様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 リネンハイム氏から購入した屋敷の改装に関してだが、ブライヒレーダー辺境伯に頼ろうと思ったがブランタークさんが王都にいる以上、王都にいないことに気づき、ラングレー家の伝を頼ることにした。

「構いませんよ」

「ありがとうございます」

「早速、手配しましょう」

 アスラン卿が、大工さんを手配してくれた。
 俺は、大工に魔道具を取り付けることを伝えたりした。
 取り付ける魔道具は、魔導コンロ、魔導オーブン、魔導灯、魔導浄化槽、魔導給湯器、魔導風呂、魔導トイレ、認証扉である。ちなみに認証扉とは、魔力の登録認証によって開けられる扉である。

「さすがは、魔道具職人ですね・・・・所で、瑕疵物件だったとか聞いたのだが」

「それなら浄化しましたよ」

「抗議に行かなかったのですか?」

「ホーエンハイム枢機卿に抗議には行きましたよ」

『リネンハイムは、表の高級物件の売買では有名な男だ。だが同時に、裏の瑕疵物件の売買でも有名でな』

 どう見ても売れそうもない物件を安く買い取ったり、もし売れたら高額の手数料を支払うと物件の持ち主に言わせた後、独自のコネで浄化を行って普通の物件にして利益を上げる。
 そのコネというのは、大半が教会とのコネであると思われるが、そのための経費は十分に使っているようだ。

『あの男はどういうわけか、こちらが新しい教会を作りそうな場所を見抜くのが上手い』

 事前に整地までして揉み手で現れ、しかも少し相場よりも安く売ってくれるらしい。
 胡散臭いが、不動産屋としての才能はある。
 そういう男らしい。

『それで、浄化の優先順位が高いと?』

『寄付金もケチらないのでな。平民出の司祭に大人気だな』

 ホーエンハイム氏に言わせると人の欲に敏感なのだそうだ。

『御爺様! いきなり素人のヴェンデリン様に、あそこまで難易度の高い浄化なんて!』

 話に割って入ったエリーゼが、また激高してホーエンハイム枢機卿に苦言を呈した。

『すまぬの。エリーゼの大切な旦那様に無理を強いて。昨日は、愛しの旦那様と仲良く浄霊できたから良しとしてくれぬか?』

『愛しの旦那様……』

 エリーゼは顔を真っ赤にさせて俯いてしまう。

『浄化の良い練習にはなりましたけどね』

『それにだ。婿殿が自分で稼いだとはいえ、いきなり中級貴族街で大枚など叩いて屋敷など購入してみよ。どうなると思う?』

『えっ、そこまで酷いんですか?』

 俺たちが、貧乏騎士なのが良くないようだ。
 普通に新参者が、いきなり中級貴族街で有り余る財力を使って元男爵以上の屋敷を購入する。
 それだけで、『成り上がりの新参者が……』と陰口を叩かれるそうだ。
 『お前なんて、下級貴族街の屋敷で十分だ』と。

『そこでだ。あの胡散臭いリネンハイムと裏に居る教会に騙されて、性質の悪い瑕疵物件ばかり数軒も紹介とは名ばかりで浄化させられた。その苦労を思えば、あの男爵屋敷くらいという話になる』

 ホーエンハイム枢機卿に言わせると成り上がり者にはこのような配慮も必要らしい。
 貴族達からの悪評も俺たちを上手く使って多額の利益を得たリネンハイム氏に向かっているらしい。
 彼の場合は、元々胡散臭いと評判なので余計にだそうだ。

『浄化した性質の悪い瑕疵物件も普通に売れますしね』

『手頃な屋敷が無くて、高位貴族側で順番待ちをしている連中もおるのでな。そういう連中に婿殿たちは恩を売ったとも言える』

 たかが屋敷一つ買うくらいで、俺は本当に貴族という生き物がわからなくなってくる。
 中身が元庶民なので、余計にそう思ってしまうのだ。

『挙句に無料で貰ったあの屋敷にも、変なのが憑いてましたね』

『俺も普通に買った屋敷にも変なのがいたな』

『何? リネンハイムの奴、報酬の屋敷や購入した屋敷まで瑕疵物件を渡したのか?』

『俺とエリーゼとルークなら、浄化可能だと思ったんでしょうね』

『相変わらず、油断のならない……。後で、少し絞らないと駄目だな』

 翌日、ホーエンハイム枢機卿に呼び出されて絞られたのか?

 リネンハイム氏がお詫びに来て、もう一軒屋敷を譲渡しますと言って権利書を押し付けて行く。
 すぐにその権利書に記載された屋敷へと向かうと、そこは元は某王族が使用していた屋敷であるらしい。
 物凄く広大な敷地に大邸宅が建っていた。
 と同時に、また周囲の塀全てに教会謹製のお札が張られ、敷地の中では数百もの悪霊が真昼間から飛び交う最高級の瑕疵物件でもあったのだが。

『何々……。(10代前の王兄様のお屋敷で、この人は使用人や家臣やその家族までもを多数地下室で拷問にかけて虐殺するのが趣味でして。でも、内緒ですよ)……』

 あまりに酷い話だが、王様の兄が大量快楽殺人者だと世間にバレるのも問題なわけで、結局その王兄は病死した事にされたらしい。
 もっとも、その隠密処分のせいで、殺された人達の怒りが屋敷と敷地に澱んで溜まってしまい。
 今では、教会すら匙を投げる災厄クラスの瑕疵物件と化しているようであったが。
 そういえば、この屋敷と同じ区画にある屋敷は全て無人となっていた。
 上級貴族なので当然この屋敷の由来は知っていて、近所に引っ越す事すら躊躇われる物件なのであろう。 

『あのインチキ不動産屋め!』

『ルーク?』

『所持しているだけで、邪魔じゃないか!』

 結局この屋敷、ハクカと共同でエリア浄化を教会を行い悪霊を浄化する事となった。
 しかし、歴代の教会関係者が匙を投げるほどの物件だったので、その浄化には時間と魔力を消費する羽目になった。

『あの物件を浄化とは! 某なら、挑戦する気すら起きないのである!』

 あのアームストロング導師がそこまで言う物件ではあったが、何とか屋敷の浄化には成功していた。 

『あのインチキ不動産屋、まさか揉み手で売却の相談に来ないよな?』

『無いとは言えません……何しろこの血塗れ王兄屋敷ですけど、周囲の屋敷は全てリネンハイム不動産に安く買い叩かれていまして……』

『さすがは、インチキ不動産屋』

『同業者の間でも、胡散臭いって有名ですからね』

『絶対売ってやらねえ』

 暫くしてその買い叩いた周囲の屋敷が全て売れたようだ。

「あの浄化にはそんな話があったんですね」

 それから1ヶ月後。
 季節は、そろそろ冬になる頃の秋である。
 屋敷の改装と使用人の手配が完了した。

役職    人数  月々の賃金
メイド   2人  1800セント
メイド長  1人  3000セント
執事    1人  2400セント

 使用人は、必要最低限しか雇っていないのである。
 基本的に全員が自分のことは自分で出来るからである。警備員は、雇っておらず執事だけで事足りるのである。

 ちなみに月々の給料は、メイドと執事が王都の下級警備隊より少ないのである。ただし彼らより圧倒的に生活は楽である。何しろ生活に必要な食事、入浴は、ルークが用意しているので、彼らの給料の大半は、衣服あるいは娯楽である。その上、メイドや執事は、週休2日で実働6時間である。

 新しい屋敷で暮らすようになった翌朝。

「メイドのマリアといいます」

 20代の茶髪のショートカットの女性が挨拶してきた。
 彼女は、スズネの専属メイドだったらしいのだが、アスラン卿の意向でここに出向である。
 尚、現在はスズネ専属のメイド兼メイド長として配属である。

「執事のレバートと申します」

 灰色の髪を後ろで束ねている40代の男である。

「お館様、スズネ様が来られました」

 居間で、寛いでいたらレバートに話しかけられた。

「分かった。通して欲しい。後、紅茶を」

「畏まりました」

 マリアに連れてこられたスズネが来た。

「おはようございます。ルーク様、ハクカさん、ファラさん、リーリンさん、クララさん、リッドさん」

「おはよう、スズネ」

「おはよう、スズネちゃん」

「おはよう、スズネちゃん」

「おはよう、スズネ」

「おはよう、スズネ」

「おはよう」

 スズネがソファーに座り、マリアが紅茶を入れていた。

「どうかしたのか?」

「はい、エリーゼ様についてはご存知でしょうか?」

「?」

 スズネの問いに疑問を持った。

「そのお噂については」

「・・・うわさ?いや知らないけど」

「じつは」

 どうやらヴェルの屋敷にエリーゼが移り住んだらしい。

「結構やるわね」

 ファラが賞賛した声を上げた。

「問題なのは・・・・」

 そのせいで、エリーゼに対してヴェルを誘惑して婚約者になったふしだらな聖女という話が貴族の間で広まっているようだ。ホーエンハイム枢機卿に対してエリーゼはヴェルの婚約者に相応しくないのではという話が出回っているらしい。

「すごい話だな」

「エリーゼは気にしないのでは」

「はい」

「とはいえ、下手したら婚約の解消などもあり得ると」

「はい」

「俺たちではどうにも出来ないな」

 何せこれをどうにかする手段の一つでもあるエリーゼが、無視しているのが現状である。



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