様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 翌日。
 銅・錫・鉄・銀・金を売却した。
 窓口は、ブライヒレーダー辺境伯である。

 合計 金板55枚、金貨3枚、銀板3枚、銅貨4枚であった。

 なお、黄銅は、使えなかったというより地球時代なら通貨として価値があったが、この世界だと通貨の価値がないため売却できなかったのである。そのため黄銅は、鉱山に適当に埋めてばら撒くことにした。他の宝石類は、売却するのをやめた。

 俺たちは、王都に行き、剣などの装備品を受け取りに行った。
 これで、現状の装備品に問題なくなったのだ。
 スズネに会いに行き、少しだけ話した。

 数日ほど魔物の領域に行くのであった。
 そして、狩猟を終え、屋敷に帰ろうとしたら

「よう、坊主達じゃねえか」

 いきなり後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにはえらく笑顔のブランタークさんが立っていた。
 昔は凄腕の冒険者として、今はブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使いとして。
 後者はえらく苦労しているようであったが、今の笑顔を見るとただ嫌な予感しかしない。
 多分、ブライヒレーダー辺境伯の依頼で俺達を待っていたのであろう。

「夕食なら、ブライヒレーダー辺境伯邸でご馳走するってよ」

「嫌な予感しかしませんけど」

「そう言うなよ。うちのお館様は、坊主の寄り親じゃねえか」

「ブランタークさん、本当にそう思ってます?」

「……」

 顔を引き攣らせるブランタークさんを見ながら、俺達は心の底から宮仕えって大変だよなと思ってしまうのであった。



「まだ日は浅いですけど、君達の評判は上々ですね。私も寄り親として誇りに思いますよ」

 ブランタークさんによって半ば強引にブライヒレーダー辺境伯邸に案内された俺達は、そこで贅を尽くした料理を振舞われていた。

「竜に、ゴーレムに、色々な魔物にと。苦戦している様子はないようですね」

「今の所は……」

 いや、実際には大苦戦している。
 というか、死に掛けたほどだ。
 あんな極物は、もう二度と出ないで欲しいと思う俺達であった。

「竜を倒せるのなら、他の魔物もほぼ大丈夫かな?」

「条件によります」

 本当に条件によるのだ。

「そうですね。条件によりますよね。ただ、君に一つお願いしたい事がありまして……」

 そのブライヒレーダー辺境伯のお願いとは、わざわざここに呼び出した事からも考えて、間違いなくギルドを通さない依頼であろう。
 本当であればギルドからは嫌がられるのだが、ブライヒレーダー辺境伯はブライヒブルクの統治者であるので、多分ギルドとはもう相談が済んでいる可能性が高かった。

「それで、どのような依頼で?」

 この場合、断るという選択肢はあり得なかった。
 駄目なら撤退して、失敗と報告した方がマシなはずだ。
 何しろ、この依頼はギルドを通していないので、失敗しても経歴に傷が付かないのだから。

「ある種の討伐依頼ですね」

「ある種のですか?」

「我が父の後始末ですよ」

 その一言だけで、俺は全てを察していた。
 ブライヒレーダー辺境伯の依頼とは、先代ブライヒレーダー辺境伯の我が侭から始まり、俺の実家も巻き込んだあの無謀な天地の森への遠征の後始末であろう。

「2千人近くの人間が死んで、魔物の領域に残されたのです。これの後始末が必要となります」

 正確に言うと、ほぼ間違いなくアンデット化しているであろう彼らの浄化が主な依頼となるはずだ。
 悪霊化した魂が数百個も纏まって集合体になったら、もう俺やハクカクラスの聖魔法でないと浄化は困難になる。
 集合体にならなくとも数が多いので浄化は非常に困難なはずだ。
 そもそも天地の森の場所が問題だ。
 ここから南東の山脈を越えたファブレ騎士爵領から、更に広大な未開地を南に数百キロ、南西の果てにある天地の森なのだから。

「君は、瞬間移動で天地の森に行けますよね?」

「ええ、まあ……」

 普通の冒険者なら、天地の森へ行くだけで骨だ。
 ところが俺は子供の頃からの探索で、瞬間移動の魔法で自由に天地の森の入り口までは行ける。
 その辺の事情が、既にブライヒレーダー辺境伯にも知られているのであろう。

「ええと……。でも、勝手にファブレ騎士爵領内にある天地の森の探索は……」

「大丈夫です。あなたのお父上は、寄り親の頼みは断りませんから」

 確かに、あの超保守的で領地の保全しか考えていない父が、寄り親であるブライヒレーダー辺境伯の頼みを断るはずがないからだ。
 それに今回のケースでは、俺達だけで天地の森に行くわけで、父達に援軍を求めているわけでもない。
 許可だけ出せば良いので、そう面倒な事にはならないはずだと。

「もし数百年後くらいに、あの森に冒険者が入るようになったとして。共食いで強化されたアンデットが侵入者を襲い、その原因がうちだと知れると評判が落ちますし」

「(大物貴族の面子って、面倒だな。これで、断る望みが消えたか。しかし、最低でもアンデットが2千って……)」

 まあ、駄目なら逃げれば良いかと考えながら、俺はせめてもの仕返しに出された料理のお替りを始めるのであった。



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