様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「ルークお兄様、皆様・・・お気をつけてください」

「ああ」

「気をつけて」

「うん」

「ええ」

「スズネちゃんやヴィルマも元気でね」

 俺たちはスズネとヴィルマと別れを告げ、旅立った。



「ブランターク様。この遺跡って、確か……」

「もうとっくにアカデミーの学術調査は終わっている遺跡だな」

 王都から『瞬間移動』と徒歩で半日ほど。
 俺達、新冒険者パーティー『漆黒の翼』と『ドラゴンバスターズ』とブランタークさんは、先年にグレードグランドを討伐したパルケニア草原内にある古代遺跡へと到着していた。

 この二年半ほどで、パルケニア草原は大規模開墾作業を続ける多くの人達で賑わっている。
 他にも道や町や農村などの建設も進み、その経済効果は計り知れないほどであった。
 この古代遺跡は、そのパルケニア草原でも比較的王都寄りの場所に存在している。
 見た目は、少し風化した石造りの建造物が複数建つ神殿のような遺跡であった。

「上の部分は、半分観光地にまでなっていた遺跡だったんだ」

 ブランタークさんは、俺達の事は顔馴染みで新鮮味も無いと言った癖にエリーゼには愛想良く答えている。
 良く見るとその視線がたまに胸に行っていた。

「この遺跡でしたら、前に私のお友達も学術調査で出向いたそうです」

「新人への登竜門みたいな遺跡らしいからな」  

 ここは、王都にある考古学専門学校の生徒がレポートを書くために遠足で来るほど安全な遺跡であったのだが、ある生徒が何となく遺跡の石を触ってみたところ、いきなり地下遺跡の入り口が開いてしまったらしい。

 一応『遺跡には触れるな』というルールがあったので、その学生はルール違反をしたわけだ。

 だが、そのおかげで地下遺跡への道が開いたとも言え、その学生には賞賛もお咎めも無かったそうだ。

「その瞬間から、遺跡はご覧の通りだな」

 空いた入り口から魔物が沸き出して来ないという保障も無いので、今はその入り口を中心に複数の兵士達が警備を行っている状態であった。

「当然、冒険者ギルドは、すぐに連絡が取れたパーティーを送り込んだのさ」

 ギルド内でも、かなり実力のあるパーティーを二つ合同でだ。
 合計で、十一名を送り込んだらしい。

「あの……。帰って来なかったとか?」

「でなきゃあ。坊主達に強制依頼なんて来ないさ」

「……」

 確かにブランタークさんの言う通りではあるのだが、当然、俺も含めてパーティーメンバー全員が、感情面ではまるで納得できないでいた。

 そんな危険な遺跡なら、もっとベテランの冒険者を送るべきなのだ。

「最初の失敗で、冒険者ギルドも懲りれば良かったんだがな」

 冒険者ギルドとしては、王国側がアームストロング導師を投入する事を恐れたらしい。
 そうでなくても二年前に二匹の竜を冒険者が倒せなかった件で、相当にプライドを傷付けられているとのブランタークさんからの話であった。

「でも、導師って昔は冒険者で……」

「今は違うじゃないか。ついでに言うと俺も元冒険者なんだけどな」

 しかも後者のグレードグランドに至っては、貴族枠で参加させられた俺たちが、ブライヒブルクの冒険者予備校ではまだ半人前の見習い冒険者であった事も相当にギルド側を刺激したらしい。
 かと言って、それを俺たちに言って機嫌を損ねるわけにもいかず、ならば今回こそはと意地で二つ目のベテラン合同パーティーを送り込み、また同じ失敗を繰り返す事になる。

「最初の失敗があったから、次はもっと実績が上のパーティーを送り込んだわけだ」

 三組合同で、合計14名。

 実績では、トップクラスのパーティーばかりであったようだ。

「もしかして?」

「誰も帰って来なかったそうだ」

 さすがに、これ以上のベテラン冒険者の喪失は看過できなかったようだ。
 冒険者ギルドは、王国に探索不可能の回答を出し。
 それを受けた王国側は、ここ数週間ほどは兵士達を派遣して遺跡に人が入って来ないようにと警備をしていた。

「そんな危険な地下遺跡に素人を投入か……」

「あながち、間違いとも言えないんだよな」

 戻って来ない冒険者パーティーは、ギルド内でも屈指の戦闘能力を誇っていたらしい。
 そんな彼らが複数で潜って戻って来ないとなると、あの魔物がいる可能性があるという結論に至るのだ。

「最低でも幼生状態は抜けた竜がいる」

 竜を倒すとなると最低でも中級以上の魔力を持つ魔法使いが最低でも一人は必要で、他のメンバーもかなりの戦闘力を必要とするそうだ。

「二つの合同パーティーには、中級以上の魔法使いがいなかったからなぁ」

 発生率の関係で魔法使いがそう沢山いるわけでもなく、普通の人は一生に数名も拝めれば多い方らしい。
 更に俺とハクカとリッドとミュウとユメイのように一つのパーティー全員が上級魔法使い並の魔力を持っている居るなど、そんな幸運はまず不可能であるとのブランタークさんからの話であった。

「竜が出ても余裕で対処可能なパーティーだと思われたんだな」

 それとブランタークさんもいるので余計にそうなのであろう。
 アームストロング導師が居ないので、少々の不安を感じなくは無かったのだが、あの人は普段の言動はアレだが、戦闘能力では王国髄一だったからだ。

「俺の指南役就任は、うちのお館様と陛下が決めてしまわれたからな。宮仕えの俺には、何も言えん」

 新人の俺達に良く知らない自称ベテラン冒険者が付けられ、また帰って来ないのを恐れたらしい。
 二人が相談して、急遽ブランタークさんを一時現役復帰させたそうだ。
 当然、ギルド側は良い顔をしなかったそうだ。
 自分達の裁量権を犯されているので、当たり前とも言えるのだ。

「俺は、ギルドの上層部に含む部分なんて無いぜ。向こうは、俺を嫌っているようだけど」

 現場レベルだと冒険者稼業が長かったブランタークさんには知己が多い。
 魔法使いの中には、短時間ながらも指導を受けた弟子なども多いそうだ。
 一部幹部とも仲が良い人もいて、彼の情報源はそこにあった。
 ただ、今の主流派幹部達とは物凄く仲が悪いのだそうだ。
 何でも、現役引退後のブランタークさんに幹部の席を奪われると勝手に危機感を抱き、ギルドから追い出そうと必死になった連中らしい。

「そういうのが嫌で、俺は王都のギルド本部は苦手でな。非主流派の連中や他の支部の連中とはそうでもないんだけどな」

 ちょうどその頃、アルフレッドが非業の死を迎えた事もあって、運命だと思ってブライヒレーダー辺境伯のお抱えになったそうだ。

「そんな連中で大丈夫なんですか?」

「普通に魔物の領域で狩りをしている連中には、何の問題もないわな」

 その代わりに今回のような緊急事態になると粗が出てしまうのだとブランタークさんは語っていた。
 要するに、お役人なのだと。
 若い新人の頃とは違い、冒険者ギルドで幹部になるような連中は失う物が出来て保守的になる。
 冒険者ギルド自体も前世で言う所の大企業なので、つまりはそういう事のようであった。

「これ以上ここで喋っていても、何の解決にもなりませんね……」

「そうだな、入るか」

 少々の理不尽を感じなくもないが、ここで手を抜くなど出来るはずもなく。
 俺は、魔導撮影機を作動させてからリッドたちと共に地下遺跡の入り口を警備している兵士達に陛下からの命令書を見せ、そのまま地下遺跡の中へと入っていくのであった。

「魔物とかはいないわよね? ヴェルやルークは、『探知』の魔法で何か感じた?」

「何も感じてないな」

「雑魚の魔物すらいない」

 合計13人で地下迷宮に入った俺達であったが、実際に入ってみると罠も無いし、魔物やなど一匹もいない。
 イーナから探知魔法の結果を問われるが、魔物の気配すら感じずにいた。
 ただ、石造りの迷宮を順番に移動し、地図を作成するだけになっていた。

「罠の存在は?」

「無いです」

「そうか、無いか……」

 まさかこの展開は予想できなかったようで、ブランタークさんも、なぜこの地下迷宮で冒険者達が行方不明になったのかを理解できないでいた。

「この先に広場があります」

「広場?」

 三十分間ほど薄暗い地下遺跡を進んで行く俺達であったが、ほぼ曲がり道も無しで広大な空間へと出ていた。

「広いなぁ」

 縦横は数百メートル、高さも五十メートルはありそうなその広場は、綺麗に壁や床を石で覆われているだけで、他には何も無い状態にあった。

「あっ、でも……」

 この中で一番目が良いルイーゼは、奥に何かを見付けたらしい。
 暫く歩くと一番奥に入り口があったので、やはりこの地下遺跡はほぼ一本道の造りになっているようであった。
 ただし、その前を巨大な物が塞いでいたのだ。

「大きな竜の金属像ですね。ヴェンデリン様」

 エリーゼが、竜の像を見上げながら感心したような声をあげる。

「これは、まさか」

 俺は驚きの声を上げた。

「どうかしたの、ルーク」

 ハクカが心配そうにたずねてきた。
 この竜の像に魔力が備わっているのを感知したのだ。
 そして、ブランタークさんはその顔に警戒感を露にしていた。  

「全員下がれ」

 俺は、ハクカとミュウの手を引いて、下がった。

「・・え・・・なに、どうかした、ルーク」

 リッドとキャロルとユメイも俺の行動を見て、一緒に下がった。

「ブランタークさん?ルーク」

「坊主、戦闘準備だ」

「えっ? これって造り物じゃあ……」

 ブランタークさんが冷静な声で、竜の像から下がりながら戦闘準備をするようにと命令をする。
 俺は、いつでも障壁を展開できるように魔力をためることにした。
 そして、竜の像が咆哮を挙げたからだ。

「古代魔法文明の遺産。拠点防衛用に造られた金属製のドラゴンゴーレムか。文献で記述は見たんだが、実物は初めて見た」

「なあ、ブランタークさん。これって、拙いよな?」

「ああ、高レベルの合同パーティーを二回も全滅させているんだからな。エルの坊主も覚悟を決めろよ」

「こんなデビュー戦って、あんまりだ」

 全員が戦闘準備を整えた瞬間、金属製の竜は俺達に向けて強烈なブレスを発射するのであった。



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