 そもそも天地の森の場所が問題だ。
 ここから東の海を越えたファブレ騎士爵領から、更に広大な未開地を南に数百キロにある天地の森なのだから。広さで言えば、12万k屬曚匹△襦

「君は、『瞬間移動』で天地の森に行けますよね?」

「ええ、まあ……」

 普通の冒険者なら、天地の森へ行くだけで骨だ。
 ところが俺は子供の頃からの探索で、瞬間移動の魔法で自由に天地の森の入り口までは行ける。
 その辺の事情が、既にブライヒレーダー辺境伯にも知られているのであろう。

「ええと……。でも、勝手にファブレ騎士爵領内にある天地の森の探索は……」

「大丈夫です。あなたのお父上は、寄親の頼みは断りませんから」

 確かに、あの超保守的で領地の保全しか考えていない父が、寄親であるブライヒレーダー辺境伯の頼みを断るはずがないからだ。
 それに今回のケースでは、俺達だけで天地の森に行くわけで、父達に援軍を求めているわけでもない。
 許可だけ出せば良いので、そう面倒な事にはならないはずだと。

「もし数百年後くらいに、あの森に冒険者が入るようになったとして。共食いで強化されたアンデットが侵入者を襲い、その原因がうちだと知れると評判が落ちますし」

「(大物貴族の面子って、面倒だな。これで、断る望みが消えたか。しかし、最低でもアンデットが2千って……)」

 まあ、駄目なら逃げれば良いかと考えることにした。

「それと冒険者ギルドからです」

 ギルドの紙を見ると査定額が書かれていた。
 漆黒の翼の取り分は一人頭9億4385万1200セントになった。



 翌日。

「二人はどうするんだ?」

「漆黒の翼に加入したいわ」

「・・・なんでだ?」

 魔物の討伐だけなら二人だけで十分に出来るのだ。

「9億セントよ」

「ああ」

「俺達と同じ問題に行き着いたのか」

 リッドたちがしみじみという。

「ルークの傘下に入ったほうが身を守れるということだろう」

「大金過ぎて危険か」

 足手まといなら問題だが二人は、問題ないのだ。
 二人の加入を認めることにした。

「お姉ちゃん」

「ミュウちゃん」

 ガシッ

 とミュウがセイに抱きついていた。

「ブランタークは、バウマイスター男爵を呼んでいていませんので、ブランタークの代わりといっては何ですが、セイに頼みました」

「分かりました」

「よろしくお願いします、セイ」

「こちらこそ」

 本当に極秘なのかは怪しいどころだが、俺達『漆黒の翼』の面々は、ブライヒレーダー辺境伯から半ば強制的に依頼を受ける羽目になっていた。

 依頼の内容は、先代ブライヒレーダー辺境伯が我が実家ファブラ騎士爵家をも巻き込んで多くの人間を犠牲にしたリンガイア大陸際東部にある天地の森遠征という愚行。その無謀な遠征で2千人近くの死者を出していたが、天地の森に残された2千体もの遺体がアンデッドへと化し、そのまま数百年もの月日が流れてしまったら、アンデッドは、発生してから長い年月が経てば経つほど、その未練・悲しみ・怨念などが増幅されて厄介な存在になっていく。

 あの王都に多数あった瑕疵物件を見れば、誰にでも理解できる事だ。

 リンガイア大陸において、もっとも東南部に領地があるファブレ家の可住地域から未開発地を数百キロも挟んでいる関係で、もし次に天地の森に人が入るとすれば最低でも数百年はかかるはずだ。

 もしその間に、アンデッドがまるで蟲毒のようにその怨念を募らせて強力化してしまえば、天地の森のアンデッドによって冒険者に犠牲者が多数出れば、当然その履歴が調べられ、その原因であるブライヒレーダー辺境伯家が悪評を得るはずだ。

 『その数百年後にブライヒレーダー辺境伯家があるのか?』と言われると確信は持てないのだが、現時点でブライヒレーダー辺境伯家は千二百年間の歴史があるらしいので、続く可能性はかなり高いはず。

 まだ見ぬ子孫のために天地の森で彷徨う元遠征軍兵士が材料になっているアンデッドを、まださほど強力ではない内に成仏させる。

 そのために俺達が現地へと赴く事になっていた。

 こういう大貴族家の恥部に関する依頼を受けている点からも、どうやら俺達は、ブライヒレーダー辺境伯からそれなりに頼りにされているようだ。

 報酬も口止め料を含めているので結構な額になる予定である。
 何しろ天地の森の魔物次第では、難易度が上がるため、現時点ではこれといった報酬は確約できない。

「でもさ、この少人数で大丈夫なのか?」

「大丈夫よ」

 リッドの疑念にセイが即答する。
 多くの魔物が住まう領域に少人数の冒険者パーティーで挑む理由は前に話した通りだ。
 あまり大勢で押しかけると、それに呼応して魔物が大群で現れてしまうからだ。

 昔の遠征軍の失敗は、ただその一点にあった。

 他にもあるが、それは今は言わないでおく事にしよう。

「少数で侵入すれば、向こうもそれなりの数しか出ないんです」

「それは、ここの所の討伐で経験済みだけどさ。でも、それだと2千体ものアンデッドは倒せないだろうに」

「大丈夫よ。ルークは、ブランタークさんからお聞きしたのですが広域拡散魔法を使えますよね」

 広域拡散魔法とは、簡単に言えば広範囲に魔法の効果を広げる魔法の事だ。
 魔法の効果を広範囲に広げるので、当然、大量の魔力を使い、その対象も適切な魔法でないと使った意味がない。
 それに属性の相性も関係する。
 火属性なら広範囲に火が広がるので、これで広範囲の魔物を焼き殺す事も可能だ。
 たまに自分が広げた魔法のせいで火に囲まれ、そのまま焼け死んでしまう人もいるらしい。

 風系統の竜巻なども同様で、逆にあまり意味が無いのは、土や水系統の魔法であろうか?

 ただ全てに意味が無いわけでもなく、土系統では土木魔法などであろうか?

 元から広域に作用する魔法なので、広域拡散をする意味がないという事実は存在していたのだ。

 水系統だと治癒魔法の広域拡散であろう。
 過去に戦争があった時代、負傷者を集めて一気に治癒するのに便利であったようだ。
 魔力の関係で軽傷者を治すのが限界であったらしいが、それでも、そこまでの魔法を使える人は滅多にいなかったらしい。
 大変に頼りにされていたと過去に本で見た事があった。

「はい」

「ルークの広域拡散魔法は、他人の魔法にも使えますよね?」

「はい」

「なら、それを使いましょう。それで聖魔法を使える方は?」

 セイの問いに俺、ハクカ、ミュウが手を上げる。

「じゃあ、簡単です」

 まずは、ハクカが聖属性の浄化の魔法を使い、それを俺が広域拡散魔法で天地の森中に広げる。
 途中でハクカの魔力が尽きたら、ミュウが聖属性の浄化の魔法を代行する。アクアとセイは、ミュウとハクカの護衛である。
 リッドとキャロルとユメイとユリアは、俺達に他の魔物が近付かないよう、その排除が主な任務だ。

「では、さっさと行きますか」

「ルーク、駄目よ」

 六歳になってから十二歳になるまで。
 俺は、ファブレ家の領地にはなっているが、まるで手が出せていない未開発地への探索を魔法の鍛錬も兼ねて進めていた。
 そのおかげで、天地の森の中には入っていないが、ほぼ全域に渡って自由に移動可能であったのだ。
 なので、さっさと移動して依頼を済ませてしまおうとした俺であったが、それをなぜかセイが止めていた。

「えっ、どうしてです?」

「先に行かないといけない場所があるわよね」

「行かないといけない場所ですか?」

「あの天地の森は、ファブレ騎士爵領内にあるとブライヒレーダー辺境伯様から伺っています。領主様に挨拶に行かないと駄目よ」

「いや、それはそうなんですけどね……」

 当然、気が付いてはいたが、正直気が進まなかった。
 というか、こちらはブライヒレーダー辺境伯家の恥を処理しに行くのだから、せめて向こうが先に挨拶を済ませてくれれば良いのにと思ってしまうのだ。

「はあ……」

 いくら調査隊すら入れず、あそこに入った事がある人間が俺と天地の森への遠征隊だけである未開地でも、書類上はファブレ家の物になっている。

 なので、挨拶に行って許可を取り、獲物の分け前を交渉する必要があるのだ。
 ブライヒブルクのように、そこに冒険者ギルドの支部があれば必要ない。
 冒険者登録さえしていれば、あとはギルドが交渉して税金まで払ってくれるからだ。

 だが、ファブレ領と未開地には冒険者ギルドが存在しない。

 なので、領主と直接交渉を行い。

 例えば今回であるとアンデッド浄化の過程で得た兵士達の遺品や遠征軍の遺留物に、襲い掛かってきた魔物から得た素材や天地の森で採集した薬草などと。

 得た物全てから、どのくらいのアガリを収めるのか? 

 支払いは、現物支給なのか?

 ブライヒブルクで売却後に、一定額を現金で納めるのか?

 など、細かく交渉する必要があったのだ。



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